(2003.05.23)
2003年5月、中野Fカメラのジャンク館で2000円で入手。一見してわかる故障箇所は巻き上げレバー。目茶苦茶な組み立て方をされていて動かない。それ以外は比較的程度が良い。修理可能と見て購入。微妙な値段ではあるが、教材と言うことで。また、自宅で確認したところ、露出計は正常動作した。
なお、巻き上げレバーは露出計スイッチとシャッターロックを兼ねている。したがって、迂闊にオンになってしまわないように、レバーが予備角内にあるときは自動的に畳み込まれるようにバネが効いている。逆に言うと、畳み込んだ巻き上げレバーがフラフラしているようならば組み立てミスである。
で、トップカバーの開け方だが、実はけっこう面倒臭い。前面のネジ2つ、左手側面のネジ1つを外した後、巻き上げレバー、シャッターダイヤル、レリーズボタンの周囲カバー、ASA感度ダイヤル、感度ダイヤルストッパーボタンの周囲カバー、のすべてを分解しないといけない。XR-8と比べるとまだユニット化が不十分な感じ。しかし、分解自体は大して難しくなく、カニ目レンチとドライバだけでできる。
トップカバーを開けると、@電子回路のフレキ基板、Aプリズムカバー、Bプリズム本体の三層構造になっている。問題は、フレキ基板の配線があるために、そのままではプリズム本体が取り出せないこと。無理矢理引っ張り出すと、基板や配線を切断してしまう。そこで、フレキ基板の左右にある3つのネジ(右手側2つ、左手側1つ)を外し、フレキ基板とプリズムカバーの間にマイナスドライバ突っ込んで無理矢理ひっぺがす。接着剤でくっつけてあるらしい。
すると、プリズムカバーがむき出しになるので、プリズムカバーの左右に付いているネジを外せばプリズムが取り出せる。本当にこんなことしていいのかどうかわからんが他に方法が見つからなかった。
で、プリズム自体とスクリーンの内側を掃除。そこそこ奇麗になったのだが…実は、しばらくしてからファインダーを覗くと、また汚れが若干見えてくる。掃除が不十分だったのか、あるいは新たな汚れがどこかから出てきたのか…現時点では判断保留。まあ、プリズム掃除は100点とは言わないが70点くらいは上げてもいいでしょう。少なくとも、トップカバーを開けることに成功したのはとても大きな収穫。
ASA感度ダイヤルは二層の半円板から構成されていて、上の方が実際に感度を決める摺動抵抗、下の方がダイヤルの動作を規定するギアになっている。で、上の半円板と下の半円板にはそれぞれ穴が空いていて、その穴にダイヤルのピンが貫通することで位置関係が決まる。つまり、下の円板の穴と上の円板の穴を合わせ、そこにダイヤルに付いているピンが通るように組み立てるわけだ。最初の組み立てでは、そもそもそこができてなかった。
さらに、下の円板には複数の穴が空いていて、どの穴を選ぶかによって全体の感度が調節される。経験的に、一番端の穴に合わせると丁度良いようだ。そして、ASA400が6時の位置より1クリックほど進んだ位置になるように合わせると、だいたい正確になるようだ。
ただし、本来は「ASA」と「DIN」の文字が水平になるように設定するもののようだ。ところが、この設定だとどうしても1段ほど狂ってしまう。どうしてなんだろう?
ダイヤルの感度メモリは自由に回転させられるので、感度のステップさえ正確ならば、実はどの穴を選んでも、正しい表示に設定することは不可能ではない。しかし、一番端以外の穴を選ぶとダイヤルの動く範囲がおかしくなる。最高感度の3200以上よりも高い感度が設定できてしまったり、最低感度がASA 100よりも高かったりするわけだ。
以上で今回の修理は一応終了。絞り、速度はもともと正常。現状でも実用レベルには達してはいると思う。後はもう一度徹底的にプリズム掃除をすることと、シャッター羽根の指紋取りかな?
で、どうする?基本的に二台とも生かしたい。とりあえず、二番機の破損部品を一番機から流用して、プリズムも磨いて、程度の良いものを一台作る。次に破損部品を修復して(自由樹脂で補填するか?)二番機に装着、程度の良くない実動機をもう一台作る。ま、この方針かな?