Yearning for the old days 
2007/06/18
     

トイレ


   
   
 カウンターには好きな雑貨を並べ、ポプリやルームスプレーの仄かな香り。
インテリア雑誌やダイビング雑誌を手に取り、ページをめくる。

 お風呂の次は、我が子どもの頃のトイレの話。
やはり広〜いは言えないが、そんなにも狭くもなかったかと思います。
ちょっと立て付けが悪い開きドアのきしむ音が今でも耳に残っています。

 汲み取り式トイレだったときの記憶はほとんどないのだけど…。
蓋がされて埋められて、水洗式トイレが設置されたような記憶もなきにしもあらず…?

 一段踏み上がるようになっている水洗式の和式トイレでした。
床は、当時主流だったと思うお馴染みのタイルです。
水色をベースに緑や赤茶、黒の丸味ある大小のタイルが混じり合っている。
今でもたまに、古びた(失礼!)民宿のトイレで、同じタイルを見かけることがある。
懐かしい…。今では昭和なレトロなというのでしょうが、自分がまさに過ごしてきた時
代ののものをそう言ってしまうのにはまだ抵抗があります。(笑)
しかし、どうかこのままの姿で残しておいてほしいと願ってしまいます。
 
 今様のトイレットペーパーになる前は当然、「ちり紙」。
ちり紙入れにドサッと置かれいたっけ。
ティッシュペーパーなんてもなかったから、「鼻紙」としても使っていたっけ。
今思うに、案外とトイレットペーパーよりも使いやすいもののような気もする…。

 さて、このトイレ1つに大家族11人だから…、
入りたいと思っても先客がいることがしょっちゅうでした。
「次が私〜」 「え〜次の次のが私〜」 「早く〜」などとよく叫んでいたもの。
そう、幼稚園頃までだったと思うのだけど、どうにもならないときには、風呂場や外に
て用を足すことがしばしばあったっけ。(笑) 
当時は別段思わなかったけれど、ちょっぴり切ない…。
そして、祖父、父、叔父たち、大人の男性5人もいるのだから、何だかいっつも煙草臭
かったけれど、当時はそんなものだと思っていたのですね。

 幼き頃は、夜中には一人ではトイレに行けなかった。
母を起こして、暗い階段を下り、祖父母が寝ている足下を通り抜け、トイレに辿り着く。
静まり返った中、ようやくパチッと電気をつける。この闇と音が今も記憶に残る。

 しかし。順番待ちがあろうと、冷や汗かこうと、家のトイレはノン・プロブレム!
何といっても驚異だったのが、幼稚園の「汲み取り式」のトイレでありました。
そう、悪臭立ちこめ汚物に向かって大きく開いた穴は、耐え難い恐ろしさを放っていた
のです。四方の壁とドアはそこに追い立てるかのようでした。さらにそれを助長するの
が、あのトイレの木のサンダルです。幼少の小さな足には、カロンコロンと大変に不安
定で重い。脱げそう、躓きそう、踏み外しそう…。何でこれなんや。
兎にも角にも、決死の覚悟で挑む、心臓はバクバクでありました。(あります)
母にも話していませんが、私を一時不登園に貶めた元凶であります…。

 
スウェーデンハウス建築の打ち合わせで、ぽつりとトイレの床をタイルにしたいな〜
と呟いたことがありました。設計士さんからは、それはできない?やめた方がいい?
ようなことを確か言われたっけ…。そうですか…と理由も聞かずにフェードアウトした
けれど、ちょっとばかり淋しかったっけ。
 

 
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