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『欺き』

ローレン・D・エスルマン

講談社文庫

1987

 

 

 

 

私立探偵エイモス・ウォーカー・シリーズ。舞台は自動車産業の街デトロイト。旧知の娼婦アイリスがデトロイトにジャズ・トロンボーン奏者だった父親を探しにやってきた。地味なストーリー展開ながら、エスルマンの職人技がジャズの名曲とともに燻し銀のごとく冴えわたる!

 

 

 

『山猫の夏』

船戸与一

講談社文庫

1984

 

 

 

 

灼熱の太陽が照りつける広大なブラジルを舞台に繰広げられる冒険小説の大傑作三部作の第一部。エクルウという鄙びた町の二大富豪勢力の怨念の抗争に付入る、「山猫」こと弓削一徳の野望とは何か?日本人離れした稀有壮大なアウトローの暗躍に一時も目が離せない!

 

 

 

『キャパ その青春・その戦い・その死』

リチャード・ウィーラン

文春文庫

1985

 

 

 

「崩れ落ちる兵士」という有名なワンショットで一躍伝説の報道写真家となったロバート・キャパ。10ヶ国、5つの戦争の最前線をレンズで捉え、過酷な修羅場を活写し続けた、波乱万丈な人生そのものが冒険譚!コンタックスを握り締めたままインドシナで地雷を踏み、40歳で他界した壮絶な一大絵巻。

 

 

 

『テキサス・ナイトランナーズ』

ジョー・R・ランズデール

文春文庫

1987

 

 

 

 

黒い66年型のシェヴィーが暗闇の中を疾走するオープニング・シーンが印象的。ブラックホールに突き進むようなスピード感と、目を覆うばかりの血飛沫が飛び交う残虐なシーンの連続。リベラルなインテリ夫婦と冷酷非道な少年達の死闘を描いたホラー・ミステリーのようなパルプ・ノワールの傑作!

 

 

 

『失投』

ロバート・B・パーカー

早川文庫

1975

 

 

 

 

ボストン・レッド・ソックスの有望な若手投手が八百長ゲームをしている?その投手の妻の秘められた忌まわしい過去が、どうも事件の鍵を握っているらしい。球団の極秘調査依頼を受けた私立探偵スペンサーが、体力・知力の限りを尽くして冷酷な犯罪組織に挑む待望のスマッシュ会心作!

 

 

 

『銀座遊侠伝』

梶山季之

徳間文庫

1970

 

 

 

 

主人公は祐天のテル!彼は、終戦後の銀座が未だヤクザの巣窟だった頃、「銀座警察」とも呼ばれていた、新しいヤクザ像を具現化しようとした日本のゴッドファーザーともいえる任侠のカリスマ人。叡智ある儚くも短い蛮勇の遊侠伝を、当時の流行作家が鮮やかに描く痛快作!

 

 

 

『アイスバウンド』

ディーン・クーンツ

文春文庫

1976

 

 

 

 

極寒の氷山からの脱出!冒険学者仲間内&謎の偏狭者との死闘!!米国随一の流行作家D・クーンツが、自作の元ネタに推敲を重ねた末の渾身の異色作!!!大自然との闘い&米国社会の歪みには考えさせられる!!科学者夫婦愛&逞しき男たちの友情がすこぶる印象的な作品!

 

 

 

『報復のコスト』

スティーヴン・レザー

新潮文庫

1987

 

 

 

 

コンサルタントである私は独身で、ショーナというビジネス・パートナーがいる。ある日私の父が非業の死を遂げる。ロンドンの金融界と麻薬ルートを支配する二人のマフィアが原因のようだ。私は、復讐のため犯罪スペシャリストを集めた報復チームを組織し、マフィアの首領を追いつめる作戦を開始する。

 

 

 

『ゲット・カーター』

テッド・ルイス

扶桑社ミステリー

1970

 

 

 

 

序章の灰色の空と降りしきる雨は、いかにもブリティッシュ・ノワールの舞台そのもの。転落死した唯一の兄と遺された娘に会いに、ジャック・カーターがイギリス北部へ帰郷してきた。兄の死に疑念を抱いて、非情で孤独な闘いを挑むジャック。独特の疾走感と鮮烈な文体は、名作と呼ぶのに相応しい。

 

 

 

『ヘミングウェイ・ノート』

ビル・グレンジャー

集英社文庫

1986

 

 

 

 

ヘミングウェイの表題に思わず触手を動かされた一冊。冬の顔を持つ男、そしてRセクションの諜報部員、またの名・コード・ネームをノーヴェンバーという。A・ヘミングウェイという大作家が残したという秘密のノートは実在するのか?米国・キューバといったカリブ海を舞台に、実話を絡めたシリーズがいい!

 

 

 

『サイレント・ジョー』

T・ジェファーソン・パーカー

早川文庫

2001

 

 

 

 

幼少の頃父親から硫酸をかけられ大火傷を負ったジョー。深く心を閉ざしていた彼に優しく手を差し伸べ養父となるウィル。そのウィルが少女誘拐事件に絡んで、ジョーの目の前で射殺されてしまう。まさに静謐なるジョーが淡々と真相を追っていく感動の大作!

