らくらくISO9001講座



三代目事務局が作るこれからのマネジメントシステム



 (1)三代目事務局の人々 

 組織がマネジメントシステムを維持する上で、中心となるのは管理責任者です。ただし、マニュアルの管理や、マネ
ジメントレビューの準備や、内部監査の手配などの事務的な業務も多く、管理責任者1人で全てを処理するのはたい
へんです。そこで、管理責任者の下に、実行部隊として置かれるのが、いわゆるISO事務局です。ISO事務局は、ISO
規格には全く出てこないし、定義もされていないにもかかわらず、ほとんどの組織で設置されており、実質的にマネ
ジメントシステムの維持管理をしています。


◆ いまや事務局は三代目

 ところで、ISO9001やISO14001が本格的に普及し始めてから約15年たちました。今では、認証を受けてから10年
以上が経った組織が多くあります。
 ISOを取得した直後は、最初にシステムを構築した際の管理責任者やISO事務局が、引き続き担当するのが普通
です。しかし3〜5年ほど経つと、その担当者もさすがに交替ということになります。10年前後になると、管理責任者も
事務局も、三代目四代目ということになっているでしょう。

 月間アイソス2010年7月号の特集「三代目事務局の時代」では、このような三代目ISO事務局の人々を取上げま
した。もちろん、三代目事務局というのは象徴的な言い方で、二代目でも四代目でも、管理責任者でも現場担当者で
も良いのですが、システムを構築した初代事務局とは、全く違う立場で、全く違った感性でマネジメントシステムを運
営する人々んがいます。
 では、その三代目事務局とは、どんな人たちなのか、まず4人のケースを紹介しましょう。


樋口さん(45歳)の場合

   樋口さんは、従業員100名ほどの機械メーカーの品質保証課長です。仕事は、ISO事務局、製品検査の
  管理、クレーム対策など、品質管理全般を担当しています。 樋口さんの会社のQMSを構築したのは、村
  上さんという方です。たいへん几帳面な方でしたので、しっかりとしたシステムが構築されています。村上
  さんは、認証を取得した後、5年間、事務局を担当した後、定年退職されました。村上さんの後は、宮川さ
  んが引き継ぎ、樋口さんは三代目事務局として、この宮川さんから業務を引き継ぎました。

   初代の村上さんが作ってくれた詳細な資料があり、宮川さんはこれを使って樋口さんに、ISOの業務を教
  えてくれました。その中で、樋口さんは、「ISO9001で重要なのは、文書をしっかりと管理することだ」と教
  えられました。認証を受けたばかりの頃は、文書管理について審査でたくさんの指摘を受け、苦労したそう
  です。

   毎年2月の文書の定期レビューでは、3年サイクルで、約250ある文書の全てを見直します。年ごとに対
  象文書リストを作り、これに沿って各課に文書見直し指示を出します。見直しの結果は、文書見直しチェッ
  クシートに記録されて事務局に提出されます。
   変更が必要とわかった文書は改訂します。特に、品質マニュアルや管理規程の配付は、確実に行う必
  要があります。これらは、文書管理台帳で管理されており、「文書送付案内書/文書受領通知書」をつけ
  て各管理職や現場責任者に配付します。

   事務局の仕事で、これと並んで重要なのは、5月のマネジメントレビューです。樋口さんは、1月ほど前
  から、内部監査、文書レビュー結果、教育訓練実績のまとめ、クレームや是正処置のデータ分析資料など
  を、約80ページのマネジメントレビューインプット記録にまとめ、あらかじめ社長に提出します。樋口さんの
  会社では、初代の村上さんが、しっかりとしたフォーマットを作ってくれていますので、これを守って確実に
  進めれば間違いありません。樋口さんも、先人が作ってくれたシステムを壊さないように、守ってゆくことが
  自分の勤めだと考えています。

注)これは、良い例ではありません。マネをしないで下さい。



橋本さん(32歳)の場合

   橋本さんは、もともと製造3課の係長でしたが、ISO9001は大嫌いでした。ISOは余分な仕事を増やし、ど
  うでもいいアラ捜しばかりをするものと思っていましたから、深く係わらないようにしてきました。
   ところが、そんな橋本さんが、品質保証部に異動となり、ISO事務局をする羽目になったのです。そうかと
  いって、業務命令を拒否もできません。橋本さんは、以前に審査に立ち会った時、審査員が「仕組みを
  もっと軽くしても良いと」いっていたことを思い出し、「現場が楽になるように作り変えてみるか」と考え、自分
  を納得させました。

