2010年の猟銃対策

2009年猟期も残すところ2週間足らずになった。2月15日で終猟を迎えるところが多く、地域によってはシカ猟が3月15まで延長されるところもあるが,いずれにしても2009猟期は終盤に差し掛かった。気温が上がって桜の花がほころび酔客が野山に繰り出す頃まで猟期が長くなるのも考え物である。そのような事よりも昨年末の改正銃刀法の施行以来、ことさらに猟銃所持の厳格化が現実のものとなりつつある事がわかってきた。悪い事に、1月に近県で現役のハンターによる猟銃による殺傷事件が発生したときは、TVのワイドショウではコメンテーターが一斉に猟銃の自宅保管の禁止を訴えていた。隣の家に猟銃があるという事を知っただけでも脅威を禁じるというコメンテーターの話もあった。また、趣味としての狩猟のために一般人が銃器を所有することの社会的公益性についても疑問の声が多かった。有害鳥獣駆除に協力して社会貢献しているなどの話は一部の農村地域に住むハンターが行政の要請と何がしかの補助金を貰って狩り出されているだけで、本来の狩猟用途としてのみしか猟銃所持が許可されない都会の大方のハンターの知るところではない。「有害鳥獣駆除業務」と「狩猟」と全く別の事柄であって猟銃所持の正当性を主張する何の根拠にもならない。佐世保の事件以来、ここ2年ほどは銃刀法の改定が進められて沈静化していた猟銃所持者への風当たりの強さがまた勢いを吹き返してきた感がある。一人の銃砲所持者の異常な行為の危険性が、まるで全ての猟銃所持者が共有しているが如き論調が社会を支配している事の方が異常といえようが、此れが今の国民の総意などとTVで繰り返し言われるとその気になる視聴者も多い。日本には「飛び道具は卑怯なり」という変な武士意識や為政者による「鉄砲狩り」の歴史を肯定する先祖の血が引き継がれて、同じ危険な凶器となる車や刃物による大量殺傷事件が短絡的に趣味としてのドライブの禁止や包丁の登録制の法制化の論議に発展しないことから、銃器に限って忌避する市民の偏見が根深く存在していることを認めざるを得ない。この状態では、善良な猟銃等の銃砲所持者は狩猟を続ける以上は当局の指導の下に異議を唱えず厳しく銃砲の管理に努めるしか途は無い。当面の当局の指導は自宅訪問で立ち入りによる銃器や火薬類の保管状況の確認、眠り銃の返納指導に重点が置かれていて、既に所轄の担当者が二人で巡回家庭訪問している府県もある。猟友の話では今年1月に狩猟で使っていたRem7600ライフル銃が時々スタックするので新しくBARライフル銃に買い替えのために精神科医の診断書や新様式の申請書類を揃えて許可申請をしたところ、以前なら新規許可申請や更新時には近所の交番の巡査の自宅訪問であったものが所轄の生活安全課の銃砲担当二人による訪問に変わり、ガンロッカーや火薬庫の保管状況を徹底して調べて帰ったそうである。ライフル装弾の現在の残数を聞かれて、「49発です」と答えたところ、現物を確認して、「どうして49発も所持しているのか?」と聞かれたようだ。猟期の最中であればその程度の装弾数は普通であろう。今時のシカの繁殖の激しい猟場でのシカ猟なら一日で10発以上撃つ日もあろう。実包の管理には特に厳しい記録を残すように要求される。このように現実に情勢は変化しているので銃砲所持者は一段と気を引き締めて銃砲や火薬類の管理を怠らないように気を付けなければならない。そこで、ハンターは管理する銃の数は少ない方が手間が省けるし警察の眠リ銃撲滅の趣旨にも合うので、私は新しく猟銃は買わないことに決めた。新たに狩猟を始める若いハンターは、どうしても猟銃が必要なら、これからは猟銃を手放すハンターがいくらでも出てくるであろうから待てばよい。高齢のハンターの中には素晴らしい新品同様のライフル銃を手放さなければならない状況に追い込まれる人も早晩あちこちで出てくるであろう。廃銃にするぐらいなら誰か長く使ってもらえる人が居れば譲ってもよいと思うだろう。ハンターは既に社会に存在する猟銃を貰って引き継いで行けばよい。 去る1月19日から4日間米国ネバダ州ラスベガス市で開催された「2010ショットショウ」を見に行く途中の航空機の中で、ふと自己撞着に陥りながら、こんなことを考えた。