〜印象に残っている文章〜
■建築を語る■ 安藤 忠雄 著
仕事というものは自分で考えて作りだすものという信念を若いころから持っております。
クライアントから要望されたものを、建築的、法律的、社会的に整理するだけでは
面白い仕事にはなりにくいのです。
そのためには自分はこういうふうにありたいということをいつも考えておかなければなりません。
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私は建築を学問として学校で学ばなかったので建築学についてあまりわかりませんし、
仕事をしていく上で大変なハンディキャップがあると思っています。
と同時に、考える事を持続しないと自分のよって立つ場がなくなるということを
自分なりによくわかっております。
私は若い頃、決して卒業のない人生を送ろうと決めました。
大学生はすぐ卒業してしまう。大学を卒業したら、後は社会の流れのままに任せる。
これではまずい。
流れに逆らってでも自ら考え、自立して生きてほしいと思います。
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20代のうちに、自分はこういう都市に住んでみたい、こんなことをしてみたいという考えを
しっかり見据えて生きていかないと、ついつい現状の解決策だけで建築の設計をしていくことになります。
私は、それだけはしたくない。こうなると夢も希望もありません。
少なくとも若いうちに思い描いた夢や掲げた理想を、自分の建築をつくりはじめる40代まで
持続していかなければいけない。それはいまの20代から緊張感を持続させて、
40代、50代、60代と生き続けていくということです。