膝の痛み

はじめに

膝の痛みの原因は、スポーツや事故による外傷性、先天性変形、細菌感染、リウマチ、老化現象(慢性膝関節症)等が挙げられます。

鍼灸院に訪れる方で、最も多いのは、慢性膝関節症(OA症)で、約8割です。鍼灸治療院を訪れる段階には、ほとんどすべての方が、病院で診断と治療を受けています。もう少し症状を軽くしたいと考えて、東洋医学に期待を寄せられているのだと思います。その次に多いのは、スポーツ外傷、先天性変形となっています。

ここでは、慢性膝関節症の鍼灸治療について述べていきます。

 

慢性膝関節症の鍼灸治療

慢性膝関節症は、膝の軟骨がすり減り、痛み、膝の可動範囲が狭められて、歩行に支障をきたし、QOLが低下します。

 

東洋医学の古書「金匱要略」には、関節痛は、中風歴節病が挙げられます。中風(脳卒中)と歴節痛(関節痛)は、まるで違う病名ですが、

東洋医学的には、原因が似ているのです。どちらも津液(体内の液体成分)の不足し、気血の流れが停滞し、内熱することが原因であるととらえているからです。内熱は、体全体又は、患部が冷たい風にさらされたとき、また、これと同じ病理がおこったときに発症します。

中風の中は、あたるの意味で、これは、病位が深いところにある意味で深刻です。

歴節痛は、筋に関係する肝、骨に関係する腎の働きが弱くなることで、津液不足が起こる記されています。

現代の慢性膝関節症という病名は、東洋医学の歴節痛に相当するものと思われます。

肝、腎は年齢により衰えるので、中年以降の方に慢性膝関節症が多いことも理解できるのではないでしょうか。

鍼灸治療と並行して太ももの大腿四頭筋の筋トレなど運動法も併せて行います。

 

 

==治療で使うツボ==

膝眼、鶴頂、血海、陽関、曲泉、陰谷

大衝、三陰交、委中、 陰白、太白、陰陵泉

 

 

鍼はディスポ鍼(使い捨て)を用います。太さは、0.14mmです。深度は浅く2、3ミリ程度でも十分です。

関節包に達するまで深く刺入する必要はありません。