 

 

 

『最上の地』

サラ・デュナン

講談社文庫

1993

 

 

 

 

女性フィリップ・マーロゥと評された私立探偵ハンナが、たった独りで巨大企業に立ち向かうエコロジカル・ミステリー。マティ&トムの死にまつわる謎に迫るテンポにぐっと引き込まれる。ウィットとユーモアにとんだ洒脱な会話も嬉しい、英国推理作家協会のシルバー・ダガー賞を受賞した傑作。

 

 

 

『愚か者死すべし』

原ォ

早川文庫

2004

 

 

 

 

年末大晦日の新宿警察署で狙撃事件に遭遇した伝説の私立探偵沢崎。あれから9年の歳月を隔てても、なお色褪せないプロットとどんでん返しに沢崎ワールドの完全復活を感じる。巧みな会話にはちょっと気障で渋い科白が散りばめられて、相変らず含蓄がありカッコいい。

 

 

 

『マンハッタン・ブルース』

ピート・ハミル

創元推理文庫

1978

 

 

 

 

大都会ニューヨークに居住するジャーナリスト、サム・ブリスコーが繰広げる追跡し追跡される冒険活劇。タイトルはマンハッタンなれど、ストーリーの半分は懐かしくも大いに熱きメキシコが舞台。スペードとハマーを合わせ持つブリスコーの会話は生き生きとして小気味良い。

 

 

 

『聖なる酒場の挽歌』

ローレンス・ブロック

二見文庫

1986

 

 

 

 

元警官で呑んだくれの探偵もどきであるマット・スカダーのシリーズ物。ニューヨーク・マンハッタンの孤独と哀愁タップリの舞台と憎めない呑み助たちが多士済々!で嬉しい。マンハッタンの地図片手に読み進みたい、現代ハード・ボイルド・ミステリーの傑作!!

 

 

 

『スワンの怒り』

アイリス・ジョハンセン

二見文庫

1996

 

 

 

 

エリート銀行家の妻ネルが何者かに襲われ、瀕死の重傷を負い、絶世の美女に整形された。当代随一のベストセラー女流作家が描く華麗なるロマンティック・サスペンス。謎のイケメン男ニコラスが登場して、ネルは反目しあいながらも、次第に惹かれあう関係に・・・果たして復讐は遂げられるのか?

 

 

 

『夢なき街の狩人』

W.L.リプリー

創元推理文庫

1993

 

 

 

 

元プロ・フットボール・スターのワイアット・ストームと、呑んだくれの賞金稼ぎの相棒チック・イーストンが暴れまわるという懐かしき正統派ハード・ボイルド・アクションの佳作。ともにベトナム戦争の体験での屈折した思いと悲哀がジーンと滲む。息の合った洒脱な会話にホッとする。

 

 

 

『神は銃弾』

ボストン・テラン

文春文庫

1999

 

 

 

 

中年警官ボブと元ジャンキーのケイスが、残酷無比なカルト集団の教祖サイラスと、追いつ追われつの死闘を繰広げる大傑作!ストーリィはすこぶる単純明快、かつ暴力的、破壊的ながら、詩情豊かで驚愕に充ちたノワール。カタルシスを満喫するか、カタストロフィーに絶望するか、結末を乞う御期待!

 

 

 

『殺す警官』

サイモン・カーニック

新潮文庫

2002

 

 

 

 

善玉警官なのか悪徳警官なのか?主人公は、悪党を殺すのは正義と思っている殺し屋が副業という顔を持つロンドン警視庁の巡査部長。犯人として追われながら、自分の担当事件を捜査するという錯綜したストーリーと、おぞましい結末に驚愕させられるブリティッシュ・クライム・ノベルの佳作。

 

 

 

『奪回者』

グレッグ・ルッカ

講談社文庫

1998

 

 

 

 

元陸軍隊員だったアティカスは、美少女エリカを守りきれるのか?主人公が率いるプロのボディー・ガード・チームに対するは、世界最高にして最強の英国陸軍特殊空挺部隊の誘拐チーム。手に汗握る死闘の連続で、快調にヒットしているハード・ボイルドの傑作シリーズ第二弾。

 

 

 

『死のダンス』

リチャード・スタインバーグ

二見文庫

2000

 

 

 

 

伝説のフォー・フェイズ・マンだったクセノスは、隠遁生活を送っていたフランスからニューヨークに飛んだことから、思わぬ陰謀の渦中へと巻き込まれていく。元対テロリスト要員だった作者の経験に裏打ちされたリアルでスリリングな筋書きは、読者を圧倒するスパイ活劇!さて「死のダンス」とは何?

 

 

 

『荒ぶる血』

ジェームズ・カルロス・ブレイク

文春文庫

2003

 

 

 

 

『無頼の掟』に続くJC・ブレイクの傑作犯罪小説!1920代後半から始まるオープニングは、まるで映画「デスペラード」をS・ペキンパー監督が撮ったかのような連想をさせるようで、荒々しくもスタイリッシュ&クール!!舞台設定も時代背景も人物造形も最高!!!

