〜印象に残っている文章〜
■自己愛人間■ 小此木 啓吾 著
「自己愛人間の生態」より抜粋
自己愛人間とは本当の意味で健康な自己愛がみたされているのではなく、
自分にとって都合の悪い、いやな自分を見まいとする防衛機制が過度に肥大し、
発達してしまっている人間だということです。自己愛幻想に浸って恐ろしい現実、
苦痛な現実との出会いを回避するのが現代の自己愛人間なのです。
このことは、現代の日本社会そのものが、幻想的な自己愛満足の中で
夢見ている状態であるという事実にもつながっています。
醜いこと、苦痛なこと、悲しいこと、恐ろしいことなどは見たくもないということで、
そうした負の世界は社会的に隔絶して排除してしまっている。
そして、きれいな自分たちだけを意識できるところで暮らしていたいという社会に、
いまの日本はなっているわけです。
(略)