< 第5話 JESUS >

 

(ENIXの秀逸SFサスペンスアドベンチャーゲーム)

88TRIBUTEでは初のアドベンチャーゲームの登場になります。
ハレー彗星の大接近で賑わった1986年の翌年にENIXより発売さ
れ、大ヒット作品となったのが「JESUS」。舞台は2061年、ハ
レー彗星が再び地球に接近してくるところから。世界8カ国から選ばれ
た有人探査機の乗員が「コメット」と「ころな」に分かれて「JESU
S」より飛び立つ。ハレー彗星に人類生命の誕生の秘密を解くカギがあ
るという説を追いハレーのガスを採取するため彗星に接近する「コメッ
ト」。ハレー彗星のガス採取には成功するが、その後連続して起こる乗
員の死。主人公である武麻速雄(むそう・はやお)はその中で調査を続
けていく・・・というような感じでドラマは進んでいきます。

このゲームはそれまでのアドベンチャーゲームのとてもマニアックで不
条理なコマンド探しを一切排除しすべて数字選択でゲームを進める方式
をとっています。これによりコマンド探しで進めないといったストレス
は解消されました。ゲームの謎も他のものに比べると簡単なもので、ヒ
ントがあちらこちらに点在しています。GAMEOVERになることも
ほとんどないように設定されています。ゲームよりもドラマとして楽し
んで欲しいという制作側の意図からでしょうか。いずれにしてもゲーム
は非常にスムーズに進みます。ちょっとしたSF映画を観ている気分に
なったのではないでしょうか?

(登場人物たち)

このゲームでは乗員である8人+α、司令官とモンスターが登場します。
ここではこのドラマを構成する登場人物を紹介します。

1.武麻速雄(むそう・はやお)・・・日本

 

主人公。銀河戦士養成校在学中に抜擢され搭乗。コンピュータゲー
ム少年である。

2.ナハス・アリ・・・エジプト系

 

スカイラブ「JESUS」のハレー彗星探査チーム司令官。はじめ
にちょこっとだけ出てくる。「はげます」のはやめた方がいい。

3.エリーヌ・シュレマン・・・フランス系

 

主人公速雄の恋人。天才数学者でありキーボード演奏もプロ級の腕
前らしい。探査チームの中では速雄とともに生き残る。

4.アンドレイ・ベリーニ・・・イタリア系

 

探査1号機「コメット」のサブキャプテン。情報工学専攻。コンピ
ュータ室でエリーヌと一緒にいるところにモンスターの襲来を受け
、エリーヌを逃がそうとしてモンスターにやられる。モンスター襲
来時にコンピュータに手がかりとなるメッセージを残す。

5.ウィルヘルム・ハイラー・・・ドイツ系

 

探査1号機「コメット」のキャプテン。天体力学専攻。「コメット
」のコックピットでモンスターに襲われ死亡。彼のIDカードはさ
すがキャプテンだけあっていろんなところに入ることができるため
入手後は行動範囲が一気に広まる。

6.イワン・ミラコフ・・・ソビエト(現ロシア)系

 

探査2号機「ころな」のキャプテン。元銀河戦士。「ころな」のコ
ックピットに速雄、エリーヌといたところをモンスターに襲われ、
2人を逃がそうとして死亡。元銀河戦士らしい最期であった。

7.ロジャー・カーゾン・・・アメリカ系

 

探査2号機「ころな」乗組員。宇宙生物学専攻。「ころな」の観測
でミラコフと調査中にモンスターの襲撃を受け死亡。このときのモ
ンスターの異変は弱点を突き止める上での重要な手がかりとなる。

8.ガルシア・バルカス・・・ブラジル系

 

探査1号機「コメット」乗組員。星間物質学専攻。ハンバーガーが
大好物。「コメット」で実験中モンスターに襲われ死亡。

9.朱芳花・・・中国系

 

探査2号機「ころな」のサブキャプテン。医師。「ころな」の倉庫
でモンスターに遭遇。速雄の応戦もむなしく死亡。静かに息を引き
取る。彼女に
ベッドマナーを教えてもらいたかったのは私だけでは
なかったはず・・・。

10. モンスター

 

 ハレー彗星の尾より襲来。人間のDNA情報を取り込み、変身、
進化することができる。熱はエネルギーとして吸収してしまう為
、武器としては逆効果である。唯一効果のある冷線銃も一時しの
ぎ程度にしかならない。最大の弱点は「あるメロディ」。速雄が
エリーヌにプレゼントしたレーザーロンで「JESUS」のテー
マ曲を“ひく”ことで撃退することができた。(ちなみに他のコ
マンドに“押す”があった!!←未使用)

α.FOJY

速雄専用に作られたコンピュータ制御の話し相手。口は悪いがかな
り役に立つ(通訳もできる)。ただ充電が切れるとただのガラクタ
になってしまうため注意が必要。名前の由来は「ENIX」から来
ている。

 

くせがあり味のある登場人物がドラマをより劇的に展開させていきます
。エンディングでは全ての謎が解け、モンスターにやられていった仲間
たちからのメッセージを聞くことができます。このときの曲、台詞が実
にかっこよくそして感動的だったのが今でも思い出されます。

(豪華スタッフの競演)

このゲームの大きな謎の部分(謎というほどでもないですが)であった
音楽の担当はドラクエシリーズや「帰ってきたウルトラマン」の主題歌
の作曲者としておなじみのすぎやまこういち氏です。氏の曲はドラクエ
でも同じですが、何度も聴かれることを前提に作曲されているため簡単
なメロディなのに飽きが来ません。それどころか聴けば聴くほど味がで
てくるところはやはり大御所の仕事であると感じざるを得ません。「J
ESUS」でも{ドレミ・ファミレドミ}といった簡単なメロディから
のアレンジで実に幅のある音楽を聴かせてもらえました。
またプログラミング担当はあの「芸夢狂人」氏が担当されています。昔
からのパソコンマニアの方なら誰もが知っているプログラマーです。ゲ
ーム中では氏の昔に作ったゲームを遊ぶことができます。こうした遊び
心もゲームファンにとっては嬉しかったと思います。

その他シナリオ、グラフィック担当も豪華な顔ぶれでした。
単純な内容ですが純粋に感動する事ができた「JESUS」は私の中の
アドベンチャーゲームでも1、2を争うほどの作品だったと思っていま
す。後に2がでますが私的には1での印象、感動が大きすぎて少し期待
はずれ、残念だった記憶があります。

                        by Syuu

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