獣猟ハンターの猟銃の選び方

猟銃入手法あれこれ

 

2009年猟期に向けて新しく猟銃の所持を検討するハンターには今が最適の時期といえよう。毎年のことだが解禁日の近い秋風の吹く頃になると希望する銘柄のライフル銃が見つからないと慌てるハンターからの電話が入る。現在のような情報化時代ではハンターの猟銃の知識も豊富になり、好みも多様化すると銃を小売する銃砲店も、需要を予測して輸入する輸入商も売れ筋を絞れなくなり頭の痛いことだろう。昔なら銃砲店の店頭には半自動ライフル銃なら「レミントン」などのごく限られた輸入銃がウインドウに飾られているだけで銘柄も口径も選択の余地が殆どなかった。学卒者の初任給なら年収ほどの値札の付いた銃砲店のウインドウに並んだ猟銃をわざわざ回り道して眺めては購入できる日を楽しみに貯金に努めたものだった。その代わりと言って変だが、猟銃を所持する手続きはいたって簡単で散弾銃やライフル銃の区別もなく猟銃を購入してから所轄へ届け出る程度のことで、銃ごとに所持許可証を発行してもらえた。同じ一人の銃砲所持者の銃暦のなかでも昔と今では猟銃ほど所持が厳しく所持許可手続きが複雑に変わったものも少ないだろう。年間何万人という事故死傷者の発生する自動車の所持に付いては昔と今ではそれほどの違いはなく、むしろコンピュータ処理の導入で手続きは簡素化されている。「銃砲所持許可の厳格化」が今年から実施される銃刀法の一部改正の重要な目的であれば今後は猟銃を持つことには相当の決意と労力を費する覚悟が必要になろう。ハンターやシューターは如何にこれらの新法に則って猟銃を所持し続けるかを考えるときが来ているように感じる。長崎での猟銃による殺傷事件の直後に全国の猟銃所持者を対象に行われた猟銃一斉検査では、平成17年1月1日以降の3年間の猟銃使用実績や火薬類等購入消費について日を追って記入した書類の提出を求められたところもある。ハンターからの火薬類購入日や射撃日時の問い合わせで銃砲店や射撃場は思わぬ手を取られたと聞いた。それから1年経った今年の春の一斉検査では、前回の一斉検査以降の1年間についての、火薬類の購入消費実績と所持銃1丁ごとに「一斉検査用」に作られた「猟銃使用実績報告」の提出が求められた。この「一斉検査用猟銃使用実績報告」は猟銃所持更新時に提出する法定の「猟銃使用実績報告」とほとんど同じ様式で備考欄に狩猟、射撃、有害駆除での1年間の使用回数を記入することになっている。さらに大変な作業は「火薬類等譲受許可証」の申請である。前回に許可を受けた以降の火薬類等の購入消費実績をライフル実包、散弾実包、無煙火薬、雷管それぞれについて報告書が必要で、さらにこれらの火薬類を消費した猟銃一丁毎に「消費実績報告書」が必要になる。また今年の4月1日からは「火薬類等消費計画書」の提出が必要になった。 このように、同じような複雑な書類を更新時、一斉検査、火薬類の譲受許可申請のたびに作成して提出しなければ猟銃を所持できない環境になるとハンターも少しでもこれらの煩雑さを軽減する方策を考えなければならないであろう。一番良いのは猟銃を所持しないことだと所轄が教えてくれたがこれが出来ないとなれば所持銃の数は少ないほうが楽だ。1丁で猟友会の発行する火薬類無許可譲受許可証の範囲で済ませば比較的管理は楽になる。2丁以上になると提出書類の枚数が増えるだけでなく、書類が多くなることで書類間の数値の整合の確認作業が大変になる。リローディングをしていると無許可製造装弾の1個あたりの使用火薬量をグラム単位で製造日、消費日ごとに記帳した結果を射撃場や狩猟同行者を明記して報告することになる。これだけの複雑な作業を17万人ハンターに求められていることになる。 銃刀法は全てのハンターに平等に適用されるはずであるが都道府県公安員会や所轄の担当者によっても運用や解釈に差があるように見受けられる。都道府県によって指導法や見解が異なるとなると仕事の都合や転勤で他府県に移り住む場合など余分な心配をしなければならなくなる。所轄の話では昨年来一人のハンターの所持する銃の数と所持者の減少が顕著であるというからには銃砲所持許可の厳格化と管理の強化は功を奏していると見るべきだろう。猟銃や火薬類の適正管理を心かけるハンターにとっては負担の増していることは否めない。その上、まだ具体的な実施方法が明らかにされていないが猟銃所持更新時の射撃技能の講習受講の義務が課せられるとなると、新たに猟銃を所持しようとするハンターは所持後のことも考えての猟銃選びが必要になるであろう。