   そもそも、橋本さんがISOを嫌いになったのは、8年前にISO9001の受審の準備をした際、訳のわからない
  まま、たくさんの「作業手順書」や「QC工程表」を作らされたからです。しかし、実際の現場は、「工程チェッ
  クリスト」で管理されていて、苦労して作った「作業手順書」も「QC工程表」も、全く使うことがありません。
  それにもかかわらず、外部の審査や、内部監査では、毎回のように「工程チェックリスト」と「作業手順」と
  「QC工程表」を突き合わされ、その矛盾を指摘されて、修正をさせられました。
   内部監査も、何とか変えたいものの一つです。毎回、「品質方針は知っているか」とか、「文書の最新版
  は保管されているか」とか、「顧客支給品は台帳に記録されているか」とか、同じ話しばかりで時間のムダ
  です。

   橋本さん、ISO事務局になって、ことあるごとに「QC工程表は廃止しよう」とか、「内部監査で分かりきった
  質問はやめよう」などと提案してみるのですが、いつも管理責任者や、認証当時の推進メンバーの反対に
  あって却下されてしまいます。「コンサルタントが必要だと言っていた」とか、「それは、審査で指摘されてで
  きたルールだから変えられない」などと言われると、その時に立ち会っていなかった橋本さんには、それを
  言い返すことができません。結局、何も変わらない状態のままで、橋本さんのモヤモヤが続いています。




中村さん(37歳)の場合

   中村さんは、大手電機部品メーカーの高松工場の品質保証課員です。入社以来、製造や技術開発の
  仕事をしてきましたが、2年前に品質保証課に移りました。担当業務は不良・クレームの対応とISO9001の
  事務局です。

   ただし、事務局といっても、品質マニュアルや管理規定の管理は、東京の本社が行っています。また、
  審査機関への窓口も本社なので、中村さんが審査機関と直接に連絡を取ることはありません。工場の事
  務局の仕事は、工場内の作業標準の管理、内部監査の実施、是正処置の管理、QC教育などです。
   東京本社の品質保証部には、各工場でISOを立ち上げたメンバーが集まっていて、ISO規格についても、
  品質マニュアルの内容についてもよく知っています。工場の第三者審査や内部監査の際などにも立ち
  会って、いろいろとアドバイスをくれます。審査員から難しいことを言われた際には、審査員と対等に議論
  して、落としどころを交渉してくれるので頼りになります。

   マネジメントレビューは、1年に1度、全社の品質保証担当者会議の中で行います。本社指定の様式に、
  工場の1年間のデータをまとめ、QMS経営者である工場担当常務に報告をします。

   中村さんは、全社共通のシステムでは、どうも工場に合っていない部分があるような気がしています。
  形式的で共通化しやすいところだけがシステム化されて、やたらと厳しくなっています。反面、品質に直結
  する製造工程の要の部分は、ルールが曖昧なまま流されています。
   中村さんは、そのあたりの疑問について、何度か品質保証担当者会議の中で質問してみました。これに
  対し、本社は決まって「ISO規格に合っている。今の仕組みで長年審査を受けているが、何も言われたこと
  はない」という趣旨の説明をします。中村さんには、何か違うような気がするのですが、今の仕組みを作り
  上げた本社の前任者のほうが工場のシステムについて良く知っており、いつも言いくるめられてしまいま
   す。
   どうも、中村さんには、システムを動かしているという実感はありません。本社から言われるがままISO
  の書類作らされている。そんな感覚が抜けないのです。




吉村さん(28歳)の場合

   吉村さんは、清掃会社の総務部員です。
   1年前までは営業部で現場の管理をしていたのですが、昨年の9月のある日、社長に呼ばれ、「総務の
  浜田君が、急に辞めることになったので、その後をやってくれ」と告げられ、総務部に移りました。
   担当業務は、人事、庶務、労務、それにISOの事務局と幅広いにもかかわらず、引継ぎは1日しかありま
  せん。他の引継ぎで精一杯で、ISOについては「この通りにすればいいから」と品質マニュアルを渡された
  だけです。しかし、それも忙しくて目を通すヒマがありませんでした。

