古い絵日記21
4月 14日

ニュースを見ていて、奇妙な小説の筋が思い浮かびました。

 

某A国は、数十年前の敗戦で、多くの優秀で人間性の暖かい人材を戦闘で亡くし、(人の嫌がることを率先して引き受けた人たち)

緊急の人材不足から、立ち回りばかりうまく、現実を省みない無謀な作戦をたてた戦争指揮者たちが戦後の中枢をも引き継いで担わざるをえなかった。

彼らは、国民や近隣諸国の民に甚大な被害を与えておきながら、戦後数十年経ってもその戦いに負けたメンツの回復ばかりを願ってやまなかった。

A国には敗戦後、占領軍によって人権意識のなかったA国の憲法草案を廃棄し、独自の憲法草案を立案して制定されていたが、戦後にA国の首相

を務めた人物の孫にあたる現在のA国の首相は、この爺さんの悲願であった日本のプライド回復=独自の憲法制定をすることしか頭になかった。

「あれは産業もままならなかったから負けたのであって、今の経済力と工業力をもって軍事分野を拡張すれば、世界の主導権でトップレベルにでられるはずだ」

という、メンツ回復の夢ばかり追い続け、教育には愛国心を強制し、高齢化して社会保障の拡充や地方の再生が急務の国民生活は無視し続けていた。

A国の国会では2つの議院の両方で議員の3分の2の賛成が必要な憲法改正は無理だと判断し、

事なかれ主義を植えつけることに成功した国民なら、情報操作でどうにでも支配可能だと考えて、国民投票法案を前首相の人気だけで獲得した

過半数を私物化して強引に成立させてしまった。

しかし世論は、戦争はしたくないという意識は多くの人の共通意識だから、投票しても国民の意志が反映されるというのが前評判だったが、

いよいよ投票日まで一週間というとき、ニュースで緊急の知らせがいっせいに流された。隣国がA国近海に向けてミサイルの発射実験を行ったというのだ。

前にも実験はあったが、今回はA国領域内で海面に着弾と同時に爆発し、上空の衛星から爆発時の映像が撮影されテレビで流された。

これで、憲法改正への国民の反応は大きく右へ舵を切り、圧倒的多数で可決することとなった。

後日、ミサイル発射はA国の自作自演だったことが判明するが、政府は関与を否定。A国軍のひとりの大佐の暴走だったと結論され、事はもみ消された。

しかし、この大佐はどこぞの機関からか不明の一生遊んで暮らせる報酬を得て、ひそかに海外へ逃亡、悠々自適の生涯を外国で終えたとさ。

 

この小説の筋はフィクションであってくれるのでしょうか。