らくらくISO9001講座

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らくらくISO9001の法則

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  その1 楽なISO9001とは維持が楽なこと
  その2 ISO9001はまじめにやったほうが楽
  その3 ISO9001を仕事に合わせる
  その5 今の仕事のやり方は、だいたい正しい
  その6 儲けに繋がらないことはやらない
  結 論 楽して元をとろう





その1 楽なISO9001とは維持が楽なこと
 建設業ではISO9001の認証を取得した多くの会社が、過剰な文書と記録に苦しんでいます。「楽に
ISO9001が取得できます」というコンサルタントや参考書に従ってシステムを作ったはずなのに、ど
うしてそうなったのでしょう?
 それは、指導を受けたのが、楽にISO9001を取得する方法であって、楽にISO9001を維持する方法
ではなかったからです。認証取得は1年ほどの作業ですが、維持はずっと続きます。また、取得だけ
なら事務局でごまかせても、維持は全員でやらなければなりません。ですから、維持が楽でなけれ
ば何もなりません。
 そればかりではありません。数10人程度の小さな建設会社が、認証取得後もISO専任の担当者を置
いて、記録を作らせていることが多いようです。これは、人件費を考えれば、ISOの維持に年間500
万円以上をかけていることになります。なんと無駄なことか。きちんとISOをやっていれば、専任の
担当者など不要なのに(しかも、ISO9001のメリットで十分に費用は取り戻せます)。これは、小さ
な会社にとっては死活問題です。
 ISO9001に取り組む際に、認証だけを考えて判断してはいけません。どうすれば楽に(もちろん余
分なコストをかけずに)維持ができるかを考えましょう


その2 ISO9001はまじめにやったほうが楽
 「品質管理をまじめにやったら大変だ」と言うのが、多くの人が最初に持つ印象かもしれませ
ん。しかし、ISO9001は今までの品質管理手法とはずいぶん雰囲気が違います。
 ISO9001には大まかなことしか決まっておらず、具体的な管理のやり方は自分で決めます。したが
って、製品や会社の規模や実力に合わせて、それぞれの会社に合ったレベルで仕事を管理すること
ができます。決して、無理なことを求めてはいません。
 一方、審査のやり方も、今までの行政手続や立入検査とは違います。ISO9001の審査では、仕事が
実態として決めた通りに行われているかを、生の記録を見ながら調査します。こちらは、逆に厳し
くなります。ですから、審査でインチキをしようとすると、たくさんの生データを偽造しなければ
ならず、大きな負担となるのです(そこで専任の担当者を置くことになる)。
 ISO9001では難しいことをする必要はありません。一方、ごまかそうとすれば大変です。ですか
ら、インチキをするよりも、まともに管理したほうがよっぽど楽なのです。準備の段階で、まじめ
に、そして上手にシステム作りをやれば、普段の仕事でISOの維持ができるようになります。

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その3 ISO9001を仕事に合わせる
 楽に維持ができるISO9001とはどのようなものか、それは、こんな感じです。
現場の人はISOを意識せずに普通に仕事をしているが、ちゃんとISOに
合っている。現場から出てくる記録が、そのままISOの審査に出せる。

 「そこまで現場のレベルを上げるのは無理だ」と思われた方は、発想を変える必要があります。
 ISO事務局がルールを決め、その通りにやってもらおうと思うから、現場の人に動いてもらえない
のです。逆に、現場の人がやっている通りにルールを決めれば、現場の人はISO9001の規定など読ま
なくても、ISO9001のルールに合っていることになります。
 「そんなんで本当にISO9001の審査に通るの?」
 大丈夫。ISO9001には細かいことは書いてありませんから、それなりに仕事をしていれば、だいた
いISO9001で説明できます。
 このように、「仕事をISO9001に合わせる」のではなく、「ISO9001を仕事に合わせて解釈する」
のが、楽なISOシステムの作り方です。



その4 ISO9001の要求は、今もやっている
 「今やっている通りに規定に書けば良い」と言葉の上で言っていても、本当にそうなっている企
業は少ないですね。
 うまくゆかない原因の一つは、「自社は今までISOに合った仕事をやっていない」と思ってし
まうことです。やっていないと思うのだから、今までやっていない新たな方法で管理を始めること
になります。そこで、次のように考えましょう。 
「ISO9001に書いてあることは、今も当社でやっていることばかりだ」と
信じる。決して「当社でやっていないことが書いてある」とは考えない

