2月28日

人は“実体の生”と“イメージの生”の両方を生きている、と私は考えます。それゆえ人は“実体”と“イメージ”の両方を支え・満足を得ようとするのだと。

実体の生はいわゆる衣食住のことで不可欠なのに対し、イメージは空想にすぎないとも言うことも出来ます。

しかし生活レベルが一定に達した社会では「いかに生きるか」というイメージの問題が、人の最大の問題に浮上します。

これが文化というものの生じる根源ではなかろうか、と思うのです。“夢”とか“希望”、また“絶望”もここに含まれているのではないかと。

時代の淘汰を受けてなお、保存・維持される作品とは、人の抱える“イメージの生”に良い影響を与えるがゆえに《価値》を認められ残ってゆくのでしょう。

私は自分の生涯を、この《価値》が生み出せるか否かの実験に使いたいと思っています。