病は氣から

東洋医学とストレス
現代社会はストレス社会とも呼ばれています。
私たちの生活環境は悪化し、肉体的、精神的、社会的健康が損なわれつつあるのが現状です。そのためストレスから精神的バランスを崩し、体調不良を訴える患者さんが急増しています。これらは、不定愁訴と呼ばれています。
実は、鍼灸院に来院される患者さんにはストレスが原因で種々の症状を訴えるケースがたいへん多いのです。こういったケースでは、東洋医学的には、七情の氣(喜、怒、思、憂、恐、驚、悲)が病んだ状態であると診て治療方針を立てるのです。
つまり、七情の氣は、人の心の在りようを表わし、七情の氣のバランスが崩れると身体に悪影響を及ぼすと考ているのです。(素門・陰陽応象大論)
七情の氣とは
精神状態の偏りと身体症状の因果関係を理解し、すでに鍼灸治療に取り入れていたのです。現代にも十分通用する理論ではないでしょうか。
皆さんが、よく耳にする”病は氣から”ということわざの”氣”は東洋医学で言う七情の氣に由来しているのです。
経絡と経穴
東洋医学では人体は生命エネルギーによって生かされていると考えています。このエネルギーのことを気血と呼んでいます。気血は、五臓六腑で作られ全身をくまなく流れています。気血の通り道を経(けい)といい経と経をつなぐ連絡線を絡といいます。
人体には五臓(六臓)六腑に相当する十二経絡を通じて全身にエネルギーを循環させています。六臓は、(肝・心・心包・脾・肺・腎)六腑とは(胆・小腸・三焦・胃・大腸・膀胱)また、任脈、督脈と呼ばれる体の正中線をめぐる経絡もあります。通常の正経ではないので、奇経と呼ばれてます。任脈、督脈は、治療効果の高いツボが多いことから、治療によく用いられます。
一般にツボと呼ばれるものは、上記の十二経絡と任脈・督脈上に存在し、総数で365穴余りあります。その他にも、特効穴、阿是穴に大別される穴もあります。鍼灸治療では、経絡、経穴を診察点、治療点として用いられます。(2004年)