福建省永定「土楼」探訪記

2007年3月

 

福建省には「客家」の集中住宅として「土楼」が多数存在しており、その中にも福建省南西部の永定地方にある土楼は最も有名です。

まず、四角形の土楼を見学しました。

「全国重点文物保護単位」とは、国レベルの重要文化財のこと、つまり国宝級の宝物です。福建省にある約2万個の土楼の中に、このような国宝級の土楼は全部で5つあるという。

入口正面には、先祖を祭る祠堂であり、儒教の伝統の現れと言えよう。どの土楼もほぼ同じです。

共同の居住空間であるため、住民としての心得と管理規定は入口のところに掲げられています。

近代以来、土楼の住民から科挙試験のトッポレベルの合格者を多数出しているので、先祖さまを祭る祠堂には彼らのことを大きく掲げています。

土楼の中の建築は精巧な木造物が中心となり、百年以上の歳月を経った現在でも鮮やかな色が残されています。

雨の中の土楼訪問は、神秘的なムードさえ感じられます。

住民の日常的な営みは土楼の「命」だと言われています。1階は住民たちの台所と貯蔵室となっています。

トイレは外にあるのは意外でした。一家に一軒で、ドアには鍵が掛けています。

木の根っこの形となっているゴミ箱。左側が回収できるもの入れ、右側が回収できないもの入れ。

土楼と一般の住宅が一体に溶け合った風景。素朴だが美しい。

これは数多くの土楼の中にも知名度ナンバー1の「振成楼」。

もちろん、「国宝級」です。

二重円楼の形をしているため、玄関を入ったら、中にまた煉瓦製の円楼があります。

さまざまなお土産品を販売する店も数軒あります。

三階建てと見えるかもしれませんが、撮影者が立っているところは一階なので、最上階は四階であるとお気づきでしょう。

「振成楼」の正面の祠堂はヨーロッパ風の柱と欄干が印象的。2階を一周した欄干も木製ではなく、鉄製のものである。民国時代に入ってから立てられた土楼として、時代の変化もここに記録されていた。

「振成楼」から民国政府の高級官僚や技師を輩出したため、黎元洪副大統領などの揮毫も飾られています。

祠堂のもう一つの機能は舞台であり、祠堂向こう側の2階(入口の真上)は一等席となります。お客さんをここに観劇招待するため、床は周りの席よりやや高く作られています。

階段は数カ所あり、登ってみよう。

最上階からの展望は圧巻です。

「承啓楼」も国宝級の土楼です。入口の対聯の頭文字は「承」と「啓」ですね。

台所の煙突は外につながっており、歳月はここにも凝縮されている感じ。

土楼探訪の旅は一生忘れない。


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