 

 

 

『初秋』

ロバート・B・パーカー

早川文庫

1981

 

 

 

 

数あるスペンサー・シリーズの中でも異色ながら傑作といえる一品!不遇な少年との親子関係以上に羨ましくなるような共同生活がとても新鮮。父親として、また男としての生き様が随所に描かれており、現代の父親が失っている心意気をデフォルメしているようで、暫し沈思黙考。スペンサーの科白も粋!

 

 

 

『酔いどれ探偵街を行く』

カート・キャノン

早川文庫

1958

 

 

 

 

馬車と大砲、それが探偵ライセンスを剥奪された俺の名前。作者と主人公名が同一というA・クリスティを初めとする手法で、軽快に話が展開するエド・マクベインが別名義で綴ったハード・ボイルドな短編珠玉集!古き良きニューヨークのノスタルジックな雰囲気に酔いしれるのは心地よい。

 

 

 

『夜のオデッセイア』

船戸与一

徳間文庫

1981

 

 

 

 

注射の入った試合が仕事の主人公が愛飲するは「アブサン」。ホテルのラウンジ・バーから始まる放浪の旅は、パーレビー国王の隠し財宝を巡ってニューヨークからマイアミ、ニューオーリンズ、フェニックスへと縦断していく。アメリカという舞台も申し分ないスケールの大きな冒険小説の傑作。

 

 

 

『デビルを探せ』

リチャード・ホーク

早川文庫

2005

 

 

 

 

マンハッタンで乱射、間髪なしで爆破事件と立て続けに起きた事件の犯人は誰だ?入念に組み立てられ、かつ小気味良いテンポで進展するストーリーに思わず吸い込まれ、その面白さに没頭した!私立探偵フリッツ・マローンに拍手!新たな才能と絶賛された注目のハード・ボイルドの傑作が誕生!!

 

 

 

『プロント』

エルモア・レナード

角川文庫

1993

 

 

 

 

賭博の胴元ハリーは、天才詩人エズラ・パウンドが居住していた憧れの地に赴く。何事も程よくハードでクールな悪党たちが織り成すドタバタ・ストーリー。カウボーイこと連邦保安官レイランが渋いキャラクターでグッド!巨匠の絶妙な筆致はますます冴えわたる!プロントはイタリア語で「もしもし」。

 

 

 

『侵攻作戦レッド・フェニックス』

ラリー・ボンド

文春文庫

1989

 

 

 

 

第二次朝鮮戦争という局地戦を想定した軍事スリラーのベストセラー大作。今の国際政治の力関係をリアルなタッチで描いたディテールが臨場感溢れる。特に米国・韓国対北朝鮮・ソ連・中国の駆け引きが手に汗握るシーンの連続!ペンタゴンで必読の一冊という宣伝文句も頷ける!

 

 

 

『血と暴力の国』

コーマック・マッカーシー

扶桑社ミステリー

2005

 

 

 

 

まるでサム・ペキンパー監督の映画を観ているような感覚が第一印象!会話も人物や風景描写も、区別なく単一的な描写、しかもありきたりなストーリィ、それでいて読者を摑んだら決して離さない文体!!新感覚クライム・ノベルの大傑作がここに登場した!!!

 

 

 

『狼の血』

鳴海章

光文社文庫

1999

 

 

 

 

しがないサラリーマンが或る日、突然、旧友の死と残された拳銃を手にしたのを機に、野生の本能が蘇る。執拗なディテール描写が特異な世界を醸し出している。平々凡々なサラリーマンの甲介は、如何にして狂気の世界に足を踏み入れていったのか?我々にも奥深く潜む狂気を感じつつ酔いしれよう。

 

 

 

『金融街にもぐら一匹』

マイケル・ギルバート

文春文庫

1982

 

 

 

 

イギリス・ミステリー界の長老作家が描いた警察の潜入捜査もの。しっかりした構成と無駄のない文章に、ベテランらしい燻し銀の貫禄を感じる。デヴィッドと恋人スーザンがウィットとユーモアを交えながら活躍する展開に、円熟さを垣間見る。さすが大御所は、70歳にしてこの作品を完成!!

 

 

 

『顔に降りかかる雨』

桐野夏生

講談社文庫

1993

 

 

 

 

短髪でノーメイク、マニッシュな体育会系女探偵の村野ミロが活躍するハード・ボイルドの傑作。持ち去られた1億円をめぐって事態は二転三転。主人公ミロの名前は作者が好きなJ・クラムリーの描いた酔いどれ探偵「ミロドラゴヴィッチ」から名付けられたとか?第39回江戸川乱歩賞受賞作品。

 

 

 

『リモート・コントロール』

アンディ・マクナブ

角川文庫

1997

 

 

 

 

元英国陸軍特殊部隊隊員が描いたフィクションでありながら、詳細なディテール描写と緻密な構成から、まるで実話かと思わせるようなリアリティで読者を圧倒するサスペンス。秘密情報工作員ニックが、たまたま元同僚の自宅を訪問したことからその娘との逃亡劇が始まる!