   吉村さんは、今までも営業部員としてISOの規定に従って仕事をしていたはずですが、ISOの説明など受
  けたことがなく、ISOの中身などまったく知りません。どこかに研修でも受けに行きたいと思ったのですが、
  時間はないし、会社も費用を出してくれそうにありませんでした。
 
   4月になって、社長から吉村さんに「たしか、ISOのマネジメントレビューが要るはずだろう」と話しがあった
  ので、吉村さんは、ようやく品質マニュアルを読みました。よくわからないまま、昨年の報告書を真似して
  書類を作り、社長に提出しました。この際、2月に内部監査をやっていなければいけなかったことが分かり
  ました。
   6月には審査機関の年に1回の審査がありました。結局、内部監査はやっていなかったので、指摘をう
  け、7月までに実施しました。たいへんでしたが、他の人の現場を見るのは、意外に勉強になりました。
  この他、1年に1回の購買先の評価というのがあるらしく、これも指摘を受けて記録を作りました。こちらは
  ただ面倒くさいだけでした。

   6月の審査の際、吉村さんがあまりに何も知らないので、審査員もあきれていましたが、ISO9001の内
  容について吉村さんに優しく解説してくれました。審査とういうよりも、ほとんどコンサルタントを受けたよう
  なものです。吉村さんは、それまでISOを厄介な物と考えていたのですが、審査員から「ISO9001を上手に
  使えば、会社の仕事が効率よく回る」という話しを聞き、少し興味が出てきました。今は、何とか時間を
  作って、ISO9001を一度勉強してみたいと考えています。




◆ 三代目の立場

 ISO認証取得を指揮した初代の事務局は、ISO規格を良く勉強しており、もちろん自社の仕組みを熟知しています。
それだけの時間も予算も与えられていますから当然です。
  二代目の事務局には、現場の一員などとして認証取得を経験した人が多いでしょう。ですからISO取得の目的や
効果を、実感として理解しており、しかも、初代の事務局からしっかりと引継ぎを受けています。
 しかし、三代目ともなると、そんな手厚いフォローは受けられません。事務的に引継ぎをされただけで、トレーニング
の期間などありません。さらに、本人がISO取得後の入社だったりすると、取得当時の盛り上がった(改善が進んだ)
雰囲気は知りません。このように、初代と三代目では、全く条件が異なります。しかし、違いはそれだけではありませ
ん。

 初代事務局の時期のISOは、特別なプロジェクトでしたから、ISOのための特別な仕事をすることに疑問を持たず、
それを前提とする仕組みが作られました。しかし、三代目の頃になるとISOは通常業務になっており、形式的な仕事
に対する社内の目が厳しくなっています。
 ところが、多くの会社のマネジメントシステムが、最初に作った時からほとんど変わらず、特別な仕事のままなので
す。しかも、そこには初代事務局の思いが強く込められています(初代事務局の怨念がまとわりついています)。三
代目は、その感覚がつかめず、しかし周囲の目は冷たく、違和感を持ったままシステムを維持することになります。
事例で紹介した三代目の人々は、まさにそのような状況におかれています。




 (2)三代目にしかできない品質マネジメントシステムへ 


◆ マネジメントシステムの進化

 三代目事務局の仕事は、「初代事務局が作ったシステムをそのまま維持管理すること」ではないだろういうのは、
多くの方が感じられていることと思います。ところが、実際に会う三代目の方は、その段階からなかなか抜け出せて
いません。意識はあっても、実際に変えてゆくことは難しいのです。そうかと言って、できている仕組みを維持管理す
るだけでは仕事の成果が見えにくく、担当者も評価されません。それでは、仕事のやりがいがありません。
そこで後半は、初代事務局と三代目事務局の役割の違い、そして三代目にしかできない仕事について、述べてゆき
たいと思います。まず、1つのモデルとして、4ステップで、認証後のマネジメントシステムの進化について考えてみま
す。


