〜印象に残っている文章〜
■愛してるって、どういうの?■ 高遠 菜穂子 著
ポルポト政権を倒そうとしてやってきたベトナム軍も含めて、あの戦いが残したものは悲しみだけだ。
簡単に人を殺せてしまう、簡単に人身売買ができてしまうというカンボジアの人の心が、
一番悲しい傷跡だと私は感じていた。
人を殺して御褒美をもらっていた少年兵士が、内戦が終結すると今度は殺しちゃいけないと言われる。
が、なぜ殺しちゃいけないのかがわからない。命の尊厳を教えることすらままならないのだ。
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平和は作るものではなく、その意味を知ることだと、私はインドで気づいた。
平和は国家が築くものじゃない。人間一人一人が、一人一人生きていくことなんだと思う。
淡々と生きていく、自分を探す人生を送る事が、そこにつながるんだと思う。
怒りや憎しみは、自分以外の人間を自分だけの物差しで計るから湧き起こるんだと、私は知った。
人間である以上、それを抑えることなんてできないかもしれない。
だけど、湧き起こる怒りや憎しみをあふれさせてはいけない。爆発させてはいけないんだと思う。
Book Review
私は、イラクで人質になった人たちをパッシングしている人達に、
まずこの本を読んで彼女の生き方や獲得した視点・それに基づく行動を理解してからにしてくれ、
と一言いいたい。
その上で、なお非難するなら、それも一つの見解なのだろう。
しかし、私は、彼女のような“人間の存在に対する深い洞察を試みる人々”が
“魔女狩り”のような扱いをされる現代日本の社会の閉塞感に強い危機感を感じる。
他者(人間)を理解する力が失われつつある・・。
それは私達が自分自身(人間)と向き合っていないからだと思うのだ。
個(人間)として物事をとらえられれば、どこの国の人も同じ一人の人間として共感できる。
集団(例えばイスラム社会など)としてとらえると、自分とは全く関係のない存在に感じられていく。
集団の価値観と個人の価値観の両方の視点から物事をみる必要があると私は考えている。