 

 

 

『夜の片隅で』

ジョン・モーガン・ウィルスン

早川文庫

1996

 

 

 

 

ゲイである元新聞記者が、元上司に依頼されたとある殺人事件について、若き新鋭女性記者とともに真犯人を突き止めていくハード・ボイルド。主人公の知られざる過去も絡めつつ、落ち着いたストーリー展開が冴え渡り、米国探偵作家クラブ賞受賞作であることも納得できる傑作。

 

 

 

『キューバ海峡』

カーステン・ストラウド

文春文庫

2003

 

 

 

 

フロリダ海峡を舞台にしたノンストップ・アクションの快作。911以後の設定ながら、キューバ危機を髣髴させるアメリカとキューバ緊張関係が迫る。ケラハーという諜報部員はいったい何者なのか?ゼフィーにも魔の手が迫る!国際的謀略に巻き込まれた元警察官リックの活躍に乞う御期待!

 

 

 

『流星たちの宴』

白川道

新潮文庫

1994

 

 

 

 

バブル時代に暗躍した仕手集団で成功と挫折を、まさしく流星のごとく輝いた男たちをスリリングに描いた迫力満点のハード・ボイルド長編傑作。作者の経験に裏打ちされた描写は現実味と臨場感に溢れ、魅力的な登場人物の一言一言も気障だが、なぜか説得力のある科白となっている。

 

 

 

『夜を賭けて』

梁石日

幻冬舎文庫

1994

 

 

 

 

かつてアジア最大の兵器工場だった大阪某所に巣食うアパッチ族と呼ばれていた朝鮮人達の苦悩と葛藤、はたまた日本の警察隊との死闘を鮮烈に描いた話題作!戦後50年の日本を総括しながら、凄まじいパワーと面白さで読者を圧倒するピカレスクロマンの最高傑作がここに誕生!!!

 

 

 

『暗く聖なる夜』

マイクル・コナリー

講談社文庫

2003

 

 

 

 

ハリウッド警察の元刑事で、今は私立探偵ハリー・ボッシュが活躍する当代最高のハード・ボイルドといわれる人気シリーズ。アート・ペッパーのアルトを聴きながらブラック・ブッシュを呷る。それだけでも至福のとき。映画ファンはもちろん、ジャズファンにもお薦めの傑作!

 

 

 

『ジョニー・ハンサム』

ジョン・ゴーディ

早川文庫

1972

 

 

 

 

一人の男が「リトル・ジョージのバー&グリル」「チッティのバー」「ビービー」と、酒場を渡り歩く印象的なシーンから物語は始まる。その男の持ち込んだ銀行襲撃計画が、壮絶な復讐劇へと展開していく。犯罪者の内面に深く切り込んだ描写が秀逸な犯罪サスペンスの傑作。

 

 

 

『風化水脈 新宿鮫[』

大沢在昌

光文社文庫

2000

 

 

 

 

舞台となっている新宿という街と歴史、警察という仕事や男と女の関係の原点を見つめ直しするようなストーリー展開に興奮した新宿鮫シリーズ8作目の傑作。解れた糸を手繰るように日本の過去・現在・未来が読者の手元に届けられるのがいいなぁ。これぞ燻銀の男達に思わず感動した!

 

 

 

『パルプ』

チャールズ・ブコウスキー

新潮文庫

1994

 

 

 

 

元祖アウトローでカルトな作家が描くハチャメチャ・エログロ・ハードボイルドの怪作。呑んだくれの自称スーパー私立探偵は、スコッチ、ウォッカはもちろん日本酒や中国製ビールと、あらゆる所で、さまざまなアルコールを煽る。しかし何故か詩的な文体と辛辣なフレーズがウィットに溢れていて上手い!

 

 

 

『奪還』

マイケル・デイ

ヴィレッジブックス

2003

 

 

 

 

イスラム対欧米という図式は、まさしく現在の世界情勢を反映したストーリー展開で、近未来の悪夢を鮮やかに描いたエンバイロメント・サスペンス。米英が台風、イスラムが津波という自然の破壊力を軍事利用した環境兵器は、とてもフィクションではなく、既に現実となっているかもしれない。

 

 

 

『パンドラ抹殺文書』

マイケル・バー=ゾウハー

早川文庫

1980

 

 

 

 

今はなきソ連KGBCIA、それぞれの二重スパイの熾烈で壮絶な戦いを描いた傑作!古文書の意味する謎に迫るほどに、人が一人また一人と殺されてゆくサスペンス調と欧米を駆け巡る冒険譚&ハードボイルドな世界に思わずニンマリ!!社会的話題も小説ネタにしてしまう創作力にもタダタダ感服!!!