日本では銃の所持は禁止されている

公安委員会の開催する猟銃講集会の講師や所轄の係官からよく聞かされる言葉である。日本で銃の所持を許可されているのは警察官と自衛隊員などの一部の公職の者に限られている。これが原則で例外的に狩猟や有害駆除、射撃競技選手などの特別の必要のある者に厳しい条件を付して許可されることがあると説明されている。我々ハンターは狩猟という明確な目的意識と用途を限定されて猟銃の所持を例外的に許可された特別な存在といえる。従って、所持する猟銃は狩猟鳥獣を捕獲するに足る機能を備えたものが1丁あれば十分であるといった考え方もある。所轄の係官からの眠り銃の追及は厳しさを増している。エゾシカ猟へ行くためと云って所持許可された7mmレミントン・マグナムのボルト式ライフル銃が3年前に一度行ったきりで直近の2猟期間に北海道の狩猟登録が無かったことで返納を迫られて応じた話もあった。また必要なときには申請してくださいと云うものの、そのとき許可される保証は全くない。今回の銃刀法の一部改正では改正案の検討過程で見られた「猟銃の自宅保管の禁止」は実現しなかったものの案として提起されたことだけでもハンターに取っては由々しき問題である。つまり、ハンターは先行き不透明ななかでかろうじて不安を抱えながら猟銃を所持しているといえる。

猟銃の選び方にも変化

そこで、猟銃を選ぶ場合は狩猟や射撃の所持目的にあった猟銃を1〜2丁所持するのが精一杯になろう。また、法の改正や個人の事情の変化で何時返納を迫られても惜しくない銃であることが必要になる。いまどき、ハイグレードな高級な銃を所持することがステータスだと思うようなハンターは居ないと思われるし、猟場でも射撃場でも他人に所持銃を披露する機会は無い。うっかり他人の猟銃に触っただけで銃刀法違反で送検される場合すらある。誰がどのような猟銃を使っていようが興味を持たずに自分の猟果やスコアーだけを考えるようにになる。最近、散弾銃から新しくライフル銃を所持して射撃大会へ参加してくる射手のライフル銃を観察すると機能性に優れた安価なモデルを選んでいることがわかるので銃の選び方にも変化が感じられる。独断的になるが銃砲を所有しているハンターだけを大きく2つのグループに分けてみると、1.狩猟、有害駆除に徹して猟犬への関心も高くて猟銃では実猟本位のモデルを長く使っているが、年間の装弾消費量は少ない。猟場で一番多く接するハンターたち。2.猟期には狩猟、非猟期には射撃と猟銃の使用頻度の多いグループで装弾の消費量も多く、火薬類譲受許可証の必要なハンター。この他に、銃砲所持者には射撃選手や学連の学生など多々あるがハンターに限ってみれば多くのハンターは2つのグループのどちらかに入るだろう。

狩猟本位の猟銃選び

1のグループの多くのハンターは猟銃の価格破壊の始まった平成9年頃、ライフル銃ではベストセラー銃になった半自動銃ブローニングBARライトウエイトが日本で売りだされた頃からの数年間で銃の買い替えが終わったと思われる。一度購入した猟銃は一生使う気でいるのが普通で、よほどのことが無い限り買い換えない。戦後、長く猟銃は高価な商品として国際価格からかけ離れた、生産国の何倍かの値段で日本で販売されてきたために猟銃を消費財ではなく資産のような感覚を未だにハンターが持っていることに起因しているように思う。

