2014/1/5更新
4倍TK相当サイドビューイラスト●更に大きな絵

1.更に大きな絵の迫力
 サイドビューの制作過程において、その終盤では細かいディティールの追加に主眼が置かれるようになる。この過程では、小さなドットを描画する事と、それが全体に及ぼす効果の確認を繰り返えす。具体的作業は、絵を拡大して描画・縮小して確認、となる。
 作画ソフトウェアでは、この一連の拡大・縮小が連続的に操作できるようになっているから、必然的にいろんなサイズの絵を見ることになる。絵の完成度が上がってくると、その拡大表示においてもそれなりにカッコ良く見えるのである。

 これは今回のEF81で気づいたことではない。でも、50mm/dotスケールの精細度で描画すれば、完成画をその2倍サイズで表示しても、結構見応えがあるのだ。まあ、いささか手前味噌な話だが・・・
 この理由として、50mm/dotスケールが車両の表現に必要とされるディティールを、具体的なドットとして描くことができ、ほぼ網羅して表現できる縮尺であることが挙げられると思う。
 即ち、私たちが実車を想像した時に思いつく車体ディティールの多くが、絵の中に表現可能であり、かつこの縮尺であれば概ね妥当なサイズで表現できている、ということであろう。(※1)


2.倍TKサイズと更に2倍表示の比較と印象
 ということで、当サイトのサイドビューイラストで用いている、いわゆる倍TK規格相当(※2)の50mm/dotサイズの絵を、ピクセル・リサイズ機能で2倍化(単純に、ある1dotの周囲にある3dotを同じ色調で埋めて倍寸化)したのが下の絵だ。
 オリジナルの絵と比較頂けば、それが分かろうかと思う。
オリジナル(倍TK相当)サイズのEF81
オリジナルをピクセル・リサイズで2倍の大きさにしたEF81
↑上に示した倍TK規格相当(50mm/dot)の絵を、単純に2倍(面積は4倍)にしたもの

 結構な迫力である。
 頑張って絵に盛り込んだ、細かなディティール表現も良く分かる。
 でも、欲を言えば、パンタグラフがTOY的。側面エアーフィルターが単調。手摺も太い。
 下廻りはピンボケ(フォーカスがずれた)の写真みたいで精彩さが足りない。
 屋根上の高圧母線も、ここまでは太くは無かろう。窓廻りのアンチエイリアス処理も滑らかさに欠ける。


3.4倍TKサイズの試行
 それならば、この問題点を解決したらどうなるか、というのを確かめるべく上述した不満点を改めてオリジナルの2倍の大きさで描き直したのが下の作例だ。

4倍TK相当に描画し直したEF81
↑指摘の箇所を4倍TK相当(25mm/dot)で描き直したもの

 パンタグラフは目覚しい改善だ。窓廻りや飾り帯も滑らかになった。手摺も自然になり、ナンバーや標記もリアルになって、日立のエンブレムがはっきり読み取れる。
 エアーフィルターの鎧は本来は20段のところを、現縮尺ではストライプ表現の上限となる15段にごまかして描いた。けれども見違える出来だ。
 下廻りはデフォーカス感が格段に改善して、端梁周りもよりリアルになった。

 でも、印象としてはさっきまでNゲージを眺めていたところに、16番を引っぱり出してきた。という感じ。
 確かに細密化したけど「活きている」感があまり感じられない。
 実は下の絵で「改善」したのは、元々倍TK(50mm/dot)サイズにあったディティールを、細線化した点だけなのだ。
 元の絵に付加したものといえば、エアーフィルターの鎧を具体的に描画した以外は、僅かに正面ナンバーくらいでしかない。


4.4倍TKサイズのまとめ
 絵が大きくなると迫力が増すことは間違いない。
 しかし、絵が大きくなると、盛り込む事が出来る要素もまた増えてしまうし、表情さえも垣間見えてしまう。
 例えば、台車の配管類や細かなディティール・車窓越に見える運転台・屋根上のランボード廻り・etc....
 更に、上述した構造物のみならず、車体が広面積化することで、塗装も画一であってはなるまい。適度なウェザリングがあってこそ「活きている」感が表現できるのかも知れない。

 これらを実現しようとすると、更に精細な資料の準備が必要だし、塗装の話になるともはや絵画的センスも求められよう。
 そして、一番のハードルは、現サイズ(50mm/dot)の更に4倍の面積を描画するという、制作者のモチベーションとその維持と言えようか。
 4倍TK相当で満足のいく絵を描くには、面積比を超えたセンスと根気が必要。つまり、このサイズの絵の量産は難しい。。。という考察に落ち着いてしまう。(もちろん筆者の技量ではの話)