 

 

 

『キリング・フロアー』

リー・チャイルド

講談社文庫

1997

 

 

 

 

元軍人だった主人公リーチャーが無実の罪で逮捕されるところから物語はスタート。実兄が殺された理由を探りながら、ハードかつスピーディにストーリーが進展していく。終盤に向けて展開される映画のストップ・モーションを観ているような描写が、スタイリッシュでとても印象的なハードボイルドの巨編!!

 

 

 

『探偵事務所23

大藪春彦

新潮文庫

1962

 

 

 

 

他の作品にも大藪氏一流の男の美学が脈々と流れているが、本作品はちょっと毛色の違った異色短編集。日本の探偵には認められていないが、本編主人公には射撃の名手ということで拳銃所持が認められている設定なので、探偵稼業もかなり荒っぽいが、活劇場面も存分に堪能できるのがいい。

 

 

 

『ミス・ブランディッシの蘭』

ハドリー・チェイス

創元推理文庫

1938

 

 

 

 

イギリスに初のハードボイルド小説をもたらしたチェイスのデビュー作。初版本はその凄まじい描写で絶版となってしまった問題作だったらしいが、普及本はその面影を残しつつも、骨子を簡潔にまとめてヒットした。タフな探偵フェナーが登場する前後の場面展開が小気味いい!

 

 

 

『熱砂の三人』

ウィルバー・スミス

文春文庫

1976

 

 

 

 

広大な大自然溢れるアフリカ大陸を舞台にした正統派冒険活劇。作者の趣味が存分に活かされて、さまざまな描写のディテールがリアリティと深みを醸し出している。主人公達といってもいい三者の関係もラストまで気にかかり、戦闘シーンも臨場感タップリで、長編ながら一気に読み切ってしまった大作。

 

 

 

『シャドウ・ゲーム』

ジョン・クリード

新潮文庫

2003

 

 

 

 

ロンドンからニューヨーク、はたまたメキシコへと追跡の舞台が次々と変わる元秘密情報部員ジャック・ヴァレンタインが大活躍するシリーズ物。大都市の地下廃墟から地方都市の古代遺跡へと場面が変わるたびに、徐々にテンションが高揚してアクションも増幅していくさまがとても痛快!

 

 

 

『飢えて狼』

志水辰夫

講談社文庫

1983

 

 

 

 

眠っていた主人公の血が騒ぐような、日本を代表する本格的冒険スパイ小説の傑作!躍動感溢れるテンポ、文体の緊密さ、人物の造形、どれをとってもいい。特に、物語が終始主人公の視点で描かれていて、しかも全くぶれていないところが素晴らしい!!登場人物たちの絶妙な三つ巴もユーモラスだ。

 

 

 

『紳士怪盗』

モーリス・ルブラン

ポプラ社

1905

 

 

 

 

フランスの英雄的大泥棒、しかも探偵と盗賊を兼ねた紳士アルセーヌ・ルパン。ルパンの少年時代から盗難・脱走と大ニュースの連続!高慢な大金持ちから金品を盗み、弱い者を助ける正義の味方!この神出鬼没の怪盗の活躍が醍醐味の大傑作!今年生誕100周年記念のシリーズ物。

 

 

 

007/カジノ・ロワイヤル』

イアン・フレミング

創元推理文庫

1953

 

 

 

 

御馴染み007が初めて登場し、大活躍するボンド・シリーズ物。娯楽映画ではなかなか垣間見えない気難しいボンドがよく描かれている。彼の流儀、特にマティーニのこだわりレシピも大いに楽しめる。当時のチャンドラーやハメットの影響を受けつつ、自分だけの世界を見事描ききった娯楽大作。

 

 

 

『虎口からの脱出』

景山民夫

新潮文庫

1986

 

 

 

 

あの傑作「A-10奪還チーム出動せよ」に触発されて執筆したという日本冒険小説を代表する名作。時代背景、場所設定等全てがバッチリ決まってる。デューセンバーグが疾走し、メルセデスが追跡する等、陸空を駆け巡るシーンでの手に汗握る臨場感に大満足!

 

 

 

『ゴーリキー・パーク』

マーティン・クルーズ・スミス

早川文庫

1981

 

 

 

 

ペレストロイカが進行するソ連と自由の象徴である米国を舞台にしながら、現代二大国家社会の深部をまざまざと抉った大傑作。現実に起きた事件かと錯覚してしまうようなストーリー展開に思わず興奮。随所に散りばめられた鋭い現実描写と深遠な人物設定(特に赤サイド)が、とても刺激的だった。

 

 

 

『悪党パーカー/人狩り』

リチャード・スターク

早川文庫

1962

 

 

 

 

映画化名「ペイバック」の主人公は、トコトン悪党ながら何故か憎めないキャラクター。原作がアメリカン・ノワールなら、リー・マービン主演の映画もフィルム・ノワールだ。ほとんどが早川文庫で、一部角川文庫をもってシリーズ全作が翻訳完了!絶版で入手できないものも読んでみたくなる傑作!!