20代から狩猟を始めてライフル銃による獣猟だけを続けて50年、リタイアーして暇が出来たので狩猟三昧の猟期の途中を抜け出して海外へ猟具猟装の国際見本市を毎年見に行くようになって十数年が経過した。米国の銃メーカーや業者にも顔馴染みが出来て本音の話が聞けるようになった。銃砲業者なら稼がなければ生活が出来ない事で仕事に都合の良い情報しかユーザーに伝えないのが常で、日本のハンターは長年の間、猟銃に関して情報不足であった。一例として、世界の国際価格の何倍もの高い価格で猟銃を買わされていることすら知らない人が多かった。そうしたことに疑問を感じて、ハンターの自分の目で現実の姿を見ようと海外のショットビジネスマン達と付き合いだしたのが始まりであった。日本の銃砲小売業者にもショットショウへの参加を薦めたり、ショットショウの公式案内パンフレットに日本語の案内文を入れてもらったりした事が奏功して、今ではショットショウに興味を持ち参加する人も増えて会場内で逆に日本の銃砲店主から声を掛けられるようにもなった。外国のショットビジネスマンやNRAの幹部達と話すようになって世界の先進民主国家の銃砲行政を知るにつけ日本の特殊性が分かるが此れが日本の民意とすれば従うほか無い。今回の改正銃刀法の施行の本当のハンターへの負担の重さは更新時の射撃実技講習など先送りされていることが実施される時期であろう。ボデーブローのようにハンターを締め付けてくるに違いない。この時期になって猟銃を手放して狩猟を止めたり、罠猟に転向するのも選択肢の一つだが、ハンターは最小の労力で猟銃を所持して狩猟を続けられるように今から考えておくのも良いだろう。これからの課題として、現時点で所持している猟銃を活性化して楽しく狩猟や射撃を楽しむ方法を身に着けよう。今年のショットショウではLE(治安維持)ブームで米国の大手銃器メーカーの新製品では日本で所持できるような種類の狩猟銃では目新しい製品がなくなって来た。AR−15スタイルの軍や警察やミリタリー・マニア御用達のLE&タクティカルモデルが開発の中心になった。ホテルと会場を結ぶシャトルバスの隣の席に座った米国の小売銃砲店主の話ではロングガンのライフル銃で売れるのは500ドル程度のバーゲン品で儲けが少ない。大方のハンターはこの程度の銃で猟を楽しんでいるそうで昨今のLEブームは新たな若い人達の需要層を生み業界の救世主になる事を期待していた。日本のハンターは猟用ライフル銃なら1挺2,000ドル(約20万円)が普通だと言うと、私の話が信じられないのかメモ帳に数字を書いて金額を確かめていた。米国で700ドルの銃が日本の小売銃砲店に来ると20万円になることもあるとは云いそびれた。銃砲規制に話が及ぶと、米国では銃砲所持の法律が銃砲規制を支持する人達の意向で厳しく改正されようとすると銃砲メーカーを含む銃砲業者、狩猟、射撃団体がこぞって反対運動を起こすが日本ではどうかと聞かれたが返事に困った。今回の日本の銃刀法の改正あたって猟銃を所持しているハンターや射手の立場を代弁して業界や猟友会の反対決起大会や署名運動やロビー活動が行なわれた話は一度も私の耳には入らなかった。 国会で法律が成立してしまった後ではなんとも致し方ない。狩猟用のライフル銃については日本のハンターが今現在、猟野で使っている猟銃で十分であろう。この分野の猟銃本体では画期的に猟の向上に結びつく機能の開発があるとは思えない。その上に猟銃を所持するための難しさが倍増されると思うと、今までのように国際見本市で猟銃の新製品を見て日本の獣猟での適正を考える楽しみや熱意が失せる思いであった。これからは新銃の購入は考えずに所持している猟銃を大切に使って、サイトやライフルスコープなどアクセサリーや猟装に広く目を開いて狩猟を楽しくする方法を考えよう。こうして視点を変えて2010ショットショウを見ると結構楽しい事が発見できる。米国は狩猟人口が多いので色んなアイデアや発想を製品化する能力も高いので参考になることも多い。気の付いたものを順次紹介していこう。            次回に続・・・・

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