Book Review
さらば外務省! / 天木 直人著
イラク派兵での小泉首相のアメリカ盲従ぶりは何ゆえか?という疑問の答えがこの本にあった。
GHQによって基礎が作られた日本の外交システムは、米国至上主義をいまなお絶対的に信奉しているという。
もはや世界ははるかに小さくなっているというのに、アメリカしか見ていない視野の狭さは致命的だ。
“対米追従”と“国際協調”を同じもののように見せかける詭弁はもうごめんだ。
ブッシュ政権がが本当の意味での国際協調なんて望んでいないのは明らかである。
ブッシュ政権盲従はすなわち国際社会に背を向けるに等しい。
本当の国際社会において、日本というアイデンティティを体現できる国家組織を再編できなければ
世界に居場所はなくなる、といっても大げさではない。
それなのに日本の中心部はいまだ昭和初期の国際感覚のままなのだ。
おそらく他の省庁でも同じような状況があると考えるべきだろう。
筆者も述べているが、こうした社会状況を日本という国では、一度も民衆の力によって覆した歴史がない。
お上のやることだから仕方がない、と諦め続けてきたのだ。
だが我々は、この老朽化したシステムを作りかえないと国際社会で生き残れない、という危機感を持つべきだ。
選挙にて政権交代を実現すること、という筆者の提案に賛成する。
民主党にその力があるかないか、という問題ではない。
同じ組織がいつまでも権力の座にいると、どんな聖人君子だろうと(どんな優秀な組織であろうと)腐敗する。
国民は懸命に仕事をするリーダーを生み出すためにも、国の中枢を担う権力者を安穏とさせてはならないのだ。