 

 

 

『処刑捜査官』

田中光二

光文社文庫

1992

 

 

 

 

法律の手続きなしで極悪人を抹殺する特命組織が暗躍するハード・サスペンス・シリーズ。まるでアメリカ映画でも観るようなアクションものかと思いきや、案の定「ダーティハリー2」に登場する白バイ警察官を連想させるような登場人物。日本の近未来も、この話のように凶悪犯罪が激増するのだろうか?

 

 

 

『最初で最後のスパイ』

ロバート・リテル

新潮文庫

1990

 

 

 

 

CIAKGBが対峙する現代とアメリカ独立戦争時代が、不思議な形で錯綜する知的冒険諜報小説。ちょっとした歴史的秘話もちりばめられたストーリィーの罠にまんまとはまった読者は、リテル・ワールドにドップリのめり込むことに・・・はて、誰の真実?どちらの真実?

 

 

 

『カジノを罠にかけろ』

ジェイムズ・スウェイン

文春文庫

2001

 

 

 

 

マジシャンでカードの腕前も世界屈指といわれる著者が、元刑事でイカサマ・ハンターを主人公としたギャンブル・ミステリィ。カジノの内幕やイカサマの手口が詳しく語られているのも楽しく、脇役たちもなぜか憎めなく魅力的で上手い設定。でも“味のある顔をした”イタリア系の主人公には敵わない。

 

 

 

『メルトダウン作戦』

ジョン・ガードナー

文春文庫

1981

 

 

 

 

アクション映画でも人気シリーズとなっている007の原作で、イアン・フレミングなきあと1980年代に蘇った新ジェイムズ・ボンド・シリーズ。奇怪な悪党にお決まりの美女が登場する手に汗握る冒険物は健在!本編でボンドが使用しているウェポンはすべて実在するものだとか。

 

 

 

『癌病船』

西村寿行

角川文庫

1984

 

 

 

 

人間の生死を左右する癌の問題をテーマに、壮大なスケールで綴られたアドベンチャー・ロマンの傑作。難病撲滅を掲げながらも人間社会の矛盾との絶え間ない衝突の連続。対処するはキャプテン白鳥とそのスタッフたち。横浜港から初出航した北斗号の航海はこれからもまだ続く・・・

 

 

 

『キューバ』

スティーブン・クーンツ

講談社文庫

1999

 

 

 

 

資本主義帝国アメリカとソ連をバックとした社会主義キューバの息詰まる軍事フィクション!米海軍とキューバ軍隊の対決や如何に?金塊は何処に?カストロ議長なき後の政権は誰の手に?権力に臆しないテイラー・トッテン将軍が渋い。映画なら迷わずジーン・ハックマンに演じてもらいたいなぁ。

 

 

 

『超音速漂流』(改訂新版)

ネルソン・デミル トマス・ブロック

文春文庫

1979,1998

 

 

 

 

誤射されたミサイルに機体を撃ち貫かれ、満身創痍状態のストラトン52便は無事空港に帰還できるのか?手に汗握るフライトを読者も否応無しに疑似体験させられる航空サスペンスの名作!暫くは海外旅行お預けの気分にさせられた。もっとも先立つ物もないが・・・

 

 

 

『ユダの山羊』

ロバート・B・パーカー

早川文庫

1978

 

 

 

 

ボストンから、ロンドン、コペンハーゲン、アムステルダム、モントリオールへとまさに欧米を駆け巡るスペンサー・シリーズのアクション巨編!欧州の名所で味わうビールの銘酒と美食の数々が至る所にちりばめられているのも嬉しい。友情とはちょっと違うホークとの関係も新しいバディ・スタイル・ノベル。

 

 

 

『眠りなき夜』

北方謙三

集英社文庫

1982

 

 

第一回日本冒険小説協会大賞を受賞した記念すべき傑作。燻銀のキャラクター達を骨太なタッチで登場させ、手に汗握る彼らの肉弾戦を見事に活写して読む者を圧倒する優れ物!

 

 

 

『酔いどれに悪人なし』

ケン・ブルーウン

早川文庫

2002

 

 

 

 

日本の作家でいえば大沢在昌と中島らもを足して二で割ったような軽快ながらも薀蓄に富んだ斉藤孝教授張りの作風。歯切れがよく場面展開の速さが嬉しい!元警官で酔いどれ探偵ジャック・テイラーの活躍がなんとも頼もしい。酒好き本好きにはトコトン堪らないシリーズ物です。

 

 

 

『アンダードッグス』

ロブ・ライアン

文春文庫

1999

 

 

 

 

童話の名作「不思議の国のアリス」をモチーフとして目まぐるしくシーンが急転する世にも摩訶不思議なアンダー・グラウンド・ワールド!まさに大人の絵本さながらで、生々しくもどくどくしい場面満載の連続で圧巻!地上と地下の場面を小気味よく描いた筆力も流石!!!なんと英国作家層のブ厚いことよ!!!

