月3日

薦められて「ラストサムライ」という映画を観ました。全く期待していなかったのですが、とても面白かったです。一番興味をひかれたのは映像です。

CG合成にせよ実写のみの部分にせよ、歴史の中の日本を演出するために、古典的な日本絵画などの構図がよく研究されていると感じました。

私は、日本の屏風絵や浮世絵などでは写実そのものでなく、装飾的・象徴的なモチーフの扱いによる画面構成を面白いと思っているのですが、

この映画でも、横浜の近くにこんな富士山はないよ、という景色などがCGでお構いなしに作られ(まるで北斎の富嶽三十六景のように)、

「花咲いて散る武士道(?)」演出のときの桜の映像も(このイメージ、どこかで見たぞ?というような)平面的・装飾的な構図で撮られていました。

もし日本人が作ったとしたら時代考証や史実などの“真実”にしばられて平凡な映像になってしまいそうなところを、

写実にこだわらず象徴的な映像表現に徹したことにより、かえって古典日本絵画的な構図の映像を生み出していたのが興味深かったです。

「こりゃイカン、雰囲気に流れた富士山を描いてる場合ではない!」「日本画家を名乗る以上は、負けてられん!」と思ってスケッチにでた私でした。