†PCうそつき講座†

Shuttle XPC SN68SG2[Athlon64 X2 4400+]

作成開始日 2018.08.23
最終更新日 2020.09.18

2007年発売のSocket AM2のキューブ型ベアボーンで、 それなりにデキの良さは感じさせるのだが、 細かな部分でいろいろ行き届いていなくて、このまま即実用は無理。 特に、キーボード周りの設定に問題が多く、個人的には非常に扱いにくく感じる。 まあ、Windowsしか使用しないユーザーには問題はないのだろうが…… 標準からズレることの生きにくさを実感させてくれる(^^; 解決は可能な問題だが、そうまでして使う価値があるかどうかは疑問。 なお、ドライバなしでカバーが外せるのは地味に嬉しい。

Athlon 64 X2 4400+は(おそらく)AMD-V対応なので、Puppyを乗っけて、VirtualBoxでOS/2を動かす、という選択肢はアリかも知れない。静音性にもう一工夫すれば、けっこう実用的な環境が構築できるような気がする。パフォーマンスが片コアの1/10程度と見ると、OS/2を200〜300MHz程度で動かすことに相当するが…微妙かな?

2019年9月、Puppy 4.3/Tahrpup/Xenialpupを乗せて、Puppyの実験マシンとした。

SPEC
CPU Athlon 64 X2 4400+ / 2@2.3GHz / TDP=65w / SocketAM2 Brisbane? / AMD-V / pm=1100
C/SNVIDIA GeForce 7025/nForce 630a
RAM 4GB / DDR2-800MHz 2GB x 2 (DDR2-533/667/800MHz x2slots dual-ch.)
HDD80GB 2.5" SATA150 / HITACHI HTS541680J9SA00 5400rpm 3.5w (FDD-bay : PMU-08B)
80GB 3.5" SATA300 / WDC WD800JD 7200rpm
eSATA端子×2あり
ODD DVD-ROM SATA / TSST(東芝サムスン)SH-116AB
LAN 1000Base-T / Marvell Alaska 88E1116(OS/2不可)
100Base-T / RTL8139(PCI LANカードを増設)
USB USB 2.0×6(前面2+背面4)(OS/2ではOHCI×2+EHCI×2と認識:UHCIではない)
PS/2なし

●CPU

現時点ではAthlon 64 X2 4400+(2@2.3GHz)が入っている。 TDP=65wでpm=1100というのは何とも微妙なところ。 が、Scokt AM2なので、CPUの選択肢は比較的豊富。 AM3とも互換性はあるので、Phenom II X4なども乗る可能性がないではない。

しかし、現実的にはAthlon64 X2の5000番台がいっぱいいっぱいの所だろう。 コストや入手の容易さを考えると、それ以上の性能のCPUはちょっと厳しい。 そうなると、せいぜいpm=1500程度で、Core i3 380Mにも及ばないレベル。 高速性は本機で追求するテーマではないだろう。 ちなみに、同時期のIntelはCore 2 Duoの第一世代で、 パフォーマンス的には似たようなものだった(4400+はC2D E4400と同等程度)。 その意味では、当時としては充分メインを張れるスペックだったのだが。

一方、省電力重視なら、35w版Athlon 64 3500+とか、同Sempron 3200+とか、 或は公式サポート外だが45w版のBE-2350とか4850eなどの選択肢がある。 性能無視なら、シングルコア版の2650e(15w)もあるが、 流石にAtom 230に毛の生えた程度の性能では使い途がない。 そもそも、省電力性能ではライバルのCore2 Duoの方が圧倒的に優れている。 これも深入りするテーマではないと思う。

仕方ないと言えば仕方ないが、今から見れば実に中途半端な存在となっている。 我ながら、なぜメインストリーム機ではなく、省電力機ばかり追いかけているのか良くわかった。 省電力機は古くなってもツブシが効くが、古いメインストリーム機はただのポンコツである。 ま、それはそれとして…

●クロック変更と省電力化

本機はCPUのクロックやコア電圧がかなり自由に変更できるようになっている。所謂オーバークロッカー御用達だったのだろう(OCには全く興味がないので良く知らないが)。クロックもVcoreも上げる方にしか変更できないが、倍率だけは低く設定できるので、アンダークロッカーの私にも有用な機能と言えなくもないが…あまり意味はなさそうだ。この時代になると、アイドル時のCPUの消費電力はかなり低く抑えられるようになっている。実際、CPUのTDPが65wだと言うのに、アイドル時にはシステム全体で40wちょっとしか食っていない(単コアのOS/2)。CPU単体で考えれば数w程度だろう。クロックをいじる意味はない。