  【第1ステップ(ルールの徹底)】

   認証後の最初の3年(1〜3年目)ぐらいまでは、ルールを確実に守ることが課題です。審査に通ったと
  いっても、最初の審査では50〜60点ぐらいの出来で、仕組みは完全に動いていません。維持審査でも、
  「管理外の文書を使っている」とか「測定機器の校正がされていない」といった、基本的な点が指摘されま
  す。



  【第2ステップ(システムの定着)】

   認証から4〜6年目の時期になれば、基本的なルールは守れるようになり、審査でもあまり指摘を受け
  なくなります。ただし、ISOを完全に使いこなしているかというと、そうでもありません。確かに、ISOで決めた
  仕組みが、ある程度まで自然に実行されるようになっています。しかし、一方では、審査対応として形式的
  な記録作り続けている部分も残っています。だんだん、前者は意識されなくなりますから、後者の形式的
  な部分ばかりが目立ち、ISOを維持することに疑問を持つ人も出てきます。



  【第3ステップ(模索の時期)】

   マンネリ化してあまり効果が感じられなくなった仕組みを、会社のマネジメントのために有効なシステム
  に改めます。そのために、様々な方法を試してみる時期です。具体的には、経営方針・事業目標の実現の
  ために、ISOを活用してゆきます。また、品質保証の強化、リスクの回避、業務の効率化、従業員のレベル
  アップといった実質的なメリットにどのように結び付けて行くかを考えます。もちろん、審査対応の形式的な
  システムは改め、自社にとって本当に必要なことだけを行うようにします。認証から7〜9年目ぐらいを想
  定しています。



  【第4ステップ(完成期)】

   自社のマネジメントシステムの形を完成し、ISOを本当の組織管理のシステムとして活用する段階です。
  マネジメントシステムは、会社の課題を解決し、方針目標を実現するための基盤の仕組みとして定着しま
  す。当初は、仕事の標準化やルールの順守が目的だった仕組みが、真に会社のマネジメントを方向付け
  る仕組みとなります。




◆ ルール順守からマネジメントへ

 私は、ISO9001審査員として登録10年前後の組織を訪問することが度々あるのですが、その印象ではこの第3、第
4ステップに進んでいる会社が、5社に1社ぐらいはあります。もちろん、個々には時期や内容など様々な違いがある
ので、まったくモデル通りということはありませんが、大きく見ればこのような方向に進んでいるのです。

 もっとも、5社に1社ということは、残りの大半の会社は、第2ステップで止まっているわけです。活動はマンネリ化
し、形式的な文書がわずらわしく、ISO認証の返上も度々話題に上ります(でも顧客の手前、止められない)。
 ここから、第3ステップに踏み出せるか、そのまま停滞するかの分かれ目となるのが、認証6〜9年目当たりです。
そして、三代目が事務局を勤めるのがこの時期です。

 このようなマネジメントシステムの改革は、初代事務局には難しいようです。初代事務局の多くは、審査対策として
のISOが頭に染み付いていて、頭の切り替えができません。何よりも、自分が作ったシステムは変えられません。そ
れに対して、三代目ともなると、固定観念が無く、客観的な目で見ることができます。
 したがって、三代目には、ぜひこの"ルール順守の仕組み"から"マネジメント"への改革にとりくんでいただきたいと
思います。


◆ 乗り越えなければいけない壁

 しかし、三代目がシステムを見直し、マネジメントに進化させるためには、いろいろと壁があります。
 その一つ目は、1度できあがっている仕組みを変えるのが、たいへん難しいことです。大筋では改良が必要だと思
っていても、既にある仕組みはすべて正しいように見え、どこをどう変えても良いのかどうか判断がつきません。
 また、今までの形式的なISOの運用で、社員は「ISOは余分な仕事を増やすもの」と思い込み、協力的ではありま
せん。その認識を変えて、改善に取組んでもらうのは難しいことです。さらに、経営者自身が、ISOに疑問を持ってい
る場合には、方向転換は容易ではありません。

 でも、こういったことを振り払って進まなければ、面倒くさい形式的な書類作りの仕事から抜け出せません。
  下記は、そのような三代目の皆さんへのメッセージです。



  1.ISOを信じよう

 ISO9001もISO14001もその他のマネジメントシステムも、うまく使えば、会社の長年の課題を解決し、
文化をも変えてしまうたいへんすごいツールです。まず、これを使えば何でもできるということを信じま
しょう。事務局って美味しいんです。


