〜印象に残っている文章〜

■手業に学べ■  塩野 米松 著

「風の巻、岩手のシノダケ細工 夏林チヤ」より抜粋

 

わたしはジャル(ザル)職人だから、上手に、同じ物をたくさん作るのが仕事なんだ。

ジャルを編む人とか、カッコベ編む人とか、豆腐籠編む人とかって、みんな、違うひとがやるのさ。

そんだよ。ひとりがさまざまにやるとね、手が嘘になってだめだもの。

んだからジャル、カッコベ、豆腐籠それぞれ得意だことやるんだ。

ひと通りはできるんだよ。それでもできるからって、あっちやったりこっちやったりはしねんだ。

手が嘘になるっていうのは、下手になるったいったらいいんだかなぁ。

とにかく、ずっと同じことをやっているほうがいいの。

そのほうが手が覚えるから、上達するの。

だから、盛り皿を作る人はこれを作る。縁を巻く人はまた別にあるのさ。

 

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