同じ理由で低電圧版のCPUを探すのもあまり意味はないかも知れない。これらは、確かに高負荷時には消費電力を抑えられるかも知れないが、アイドル時には65w版と大差はないだろう。そして、PCの省電力の決定要因はアイドル時の消費電力なので、そこで効果が薄ければ換装の意味はない。

●消費電力と静音性

実測で、ブート時60〜70w、BIOS時55〜65w、OS/2アイドル時41〜42w、同ピーク時70w前後。ただし、OS/2は1コア版を使用;Win7等2コア使えるOSならばピーク時は100w前後になるだろう。ちなみに、OS/2は8GBのSSDに入れて使用した。小容量のSSDと3.5"HDDでは10wくらい違うだろう。BIOS時の消費電力の振れ幅が大きいのそのせいだと思われる。なお、標準電源はSILENTXの250wだが、本機はPC60I0005(300w 80PLUS BRONZE)に換装されている。

OS/2はSMTP版ではないので片コアしか使用していないわけだが、アイドル時に40wそこそこと言うのは悪い数字ではない。上記の理由から、1コアでも2コアでもアイドル時の消費電力に大差はないと思われるので、恐らくWindowsでもアイドル時40w台で動作すると思われる(試す予定はないが)。24時間運用はちょっとためらってしまう数字だけれど…

⇒その後、Xenialpupをインストールして試したが、アイドル時33wに収まっている(2.5"HDD使用)。

CPUファンは銅パイプで背面に熱を誘導して、ケースファン兼用の9cmファン(実測)で冷却するタイプ。所謂1ファン構成(別途電源ユニットに静音ファンが付いているが)。この9cmファンはスピードコントロールが効く。40w程度だと低速回転でかなり静かになるが、それでも側に置くと気になる。低い回転音で唸らないので、一般のユーザーは問題にしないレベルかも知れないが、私には我慢できない。ただし、置き場所の工夫、ファンの換装などで、かなりの静音化の余地はあると思う。

●OS/2について

最初、80GBのHDDに対してイメージインストールを試みたが失敗。 ブートプロセスには入るものの、どうもドライブのコントロールでクラッシュ。 まあ、HDDがクリーン状態だったので、DOSから80GB HDDを区画割りする必要があり、 FDISKの段階からちょっと大丈夫かな〜〜感があったので意外ではない。 むしろ、まずまずの成果と言える−−16GB以下のドライブには実績があるが、 大容量ドライブをどう扱うべきか、という課題があぶり出されたと言う意味で… まあ、80GBを「大容量」と呼ぶ段階で、化石時代のハナシなのだが…

で、OS/2インストール済みの8GB SSDを接続、これは見事にブート成功! 流石にキビキビ動く、片コアだけとしても、恐らくC7の2〜3倍の速度。 また、RAMが4GB載っているが、特に問題にはならなかった。 OS/2では3GB弱認識している模様。32bit OSなのだから、そんなものだろう… それだけ認識できれば十分。 重くてメモリ食いのSeamonkey 2.28がごく普通に使用できる−−GeodeNX/1GHz/512MBでは実用困難、C7/1GHz/1GBではギリギリ実用、本機では余裕で実用、というカンジ。

消費電力はアイドル時に41〜42w、ピーク時でも70wを超えるか超えないか。 上記のように、片コア化による省電力化はほとんど効果がないと思われるが、 消費電力&パフォーマンス共に十分に満足の行く結果になった。 が、他の点では問題が多く、残念ながらこのままではちょっと使い物にならない。

ときどき、アイドル時でも69wくらいに貼りついてしまうことがある。 原因は不明。が、ワークプレース・シェルの再起動(WatchCat使用)で42wまで落ちた。 何かが引っ掛かっていたのだろうが、けっこうな頻度で起きる現象。 ⇒同様な現象はXenialpupでも確認した。ハードウェアが原因か?