 例えば、「7.4.1購買プロセス」の「供給者の評価」はどうでしょうか。新しい購買先を選ぶとき
は、カタログを見たり、説明を聞いたりします。また、取引中の業者であれば、「あそこは対応が
良い」「仕事が雑だ」など、必ず何らかの評判があります。このように、普通の会社は必ず供給者
を評価しています。ただ、文書や記録にまとめていないだけです。
 こればかりではありません。一見すると特別なことのように思える、マネジメントレビュー、設
計のレビュー、文書管理、プロセスの妥当性確認なども、みんなやっています。ただ、文書や記録
が足らないだけなのです。
 この点をよく理解して、実際に機能しているシステムをベースに仕組みを作りましょう。元々動
いている仕組みですから、ISOの中でもしっかり機能します。

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その5 今の仕事のやり方は、だいたい正しい
 会社の仕事は、だいたい合理的に行われているものです。例えば、高価なものや危険なものは厳
重に管理し、安いものや危なくないものはほどほどに管理します。自社でできる範囲、顧客が納得
する範囲で、コストに見合う範囲で、うまくバランスが取られているのです。
 「今やっている通りにISOの規定に書く」ためには、この製品のレベルに応じたいろいろなや
り方を認めることが必要です。コストが合わないから手を抜いているのではなく、コストに会うや
り方が正しい方法なのだと思いましょう。これらを無理に厳重な方法に合わせたり、ひとつの方法
にまとめると、仕組みが機能せずかえって手間が増えることになります。
 建設業のISO9001では、小規模工事を認証対象外とする会社が多くあります。その理由は、小さな
工事をISOで管理してもコストに合わないと言うことらしいのですが、完全に的はずれです。小
さな工事であれば、それに見合った管理体制と文書と記録があれば、それなりの品質保証がされて
おり、ISOにも十分に適合します。
 ISOでシステムをまとめる際は、自社の仕事を、仕事のやり方の違いでよく分類して、それぞ
れに見合った仕事ができるように、方法を決めてゆきましょう。



その6 儲けに繋がらないことはやらない
 ISO9001の目的は、会社を発展させること。端的に言えば、利益を上げることです(もちろん目先
の利益を目指すものでなく、長期的な発展を目指していることは、言うまでもありません)。「品
質を良くして顧客に喜んでもらう」「社内の業務を効率化する」「従業員にやりがいを持ってもら
う」などの目標も、会社を発展させるための手段です。
 品質マネジメントシステムを検討していると、どの程度まで管理すべきか迷う局面が、頻繁に現
れます。その時は次の点で判断しましょう。
  ◆これをやれば不適合品が減って顧客に喜んでもらえるのか
  ◆これをやれば顧客に安心してもらえるのか
  ◆これをやれば業務が効率化して仕事が楽になるのか
  ◆これをやればトラブルが減って、気持ちよく仕事ができるのか
  ◆これは経営者がやりたいことなのか
  ◆将来の会社の発展や儲けにつながるのか
 このように考えれば、最低限やるべきことが見えてきます。同時に、何が無駄かもわかります。
誰も喜ばないような管理をやっても意味はありません。それは、管理のための管理であって、シス
テムを重くして会社にとってマイナスになるものです。



結論 楽して元をとろう
 ここまで、今やっている仕事のやり方をそのままISOのルールにしてしまおう、というスタン
スで書いてきました。では、このような考え方で取り組んだ企業は、ISO9001の認証を取得した後も
従来通りの仕事をしているのでしょうか。決して、そうではありません。
 今までの仕事を整理する過程で、責任の不明確なものや、無駄な書類などが修正されてゆきま
す。また、自社の弱点が明らかになって、経営者や担当者から「これを機会に改善したいと」言う
声が上がります。こうして、今までの仕事より着実にレベルアップしてゆくのです。
 もちろん理想論ばかりで、実行できなければ何もなりませんから、目指すのは「現状より2割の
管理レベルのアップ」です。管理を強化する時は、本当にできるか、担当者にやる覚悟があるかど
うかを見極め、やれると判断したことだけをやるようにしましょう。
 楽に運用しながらISOの改善効果をしっかり得る。こんな良いことはありません。現場の人々
に、「今までとやることは変わっていないんだけど、しまりができた」「仕事がしやすくなった」
「何か自信が付いてきた」と言ってもらえるようなシステムが理想なのです。

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