 

 

 

A10奪還チーム 出動せよ』

スティーブン・L・トンプスン

新潮社文庫

1980

 

 

 

 

米国軍事連絡部<奪還チーム>とソ連・東独逸の死闘を描いた冒険小説の大傑作!満身創痍のマックスとフェアモントに迫りくるBMWと武装ヘリの追跡シーンは、まるで映画館の大画面で目の当たりしているような臨場感。手に汗握る疾走感を存分に味わえて、カー・チェイス・シーンに大満足!

 

 

 

Cの福音』

楡周平

宝島社文庫

1996

 

 

 

 

現代のニュー・ヒーローが悪の限りを尽くして暗躍するノンストップ・クライム・ノヴェルの傑作!主人公の朝倉恭介は日本の関税法の盲点をつき、ネットワークを駆使した密輸システムを構築する。その斬新で完璧な犯罪計画はスリリング、かつ着実に遂行されていった。

 

 

 

『囚人同盟』

デニス・リーマン

光文社文庫

1987

 

 

 

 

服役中の現役囚人が執筆した「女子修道院長の復讐」という意味深な原題の痛快ピカレスク・ノベル。前半の競馬関連題材はちょっと冗長ながら、後半から判決までの手に汗握る公判シーンにグイグイ引き寄せられた。小生も<赤いライオン亭>での祝賀会に飛び入り参加するつもり!

 

 

 

『スターバック号を奪回せよ』

クライブ・カッスラー

新潮文庫

1982

 

 

 

 

本作は冒険小説ファンもお馴染みのダーク・ピット・シリーズ幻の第一作。主人公ピットと相棒ジョルディーノとくれば、謎の美女達が登場するのが冒険小説だぁ!!ラフでありながら、品性も備えて、謎めきながらも人好きして常に不偏!我等はこんなヒーローを待っていた!

 

 

 

『亡国のイージス』

福井晴敏

講談社文庫

1999

 

 

 

 

東京首都圏が戦後最大の危機に晒された!護衛イージス艦「いそかぜ」を舞台として、恐怖の毒ガス兵器「グソー」をめぐって奮闘する熱き男達、善玉悪玉を問わず日本の将来を憂う男達を深く、かつ鮮やかに描いた海洋軍事大冒険活劇大作!!走れ如月!急げ仙石!

 

 

 

『されば愛しきコールガールよ』

ロス・H・スペンサー

早川ミステリー文庫

1978

 

 

 

 

迷私立探偵?チャンス・パーデュー・シリーズの記念すべきデビュー第一作。コミカル・風変わりなキャラ、機知に富んだ会話、愉快な詩?と見紛う文章&金髪女と居酒屋の常連達が秀逸!主人公は酒場のオヤジとなるが、当然シリーズ物ならばそれでは決して済まない展開が待っているぞー。

 

 

 

『針の眼』

ケン・フォレット

新潮社文庫

1978

 

 

 

 

暗号名「ディー・ナーデル(針)」というドイツ軍の敏腕スパイがつかんだ機密情報が、もしドイツ・ヒトラーのもとに届いていたら現代史はどう様変わりしていたか?第二次大戦下のイギリスとドイツを舞台にした緊迫感溢れる死闘シーンも満載のスパイ小説の傑作。

 

 

 

『撃て、そして叫べ』

ダグラス・E・ウィンター

講談社文庫

2000

 

 

 

 

主人公バードン・レインはウィットに富み常にユーモアを忘れない魅力的なビジネスマン。しかしその実は銃器販売組織の副社長という立派なギャング。そんな彼が闇市場での密売取引とそこに仕掛けられた罠に絡んで思わぬ展開に巻き込まれ、壮絶な銃撃戦が繰広げられるというクライム・ノヴェル。

 

 

 

『裁くのは俺だ』

ミッキー・スピレイン

早川文庫

1947

 

 

 

 

ニューヨーク三番街に事務所を構える粗野でタフな私立探偵マイク・ハマー。本人曰く醜男、しかし何故か女性にもてる。煙草はラッキー・ストライク、酒はバーボンかライ・ウィスキーのソーダ割り。当時のB級アクション映画にも多大な影響を与えたタフガイのベストセラー・シリーズ。

 

 

 

『黄金を抱いて翔べ』

高村薫

新潮文庫

1990

 

 

 

 

日本推理サスペンス大賞を受賞した高村薫のデビュー作。大阪の街を舞台にして、某銀行本店地下金庫にある6トンもの金塊を強奪する大胆不敵な男達の生きざまを迫力満点に描いた大作。この著者の特徴である細部描写の堅実さが、迫力溢れる文調を重厚ながらも躍動させている。

 

 

 

『ホット・ロック』

ドナルド・E・ウェストレイク

角川文庫

1970

 

 

 

 

意表をつく様々なアイディアで天才的犯罪を計画するドートマンダーを中心に、ツワモノ揃いの仲間達と繰広げる珍妙なスラップスティック・ノベル。ロバート・レッドフォード主演でも映画化されたのは、ユーモア溢れるコミック調のストーリー展開が注目されたためだろう。

 

 

 

