猟銃のメンテナンス「半自動ライフル銃のクリーニング」の実際

イノシシや鹿猟の猟場で見るライフル銃は半自動銃が多い。私の所属するの猟グループ(13名)では猟期中の週末と祝日の出猟(通常7名前後)で毎年150頭前後の鹿を獲る。先猟期は長期の豪雪に見舞われて山裾まで立ち入ることが難しい日もあり、猟犬が雪に埋もれて使えないことで、通常の猟期より捕獲数が減ったが100頭は軽く超えた。使用されているライフル銃は殆どが半自動ライフル銃である。 308Winや30-06Spr.装弾のブローニングBARが代表的な銃である。仔連れのイノシシの一群や鹿の群れに遭遇すると半自動ライフル銃は5連発で便利な銃と評価される。グループ猟ではボルト式ライフル銃を持っていて連発が出来ずに逃がすと仲間から何を言われるか判らない。高倍率のライフルスコープでも付けていれば笑いものにされる。 そんなことで、多くの半自動ライフル銃が使われているのを見て来たので半自動ライフル銃のメンテナンスも色んな方法を試みてきた。 時間を掛けずに楽に済ます方法を見つけるのが狙いである。 結果を評価するには相当の年月が必要であることから長い猟暦が必要になる。 半自動ライフル銃では銃身と薬室の掃除が中心で他の部分は弄らないほうが良い場合が多い。現に、ブローニング社がBARライトウエイトを発売して最初に日本へ持ち込まれた308WinのBARを今なを私の猟友が使っていて、快適に回転しているのを見れば半自動ライフル銃のメンテナンスは方法を選べば誰でも簡単にできて難しいことではないとの結論に近づいたと感じる。 むしろ難しく考えて銃を痛めている場合が殆どである。さて、具体的にはライフル銃を発射した日は薬室から「ブレーキフリーCLP」を塗布した「ボアースネーク」を5回、使用しないが銃身から雨水や埃の入ったと思う日は3回通すだけでよい。「ボアースネーク」を1回通すだけで綿パッチを160枚通すのと同じ効果があると言われている。 紐の終端が太くなっていて薬室の掃除も同時に済むので半自動ライフル銃の回転不良の原因に一つである薬室の痛みや侵食によるエクボの発生を防いでくれる。紐の終端を少し太くして引き抜きの抵抗感を高めて掃除効果を高めるためには、終端が2重になっているので適当な布片を挟んで調節すればよい。銃の他の部分は油布で拭う程度でよい。絶対にしてはならないことは銃口の先端から銃を買ったときに銃砲店から貰うような3本継ぎの安っぽいアルミの洗い矢を突っ込むことだ。 中古の半自動ライフル銃の銃口部分のライフリングを調べるとライフルリングが削り取られているのを見るのはこれのためだ。アルミ棒の継ぎ目の段差で削り取られるからだ。 酸化アルミの粉末は研磨剤としても使われる硬度を持っている。段差でゴシゴシ銃口を擦ればマズルクラウンはひとたまりもない。 私はウインチェスターM100を愛用しているが全国の銃砲店に頼んで程度の極めて良いM100が中古で出てくれば購入して何度も入れ替えて来たが、あるとき5丁のM100の在庫のある店で全ての銃身のマズルのライフリングが損傷していることもあった。マズルの損傷だけなら銃身を2インチほど切って再生すれば使えるが、このような銃は往々にして薬室が荒れていたりするものだ。メンテナンスの方法が間違っていたと言うほかない。 機関部などは濡れたときは拭うか、圧縮空気のスプレーやコンプレッサーで水分と埃を吹き飛ばして水置換型の「CRC−336」などをスプレーしておけば潤滑と錆の防止ができる。これだけでBARを16年間狩猟や有害駆除に使って故障も老朽の兆しもない例がある。 どうしても、銃口から洗い矢を挿入しなければ気がすまないハンターはナイロンコーティングした継ぎ目のない1本物の洗い矢とマヅルガードを用意して欲しいがそこまで無理をする意味がない。 最近はクリーニングの時間を短縮するために非アンモンニア系の強力なソルべトが発売されて人気があるが、使い方によっては銃身を傷めるだけでなく、ボアスネークに使うと、繊維を傷めることがあるので注意することだ。薬剤でボアスネークの繊維が犯されて千切れる原因になる。

「ボアスネーク」は1996頃に米国で新製品として発表された。発明者が「世界最速銃身掃除具」称して米国の展示会に出品したときに会場に居合わせたが、ボルト式ライフル銃が主体の米国市場では関心が薄かった。私は一目で半自動ライフル銃の多い日本のハンターには最適の新製品と感じて、製品を持ち帰り雑誌狩猟界にて紹介して、猟野で使い始めた。 使ったハンターの口コミで売れると知った銃砲店が扱い始めてハンターや射撃選手に知られるようになった。 暫くして米国でもミリタリー自動銃に人気が出始めたので、自動銃でのクリーニングに適合性があると感じた一部のメーカーが直ぐに発明家から権利を買い取り名前を買えて発売を始めた。その後、何度か発売先が変わり、現在では大メーカーのホップス社のブランドで上市されている。小さなメーカーの社長の思い付きで生まれた製品の権利が買収を繰り返されて大メーカーの基で世界に販路を広げた製品といえる。会社が変わるたびに色んな呼び方がされているが日本では「ボアースネーク」や「ヘビ」と呼んで愛用する人が多い。 注意としては、一度購入するとボロボロになるまで使う人が居るが安価な製品であるので、古くなれば適当な時期に新品と替えることと、使用する銃の口径の合ったものを購入しなければならない。 指定以外の口径に使って銃身の中に停留して取り出すのに困ることの無いように願いたい。ボアスネークは半自動ライフル銃を所持するハンターには欠かせない製品である。

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