Odin -- OS/2でWindows Me/XPのプログラムを動かす

(2012.07.04)

OdinはOS/2上のWin32エミュレータ。Windows MeやWindows XPのプログラムを動くようにするプログラム。ほとんどのエミュレータがそうであるように、このOdimもまた十分な互換性やパフォーマンスは確保できていない。しかし、それなりに便利なものでもある。たとえば、PDFビューアのMuPDF(日本語表示可)や、LHZ/ZIP解凍ツールのLhasaなどは、ほぼ実用レベルで使える。MP3タグエディタのTA539も、重い上に機能制限が出るとは言え、内容確認くらいには使える。

●インストールに必要なファイル

本体ファイル:
 odin32bin-0_8_4.wpi (Hobbes)

前提環境:
 WarpIN-1-0-19.zip (Hobbes)
 libc-0.6.4-csd4.wpi (ftp.netlabs.org/pub/gcc)
 gcc4core-1_2_1.wpi (ftp.netlabs.org/pub/gcc)

オプション:
 odinapp.zip (ftp.netlabs.org/pub/odin/Daily, os2site)

●インストール方法

@前提ファイルをすべてインストールしておく
Aodin32bin-0_8_4.wpiをダブルクリックしてWarpINでインストールする。
Bリブートを掛ける。
Cコマンドラインでodininst.exeを実行する。

基本的なインストールはこれで終了。 ヘルプにあるようなCONFIG.SYSの明示的な書き換えは必要ない。 と言うよりも、このバージョンではWIN32K.SYS自体が見当たらない。

  こう書くと簡単そうに見えるが、実際にはドキュメントが不親切かついい加減(古いまま更新されていない)なので、随分苦労した。いや、そういう文化であることは百も承知してはいるが、必要なファイルはバンドルするか、同じディレクトリに入れるか、せめてリンクを明記するくらいのことはしろよな(書いてある場所にはないし)。太宰流に言えば、ユーザーに対する心尽くしが足りない、志賀直哉の小説ようだ…などと勝手な文句を言っているが、これほどのことをやってのける人達の熱意と技術には素直に感服。これだけの恩恵を受けながら、文句を言うのは人の道に外れた行い。反省しよう。でも、使う方も大変だよ。

●基本的な使用方法

▲[メモ帳]の起動に成功、ダイアログの文字がおかしいところもある
 
コマンドラインから;
	pe <プログラム名>[Enter]
で実行する。問題は、動作確認用の適当なサンプルが同梱されていないこと。私は、Windows Meの[メモ帳](notepad.exe)を確認用に実行してみた(同じHDD内にWindows Meが入っていて、アクセスも可能になっている)。C:\WINDOWSで;
	pe notepad[Enter]
とすれば[メモ帳]が起動する。ダイアログに若干の文字化けはあるが、ほぼ正常に使用できる。ただし、ざっと試した限りでは、まともに動くWindows付属プログラムはこの[メモ帳]と[電卓]のみだった。一方、オンラインソフトのLhasaやHDBenchなどの小さなツール類は、少なくとも起動画面までは動作が確認できた(HDBenchは恐くて試せない)。

●OdinApp

▲OdinApp(Odin Test)
 
本来は、このOdinAppが最初に試すべき動作確認プログラムなのだそうだ。このプログラムは、シンプルなMDIプログラムのひな型(スケルトン)で、ほとんどのアプリケーションで使用される基本的なメニュー項目が一通り用意されてはいるが、機能は実装されておらず、基本的に何もできないプログラムである。と同時に、OdinのシステムにいくつかのMSのDLLをコピーして、動作環境を整えてくれるものらしい。インストール方法は、zipを解凍して;
	pe setup[Enter]
で良いはずなのだが、これが私の環境ではダメ。エラーダイアログが出てインストールできない。どうも、TMPディレクトリ(多くはx:\TCPIP\TMPだと思われる)にうまく解凍できていないようなのだ。環境変数を変更してディレクトリを変えても結果は同じ。DLL類が足りないのか、あるいは速度とかファイル命名規則の制限かはわからないが、ともかくダメ。これに限らず、インストーラ形式のプログラム(解凍即実行可能ではないプログラム)は一つも成功しなかった。

その後、OdinAppを起動させることに成功したのだが、どうやったのか良く憶えていない(^_^; 多分、古いバージョンのOdinをインストール→OdinAppをインストール→Odinをバージョンアップ、というような手順だったような気がする。