一時は暴落した国内の猟銃価格も最近ではジワジワと上がり始めているところへモデルチェンジを機に価格を改定するメーカーもあるので、新製品の猟銃にに特に関心が無ければ、狩猟をやめて銃を手放す仲間の銃を貰い受けるのが賢明であろう。所轄へ返納される猟銃が後を絶たない時代である。猟仲間に普段から声を掛けておくことを薦める。狙い目は、散弾銃ではレミントン、ブローニングやベレッタといった国内でよく使われている銘柄の自動銃であれば故障の場合の部品の手当ても可能でメンテナンスも楽である。ただ、ハンターの使用銃は外見は痛みが激しいが機能に問題がなければ気にしないことだ。

狩猟も射撃も楽しもう

猟期には狩猟に出かけるが非猟期には射撃も楽しむグループでは、最近ではイノシシやシカなどの獣猟に志すハンターが増えている。猟場での発砲の機会も多いの射撃の腕を磨く必要に迫られているハンターである。このような獣猟ハンターを観察すると最低で散弾銃1丁とライフル銃1丁の2丁が必要になる。射撃での猟銃の使用回数が増えてくるとボルト式で更に1丁の猟銃を所持が必要になる。読者からは、現在では地方によってはライフル銃の所持許可など絶望的だとの声もあり、そのために他府県へ転居して所持を実現したハンターも居るようだが、必要なら諦めずに根気よく所轄に通って所持許可を得る努力をしたい。

半自動ライフル銃

イノシシやシカ猟ではライフル銃なら半自動銃が最も多く使用されている。初めてライフル銃を所持するハンターから半自動式とボルト式で選択に悩む相談があるが、半自動式を薦めてよい結果を得ている。操作するスタイルや格好の良さからボルト式やレバー式を選んだハンターの中には連発の難しさから獲物を逃がして半自動式に買い換える人がいることから捕獲重視なら半自動式が無難である。「ブローニングBARライトウエイト」が猟場を席捲しているのをみても軽量半自動ライフル銃が近県の猟場では万能ライフル銃の働きをしているのが良くわかる。装弾の口径では308Winが増えていて、30-06Sprに比べてやや威力は落ちるものの内地のイノシシやシカには有り余る威力があり、装弾長が短くて、最近では半自動式にも専用の短いアクションが採用されたことで人気がある。一方、30-06Sprは発表から100年が過ぎて古い感じがしないでもないが、今のような所持許可の取得が難しいときにはリローディングで110グレイン〜220グレインの弾頭で広い範囲の用途をカバーする装弾設計が可能で見直されている面もある。最近では35Wherlenなど銅弾頭でエゾシカ猟ライフル銃として人気のある装弾の使えるモデルもある。

ボルト式ライフル銃

半自動ライフル銃で狩猟では何の不足も感じていなかったハンターが非猟期にライフル銃で射撃を楽しむようになるとボルト式ライフル銃が欲しくなる。半自動式では排莢されたケースが飛んで他の射手に迷惑を掛けたり、1発装填の不便さなどからボルト式に半自動式に無い便利さを感じるようだ。精度の得やすいボルト式ではライフルスコープを付けて積雪時の猟場で忍び猟で遠距離の獲物を狙うことにも半自動銃とは違った興味が沸く。しかし、首都圏近郊のハンターには理解されないことかもしれないが、この1丁のライフル銃の許可を得るのには大変な努力と忍耐が必要な地方もある。所持許可申請書を受理されるまで、理由書の書き方の不備を指摘されたりして何回も所轄に通うこともある。やっと受理されても許可になるのは何ヶ月先か、何年先かは判らないといわれる。申請書の受理から許可までの日数は最近は全国的に長くなっているように聞くので、居住地の許可状況を知っておくことが必要であろう。最近1年間で聞き及んだ例では、申請書類受理から許可までの日数は短かくて35日、長いものは7ヶ月があった。最近改正された銃刀法では「所持許可の厳格化」があるので、申請者に関する調査の必要から許可までの日数はかなり流動的に変化すると思われる。改定された銃刀法の中で「都道府県公安委員会に対する申出制度の新設」は本年7月5日から施行されているので注意が必要だ。「何人も、付近に居住する者等で銃砲刀剣類を所持するものが、その言動等から当該銃砲刀剣類により人の生命、身体を害するおそれがあると認められるときは、都道府県公安委員会に対し、その旨を申し出ることができることとする」(法第29条関係)とあるので近所付き合いにも注意が必要にならう。

