MINOLTA SR-T101

MINOLTA SR-T101
1966年

尊敬に値するカメラ。基本的に露出計内蔵のフルマニュアル・メカニカル機。横走り布幕シャッターで速度は1/1000秒まで。歴史的には日本(世界?)初の分割測光機という意味を持つのだが、むしろ、造りの丁寧さや操作性の良さの方が目を引く。特に追針式の露出計の使い心地は非常によい。また、プレビュー機能も、いったんボタンを押すとシャッターを切るまで絞られていて便利。ファインダーも比較的明るく大きい。視野率94%もまずまず。700g超のフルメタル・ボディはやや重く感じるが風格があるし、安定性・操作性も非常によい。使っていて幸福になれるカメラだ。

●欠点

気になった点は、レンズ着脱ボタンが非常にわかりにくいこと(ネジにしか見えない)とシャッター音が大きすぎること。脱着ボタンはわかってしまえば何でもないが、パシャンという大きな金属音は少々問題かも知れない。横走り布幕シャッターとしては異常に大きいのではないか。ただ、メカフェチにはそれが逆に魅力的。また、フォーカシング・スクリーンはマイクロプリズムのみなので、初心者や目の悪いユーザーには少々難しい。あとは、巻上角がやや大き過ぎる気がするが、これは慣れでしょう。巻き上げ感もあまり良くはない。いずれにしても、標準的な使い方をしている限り致命的な欠点ではない。

●価格

B級品(アタリ2個所、メッキはげ1個所)のボディに50mm/F1.7(ホコリ多し)で1万3500円。購入店はアキバのマップカメラ。平均的には2万円前後のボディが多かったから、かなりの格安品ということだろう。ただし、ときどきミラーがチャージされないという不具合があるが、これはミラーアップをすると直る。また、たまに画面の左右で露出が異なることがある。流石は分割測光(^_^; さらに、巻き上げ時にはキイキイ鳴くこともある。OHも考えた方がよいだろう。ちなみに、発売当時の価格は3万円台前半。物価水準が違うから何とも言えないが、一眼レフとしてはかなり安い部類だったようだ。それでこれだけの質感のカメラを作り上げた点は大いに評価したい。

●撮影結果

ネガカラーでテスト撮影をしてみたところ、非常にキレとコクのある写りになった。B級品のレンズでこれとは、ロッコール恐るべし。使い心地の良さも強く印象に残った。カメラらしいカメラだ。ただし、売り物の二分割測光はそれほど有効とは思えなかった。モロ逆光には強いけれど、微妙な匙加減が必要なシーンでは最新の多分割評価測光には及ぶべくもない。これは仕方がないか。また、非常に簡単だと思われるようなシーンで、おかしな露出をすることも時々あった。測光云々ではなくシャッター系に問題がある機体かも。

●修理

シャッターの空切りをしていたら、ミラーがチャージされたままシャッターが落ちなくなった。東京カメラサービスに問い合わせたら、修理代2万。レンズ込み1万3000円で買った機体だし、1万5000円も出せば程度のよいものが買えるから、大いに迷ったのだが、修理しなければゴミになる。それも惜しいと思って、あえて修理した。結果的にはこれが正解だった。びっくりするほど程度が良くなって戻ってきた。流石はプロの仕事。素人が遊び半分に修理しても、とてもここまでにはならない。ファインダーは凄く奇麗になったし、シャッター音も心持ち小さくなった。大事に使おうと思う。

●総評

正直な所、私はミノルタというメーカーにあまり好意を懐いていなかった。それは、クソ面白くないAF時代を作った張本人であり、α-7000のようなボタンだらけのカメラや、α-7xiのような無駄な機能を満載したカメラを作ったメーカーという印象が強かったからだ。玄人ウケするX-700だって、外観は非常におもちゃっぽく、尊敬できる質感ではなかった。しかし、このSR-T101で印象が大きく変った。XDもきっと素敵な使い心地なんだろうなぁ。

……もっとも、私とミノルタの相性が凄く悪いのは事実で、その後も買うカメラ買うカメラ、ことごとく問題ありだった。少なくとも、個人的にはミノルタ製品の耐久性にはかなりの疑問を持っている。

(2001.03.03)