 突き詰めて考えると、結局は「何のために描くのか」「何を伝えたいのか」という側面画描画の原点に辿り着くものと考える。
 今回はたまたま4倍TKサイズだったけど、描こうと思えばいくらでも大きく出来る。しかし、大きくなるほどに1両でも画面一杯になってしまい、伝えたいものの性格も変わってこよう。
 制作者が絵を通じて何を伝えたいか、絵に求められる細密さのレベル、単独か編成かといった表示コンセプト、そして資料の入手性、そういった要因が描くべきサイズを決めていくのだろう。
 そういう意味で私にとっての4倍TKサイズは、限定販売される人気菓子のBIGサイズ版と同じような存在なのかも知れない。


5.おまけ
 文章が長くなってしまい、お読み下さったお客様を随分退屈させてしまったので、4倍TKサイズの習作をもう一点お目にかける。
 やはり、4倍TKサイズは大迫力、という自我自賛につられて描きかけたキハ52だ。が、こちらは床下機器を眺めるうち、早々にモチベーションとやらの欠乏に至った。
 故に、下廻りにはまったく手を付けていないし、車体も修正が効いているのは窓廻りくらい・・・。
 その駄作ぶりにはどうぞご容赦を。

車体の主要部分を4倍TK相当で描画したキハ52


 上の絵は少々みっともないので、少し時間かけて頑張ってみた。
 DT22は、2012年11月に制作したカニ24のTR66B(DT21類似)を描いたときに、4倍TKへの展開を考慮していたので労せずして改良版が描画できた。(一方でDT21とDT22の台車側枠の微妙な相違にも気付かされた。大サイズ故の発見である。)
 手摺やベンチレーター、ラジエターの給水栓、下廻りもところどころ手を入れてみた。それが下の絵である。
(2012/11/18追記)


 ところで、当サイトの絵は「サイドビュー・イラスト」と称しているが、これまでの考察を考慮すると躍動感を伴った「イラスト」と呼ぶのはいささかおこがましい。どちらかというと図面的な「グラフィック」を用いるべきではいか。と思えるようになった。

 んー、と一時は思ってみたが、ここに掲出した絵を見て下さる皆様の想いはどうあれ、「グラフィック」という単語が私には無機質に感じられてならない。
 先輩諸氏のサイトのような叙情的な表情は無いのだけど、描画手法がアナログなドット絵の域をでていないこともあり、当面は「イラスト」で続けさせて頂こうと思う。
 その後、4倍TK相当の絵も少しずつ増やすことが出来たので、以下に列記させて頂く。(2013/11/30追記)
 
4倍TK相当キハ52・改良版(2012/11/23)
↑下廻りを中心に相当(!)手を加えた。苦労の割りにドラスティックな変化は得られない。(2012/11/18追加、2012/11/23修正)

線路・架線も4倍TK相当で描画したEF81
↑4倍TK相当 EF81
4倍TK相当で描画したキハ65
↑4倍TK相当 キハ65
4倍TK相当で描画したオハフ50
↑4倍TK相当 オハフ50

(※1)
 例えは、絵の縮尺の基準としてしばしば引用するTKサイズは100mm/dotである。これは100mmの幅・高さを1dotで描くことを意味する。だが、鉄道車両には手摺・Hゴム・パンタグラフというような、1dot幅で描画すると明らかにオーバーなディティールも多く存在する。
 こういったパーツは、絵全体のバランスや実車イメージを勘案して省略を決意するか、アンチエイリアスを多用して背景となる車体と渾然一体と描かざるを得ない。すなわち独立したドットとして表現したくても出来ないのである。殊に、背景の無いパンタグラグや交流車両の屋根上配線などは深刻だ。
 このように表現されたものを単純に拡大すると、拡大後の絵ではディティールとしては認識し辛い。
 TKサイズは大きさが小さい、特に描画面積は縮尺の二乗に比例するという意味で、制作の時間的負担は軽減されるだろう(筆者はTKサイズを描いたことが無い)が、良質な絵を描こうとすれば良い意味での騙し・デフォルメのテクニックが、倍TKサイズを描画する場合よりも求められるものと推察する。

(※2)
 TK規格は元々電車走行キット(TrainKit)で用いる車両描画の規格である。だから、風景の中を走らせ、それを鑑賞することを前提にさまざまな機能を規定している。
 私の絵は逆に「置き物」的なものなので、それと同じ縮尺を利用しているに過ぎず、規格に準拠して描画しているわけではない。
 規格の詳細はリンクのページから、本家のサイトを参照頂きたい。


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