具体的なライフル銃の選び方

半自動銃では猟犬を飼ってクループを率いるハンターに聞けば経験的に銘柄を教えてくれるであろうし、大体同じような回答になる。軽量半自動ライフル銃も発売から10年以上経って中古銃が豊富にあるので狩猟を止めていくハンターの銃を紹介してくれるかもしれない。 先ず、ハンター仲間に相談することだ。 ボルト式となると純粋に狩猟だけに使う場合と狩猟射撃の両方を視野に置く場合と異なる。狩猟用では北海道のヒグマ,エゾシカ猟や東北、中部山岳地方で積雪の猟場でのクマ猟の遠射などでは特定の獲物に適する銃を選ぶことになる。近県のイノシシやシカ猟のハンターが半自動式の他にボルト式を選ぶ場合は所持許可が厳しいこともあって狩猟射撃のいずれにでも用途範囲の広い銃を選ぶことになる。射撃の場合は50メーター程度で発射弾数が多くなることでリローディング装弾やメーカー装弾でも軽い弾頭の射撃用を使うことが多くなる。狩猟のときは薬量の多い装弾で遠射での捕獲を試みることになる。こうしたときに選択されるライフル銃にはバーミント・タイプのモデルが注目される。本来バーミント・ライフル銃は太い銃身の重たい銃で遠距離の有害獣の駆除用としての製品であったが最近では銃身に軽量加工を施したりして軽量化が図られている。所謂、携えて渉猟するのに便利なウオーキング・バーミンター・モデルである。今までも本誌に「ショットショウ・レポート」の中で新製品として何種類かを紹介してきたが、昨年レミントン社から発表されて今年から本格的に販売されている「レミントン700VTR」はバーミンとライフル銃の究極のモデルとも言える。米国で1000ドル以下で売られていて見かけによらず安価な価格設定であった。これを参考にして、手に入る範囲のバーミント・ライフル銃を検討して所持することも出来よう。新銃を購入しなくても優れたアクションを探して技術の備わったガンスミスに依頼して好みの仕様に造り変えてもらうことも可能である。最近私の周りでボルト式ライフル銃を購入した人達のライフル銃を見るとバーミント・モデルが多いように感じる。特に、狩猟経験10年未満で散弾銃でイノシシやシカ猟を楽しむハンターがランニングターゲット射撃用として推薦状によりライフル銃を所持する場合は殆どがバーミント銃になるようだ。狩猟用で半自動ライフル銃を所持しているハンターがボルト式ライフル銃を選ぶ場合もバーミント・タイプのライフル銃の軽量化で選択範囲が広がったことになる。銃砲所持の厳格化で少ない挺数のライフル銃の所持で幅広く狩猟や射撃を楽しむためのハンターの猟銃選択の変化といえる。

レミントン700VTRライフル銃

「レミントン700VTR」の「VTR」は「バーミント・ターゲット・ライフル」の略称で、口径は17RemBireball,204Ruger,22-250Rem,223Rem,243Win,308Winが用意されているが日本のハンターが所持できるのは243Win, 308Winになる。既に、輸入されているのは308Winである。マズルブレーキ付きの22インチ銃身は三角形に削ることで減量され放熱効果を高めている。重量は7.5ポンドで同社の他のモデル700のバーミント・ライフル銃よりは軽量で携帯性に優れた設計である。人間工学的なグリーン色の樹脂銃床のグリップなど手の当たる部分に黒い色の樹脂でアクセントが付けられている。当然、トリガーはX―MarkPROのレミントンの最新トリガー装着されている。「レミントン700VTR」は長い太い銃身でいかにも重たそうなバーミント・ライフル銃の世界に新らしい用途を開くものと期待される。これからボルト式ライフル銃を所持しようとするハンターにも参考になろう。

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