伝説の秘国安羅井の黄金を求めて幕府、豪商紀州屋、紀州家がその在処を探る。 幕府隠密に登用された主人公「柘植信吾」を中心に居酒屋おかみ「お勢以」と安羅井の姫「ちの」がからむ。 司馬遼太郎の作品には珍しく?色っぽいところも幾分ある。 浦島太郎のような話であった。柘植信吾が江戸に戻ってみると、徳川の時代は大政奉還の直前であり、徳川慶喜の政権はすでに失われていた。終盤があっけなかった。展開の工夫でのことであるとは思うが、ユダヤまで出てきて突飛な感じがしたなどが感想である。