  2.ISO規格を改めて読もう

 事務局になる前に、おかしい(過剰だ、形式的だ、理屈が通ってない)と感じていた点があれば、多
くの場合、それは正しいです。 10年前に作ったシステムであれば、多かれ少なかれ、形式的で余分
なことをしています。自社のマニュアルとISO規格とを、1文1文つき合わせて、何がISOの要求で、何
が必要でないかを見極めて、ムダな仕組みは取っ払いましょう。


  3.マネジメントをしよう

 マネジメントシステムの本来の目的は、会社の方針・目標を実現することです。ISO事務局は、経営
者の意向を受けて、会社の課題を達成し、問題を解決するための推進役です。事務局の仕事はマネ
ジメントであって、審査対策ではありません。したがって、年度目標も、品質管理も、改善活動も、審
査のためではなく、それが事業全体にとってプラスになるかどうかで判断して下さい。


  4.ISOは表に出さず、結果で示そう

 ISOに対して固定観念を持っている社員や経営者の協力を得るのは、難しいことです。これらの人々
に、ISOの重要さを強調することは、かえって逆効果です。
 目標の展開や改善活動を行うのに、ISOを強調する必要はありません。むしろ「ISOに関係なく必要
だ」というスタンスを貫き、改善の結果を出してください。時間はかかりますが、結果が出れば、ISOの
枠組が自然に会社の中で機能してきます。何がISOなのかよく分からないが、結果としてISO事務局
が、会社を引っ張っているということになれば成功です。



 三代目事務局の皆さんには、事務処理部門ではなく、全社の牽引役として成果を上げていただくことを期待しま
す。では、最後にもう1人、三代目を紹介しましょう。



小川さん(32歳)の場合

   小川さんは、約300人のプラスチック工場の品質保証部員です。品質保証部は、二代目の管理責任者
  である西村部長と、ベテランの結城さんと、それに小川さんの3人です。会社がISO9001を取得したのは
  8年前で、小川さんは2年前に品質保証部に配属になりました。

   この会社の品質マネジメントシステムは、最初は「標準化」を進めることを目的に始まったのですが、現
  在では手順書が整備され、しっかりと順守されており、ほぼ目的を達しました。そこで、品質保証部の活
  動は、QMSをいかに結果に結びつけるかに重点が移っています。具体的には、年度目標(品質、効率化、
  技術開発)の設定と進捗管理、QCサークルやリスクマネジメントなどの予防処置の管理に力を入れてい
  ます。また、クレームやトラブルに対して、再発防止が確実に行われるように管理するのも、品質保証部
  の役割です。

   内部監査についても、最初はISO9001の条項に従って教科書的な監査をしていたのですが、3、4年目
  からは全く指摘が出ないようになりました。そこで、EMSの監査と合体させ、年度目標中心の監査をする
  ようになっています。6月の内部監査では、目標値や実施計画が適切かどうかを中心に確認します。12月
  の内部監査では、計画の進捗度と、残りの期間でどのように目標を達成するかをディスカッションします。
   現在、この監査は品質保証部と環境安全部のメンバーだけでやっています。元々は、内部監査員の資
  格者全員に割り振っていたのですが、監査員のレベルのバラツキが問題となり、特定のメンバーでやる
  ことになったそうです。小川さんも、配属されてから2年間は監査メンバーとして参加し、次回からはリー
  ダーをやります。

   ただし、このやり方も、各部門が対応に慣れて指摘が出なくなってきたので、またやり方を変えようと検
  討中です。現場中心の監査や、多くの人に監査員をさせることも、別のメリットがあるので、一度その形に
  戻してみようかという話になっています。特定の方法に固定することなく、その時々に合わせて変えてゆく
  というのが、会社の考え方です。
   品質マネジメントシステムは、西村部長の強い指導力と、現場出身の結城さんの確かな判断に支えら
  れています。小川さんは、品質保証部にいる間に、できるだけ西村部長と結城さんの考え方や技術を吸
  収し、自分を伸ばして行きたいと考えています。




月刊アイソス 2010年7月号掲載
特集「三代目事務局の時代」より



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