〜印象に残っている文章〜
■森田療法■ 岩井 寛 著
から抜粋
神経質(症)者は人並み以上に観念的な人が多いので、
物事を考え尽くしてからでないと、行動に踏み切ろうとしない傾向がある。
「石橋を叩いて渡る」という諺があるが、神経質(症)者は石橋を叩きながら
それを渡らない人が多いのである。
〜前述のように、神経質(症)者の症状そのものが、いわば人間の弱さから
発しているのであり、不安に持ちこたえられない自我の脆弱さに起因しているのであり、
何かにとらわれてなければ、バランスを崩してしまう精神的な要因をもっているのであるから、
そうした人間のあり方を十分に考えてみる必要がある。
神経質(症)の苦しみのさなかでは、対人恐怖症のように人間関係にとらわれたり、
不安神経症のように自己の身体的不調にとらわれたり、
強迫神経症のように縁起や雑念にとらわれたりするが、
それは視野が狭小化され、自分のこと以外に目が向かなくなり、
自分の症状以外に関心がなくなっているからである。
そこでは往々にして他者に対する配慮や、自分と社会、あるいは文化との関係など、
自分を包んでくれる大きな存在との関わりを無視してしまいがちである。