『酔いどれの誇り』

ジェイムズ・クラムリー

早川文庫

1975

 

 

 

 

大酒飲みの探偵ミロがトコトン飲んで、飲んだくれていながらも難事件を解明していく新しいタイプのハードボイルド。ハチャメチャな大酒飲みの面々と、いかしたシチュエーションの酒場が登場し、数々の徹底した酩酊シーンには読者も思わず酔いつぶれそう。

 

 

 

『硝煙に消える』

ジョージ・P・ペレケーノス

早川文庫

 1992

 

 

 

 

ハードボイルドでありながらアメリカン・グラフィティのような哀愁溢れる快作。随所に散りばめられた音楽の数々が粋。特にマイルス&ウェザー・リポートとツェッペリンの登場するシーンがなかなかのシチュエーション。とにかくいかしたペレケーノス・ワールドにバド&オールドグランダッドで乾杯!

 

 

 

『テロリストのパラソル』

藤原伊織

講談社文庫

1995

 

 

乱歩賞、直木賞をダブル受賞した格調高い文章で綴られた正統派ハード・ボイルド作品。オープニングはバーのマスター島村が登場してすぐさま一杯飲ると同時に爆弾テロが勃発。

 

 

 

『シャドー81』

ルシアン・ネイハム

新潮文庫

1975

 

 

 

 

 

最新鋭の米軍戦闘機と前近代的なプロペラ機を駆使してカネというカネを全くの無血でせしめる冒険小説の傑作。とにかく奇抜なアイディアと綿密な計画に圧倒されながら一気に読破。

ジン・トニックのダブルを呷ってタイ行き旅客機内で熟睡するシーンが仕事を遣り遂げた充実感溢れる場面で印象的。

 

 

 

『スコッチに涙を託して』

デニス・リヘイン

角川文庫

1994

 

 

 

 

米国の恥部を得々と語りながら、主人公とトップ・コラムニストの飲み交わす酒が、米国で最もポピュラーで広く飲まれている“グレンリベット”。いかした美人アシスタントとの関係がとてもじれったくて、思わず最後まで読み切ってしまったご機嫌なニュータイプの快作。

 

 

 

『ステルス艦カニンガム出撃』

ジェイムズ・H・コッブ

文春文庫

1996

 

 

伝統的に男社会の海軍にあって、女性艦長が指揮するステルス艦が予想外の敵と対決する迫真の戦闘場面を詳細に描いた第一級の軍事冒険小説。

 

 

 

『新宿鮫』

大沢在昌

光文社文庫

1990

 

 

 

日本推理作家協会賞と吉川英治文学新人賞をダブル受賞した90年代日本ハードボイルドを代表するシリーズ。キャリアながら新宿署防犯課の警部に留まる鮫島が大活躍するロングセラー。

 

 

 

『蒸発請負人』

トマス・ペリー

講談社文庫

1995

 

 

キュートでタフな新しいタイプのヒロインの仕事は、姿を消さざるを得ない人を助け、全く別人の人生を提供するという非常にユニークなもの。終盤の追跡劇が圧巻の逃亡サスペンス。

 

 

 

『アメリカの刺客』

ジェームズ・セイヤー

新潮文庫

1997

 

 

第二次大戦末期、ヒトラー暗殺を命じられた途轍もなくタフなアメリカの突撃隊員とドイツ一の敏腕刑事の死闘を描いた冒険小説。原題はドイツ語で「待ったなし」という意味の慣用句。

 

 

 

『スナップ・ショット』

AJ・クィネル

新潮文庫

1982

 

 

年齢・性別・国籍等が全く謎の作家が現代社会の暗部を素材に描く一種のノンフィクション・ノヴェルともいえる冒険小説の傑作。主人公の戦争写真家と作者が思わずオーバーラップする。

 

 

 

『カディスの赤い星』

逢坂剛

講談社文庫

1986

 

 

御存知直木賞、日本冒険小説協会大賞、日本推理作家協会賞をトリプル受賞したスペイン物冒険大作。スペイン内戦とフラメンコ・ギターをモチーフとした傑作。

 

 

 

『極大射程』

スティーブン・ハンター

新潮文庫

1993

 

  

謎の組織による陰謀で殺人の汚名を着せられた元海兵隊軍曹の伝説的スナイパーが繰り広げるノンストップ活劇。後半の特殊部隊兵士との銃撃戦が圧巻。

 

 

 

『深夜プラス1』

ギャビン・ライアル

早川文庫

1965

 

 

元イギリス諜報部員を主人公としたまさしく男のドラマといえる不朽の名作。登場人物の持つ紀律に厳格なまでにこだわる姿が何とも凄く、誇り高き勇姿がとても感動的。

 

 

 

『鷲は舞い降りた』

ジャック・ヒギンズ

早川文庫

1975

  

 

ドイツ軍によるイギリス首相チャーチルの誘拐作戦をダイナミックなスケールで描いた冒険小説のバイブル。表題は落下傘部隊が降下作戦の成功を本国に知らせる暗号文。

 

 

 


 

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