●PDF閲覧ソフトMuPDF

▲PDF版ねんきん定期便もちゃんと表示できる
 
インストーラ形式のプログラムが全滅なので、Acroba Readerなどは現状ではまったく望みがない。しかし、ZIPを解凍して直にEXEを実行するタイプのPDFビューアならば何とかなるかも…と言う事で、いろいろ探してみたところMuPDF(http://www.mupdf.com/)のver1.0(mupdf-1.0-windows.zip)というのが見つかった。これがなかなか上手く動いてくれる。現行バージョンの日本語PDFファイルも、ほぼ文字化けなしで表示可能のようだ。もちろん、表示が崩れることもあるし、開けないファイルもあるようだが、実用性は十分にある。勿論、日本語PDFを表示するだけなら、Gohstscript/GSViewと言う選択肢もあるが、MuPDFの方が簡便に感じられる(特にGSViewの“金よこせ”メッセージは欝陶しい)。
	pe mupdf[Enter]
ちなみに、Odin版のAcorbat Reader 5 (os2kitacrobatreader51pre.exe) も入手したが、こちらは試していない。と言うか、そもそもこれ、日本語通るのか?

●OdinでOpenOfficeを動かす

OpenOfficeをOdinにポーティングしたものが出回っているのだが、結論から言うと、試す価値はあまりなさそうだ。 そこで、本物のOpenOfficeの2.4をインストールしようとしたのだが…実は、いいところまでは行った。インストールファイルをDesktopに展開するところまでは成功しているもよう。Odinは古い2005年版。しかし、インストール作業に入ろうとするところでアウト。 Windowsのインストーラのバージョンが古いとのこと。こうなると、Windowsのインストーラのバージョンアップから始める必要があるのだが…そして、Windows Installer 3.0を入手したのだが、これのインストールができない。理由はちとわからんが、c:の空き容量不足ではないかという気もしてきた。いや、それよりC:がFATなのが問題なのかも…OS/2側からVFAT扱えないから、完全に8.3制限が出ちゃう。Windows Installer 2.0も入手したが、こちらは全然インストール不能。尚悪い。で、Odin 0.8.5(最新版)を上書きインストールしてみたのだが、状況はかわらず…どころか、スペース含むフォルダ名が通らなくなったorz まあ、テンポラリフォルダ名を変更して対処したが、インストーラが古くて前に進めないのは同じ。

いずれにしろ、実用には遠いようなので、これ以上の時間を裂くのは中止。そもそもOdinに手を出したのは、まともなワープロソフトが使いたかったからなのだが、これなら、Windows 3.1用のWordでも探す方が賢明かと。

  MS OfficeのWindows3.1版は4.2あたりがラストらしい(4.3もありとか…)。たまにオークションに出ているけど、びっくりするような値段が付いている。Lotus SuperOfficeという選択肢もあるが、どのバージョンまでがWin31対応なのか、いまひとつ不明。発売時期から考えると「R何とか」は使えそうだが、たとえばSuperOffice 96はどうなんだろう? なんか、31版と95版があったような記憶もあるのだが(少なくとも1-2-3 R5Jにはあるようだ)、記憶が定かではなく甚だ心許ない。ちなみに、手許にあるSuperOffice 98のCD-ROMには、「Windows 95/98/NT」と明記されている。

●DLLのパス

PATHやLIBPATHの管理はOS/2のシステムと共通のようだ。Odin独自の管理をしているのではない。たとえば、WinMeの\Windows\SystemをディレクトリごとOdinにコピーして、CONFIG.SYSのLIBPATHとPATHの末尾にx:\Odin\Systemを追加する。DLLだからLIBPATHでいいのかとも思ったが、どうやらPATHの方が本命みたいね。

●Windows Meのアクセサリ

ざっと一通りチェックしただけだが、以下のプログラムはそれなりに動いた。

C:\Windows
 NOTEPAD メモ帳、一応正常?
 CALC 電卓、たぶん正常、要OdinApp?
 WINHLP32 ヘルプビューア、たぶん正常
C:\Program Files\Access~1
 MSPAINT ペイント、物凄い負荷だが、画像の表示は可能
 WORDPAD ワードパッド、日本語入力は不可だが日本語表示は可

若干問題はあるが、SpiderソリティアやKodak Imagingも一応起動はする。ペイントとワードパッドが動くのはけっこう驚いた。特に、ワードパッドはWord文書のビューアとしてなら使えるかも知れない(ちょっと試した限りでは、文字化けで全然読めなかったけれど)。

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