●CPUの異常負荷について

その後調べてみたところ、CPUが高負荷で張り付いてしまうのは、このベアボーンではけっこう有名な不具合らしい。何でも、WindowsでもデバイスマネージャにIEE1394が32個も出てきて、システムが非常に重くなるとか。しかも、ハードウェア起因で打つ手もないようだ。ただ、ビデオカードを換装すると改善するかも、とかなんとか…。いずれにしろ、IEE1394やビデオカードが直接の原因でないのは間違いないだろうから、それらの設定をどうかすれば何とかなると言う問題でもないようだ。正直、現状ではお手上げ。ただ、OS/2でWPSを再起動すれば正常状態に戻ったように、ソフト側での対策もあるかも知れない。本気で使うなら、そのあたりも考えておかないといけない。

●キーボードとマウスとBIOSとUSB

KBDもマウスもUSB接続のみで、PS/2コネクタがない! まずはここが大きな難関になった。 もちろん、PS/2がなければUSBを使えばいいじゃない、という事ではあるが、 そう簡単なハナシでもない。 通常、このような場合、BIOSレベルでUSBをPS/2エミュレートしてくれるようになっているのだが、なぜか本機ではKBDしかエミュレートしてくれない。 しかも、BIOSにエミュレートに関する項目がない−−つまり、マウスをエミュレートする方法がない!

本機を入手したとき、前オーナーさんが何故かPS/2マウスをオマケに付けてくれた(^_^;

そのため、USBドライバを組み込まない状態でOS/2を起動すると、キーボードはPS/2扱いで使用可能だが、マウスは無反応になってしまう。じゃあ、USBドライバを組み込むと−−今度はマウスは反応するが、キーボードが無反応に。明示的にUSBKBDのドライバを組み込まなくてならなくなってしまう。そして、USBKBDドライバを組み込むと、MYKBDによるキーマップの変更が不可能になり、CtrlとCapsLockの入れ替えが不可能になる!

さらに、なぜかこのBIOSにはキーボードのNumLockやRate/Delayに関する設定項目がない! NumLockは強制的にオン固定であるため、ミニキーボードだと、[M]とか[K]とか言った右半分のキーが使えなくなる。もちろん、NumLockキーを押して解除すれば良いのだが、アプリやコマンド窓を立ち上げる度に、毎回毎回解除が必要になる。煩わしいことこの上もない。OS/2にもNumLockの状態を変更したり、キーレイアウトを変更したりするツールがないことはないのだが、たいていは古くてUSBキーボードに対応していない。

解せないのは、本機のBIOSはありふれた青画面のPhoenix-AWARD BIOSで、通常ならばPS/2エミュレーションもキーボード設定も普通に備わっているはずである。それが、本機ではわざわざ削られている。USB周りの設定も大幅に削られて非常に貧弱になっている。意図的に不便にしているとしか思えない。全く解せない。もちろん、NumLock機能自体がない、Ctrl-AタイプのUSBキーボード(例えばHHK Lite2)を使用すれば、これらの問題は解決可能だろうが、そこまでしてやる義理もない。

なお、これらの問題はBIOSのアップデートで解決可能になるかも知れない−−そう思って少し調べてみたが、どうやらBIOSの更新ファイルはメーカーHPから削除されているようで、現在では入手困難のようだ。尤も、本機のBIOSが最新版か否かは確認していないし、仮に最新版に更新出来たとしても、これらの問題が解決可能かどうかは判らない。そんな状態で手間暇掛ける義理はない。この時点で、本機は基本的に放棄されることになった。

●LANについて

LANチップはMarvellのGigabit Alaska(88E1116)。 かなりマイナーなチップのようで、OS/2用のドライバは存在しない。 genmacも対応していないようだ。 こういう事態を想定してUSB-LANや無線LANどんぐりを買ったワケだが、 これらもOS/2では使えそうにない。genmacはUSB-LAN不対応を謳っているし、 無線LANもRalinkやMediaTek製品は全然サポートしていない。サポートしているのは、miniPCIe用の無線LANカードばかりである。

とりあえず、RTL8139のPCIカードを増設したのだが… これがまたとんでもなくハマってしまった。 根本原因は、多分端子の汚れによる接触不良(u_u;) 長い事放置していたカードなので… 問題をややこしくしたのは、オンチップのLANと2枚差しになる場合の扱いがイマイチ不明確だったこと。 一応、オンボードのLANはBIOSでDisableにしたのだが、 だからRTL8139がlan0になるのかどうか… 結局、なっていたワケではあるが…かなり試行錯誤が必要だった。 数時間を費やしてしまったが、とりあえず開通。 なお、PCIカードを増設したことで消費電力が増えるかと思ったが、 計測した限りで変化なし、アイドル時41w〜42wに収まっている。


Longrug reports ...

2018.08.20:オークションにて1000円[コミコミ1780円]で落札。
2018.08.23:OS/2のインストールに成功するも、問題点多数あり。
2018.08.27:チェック終了、当面お蔵入り。
2019.09.18:Puppy Linux実験用マシンとして再出動(Puppy4.31/Tahr/Xenial)
2020.09.17:HDDマウンタ交換


【PCうそつき講座目次】 【ホーム】