(2015.04.27)
AZ-1もAZ-2も3倍クラスのズーム機だが、AZ-1は「AZ-1」、AZ-2は「AZ-2 ZOOM」が正式名称のようだ。ただし、本稿では「AZ-2」という略称を使用する。 |
ちなみに、このAZシリーズは、MinoltaのDiMAGE Xシリーズ(2002年〜)の後追い製品で、 オリンパスとしては初の屈曲光学系モデル。 また、このシリーズの失敗に懲りてか、 その後しばらくオリンパスは屈曲光学系機を出さなかったので、 後にも先にも類似機種がない(コンセプトの異なるi:robeは別)。 オリンパスのコンデジの系譜の中で、この2機種だけがぽつんと孤立している感が強い。 それにしても、メーカーが後継機の国内発売を忌避してしまうほどのAZ-1とは、 いったいどんな物なのだろうか?まずは、そちらに興味を惹かれる。
AZ-1のCCDサイズは公表されていないが、Coolpix 3200と画素数・焦点距離が同じことから1/2.7"と判断した。 |
さらに、AZ-1は他社製品の悪いところを真似して、ことごとく玉砕しているように感じられる。たとえば完全メニュー式のUI、あるいはクレイドル式の充電器、撮影/再生切替用スライドスイッチなどは、他社が失敗を認めて、方向転換をした技術である。なぜ、そんなものをこの時点で敢えて採用したのか理解に苦しむ。オリンパスは今までこうした技術を採用していなかったのにも拘らず(C-21のような例外はあるが)。さらに、望遠端Sマクロという、オリンパス特有の欠陥仕様はしっかり踏襲している。なんか、各社の欠点の集大成みたいなスペックだ。ワザとやってるとしか思えない(u_u;)
AZ-1は望遠端Sマクロではないという情報もあるが、手許に実機がないので確認できない。しかし、最短距離が8cmであるならば、通常は望遠端であると思われる。以下、この仮定の元に論を進める。 |
しかし、なぜオリンパスは毎度毎度一発目にスカを投入するのだろう? 技術の進歩とか、ユーザーの声のフィードバックとかの次元のハナシではない。 何度も同じ轍を踏んでいる。意図は不明だが、意図的にやっているとしか思えない。 あえて推測すれば、おそらく海外マーケット優先で製品開発をしているためだと思う。 海外マーケットでは安価で雑で子供でも扱える機種が ボリュームゾーンを占めるため、そこをターゲットに製品を企画し、それを そのまま国内で売ろうとして失敗しているような気がしてならない。 ま、FEシリーズのように途中から「粗悪品でどこが悪い!」と開き直った例もあるが。 |
しかし、AZ-1からAZ-2への最大の変更点は、液晶が高品質の《モバイルASV液晶》から、通常の「半透過型TFT液晶」にダウングレードされたことだろう。「フラットボディ+大型液晶」という基本コンセプトこそ踏襲されてはいるが、この変更は製品アイデンティティの根幹を失いかねないレベルの変更である。というか、仕様を大幅に変更し、ウリにしていたデバイスも止めたのなら、果たしてAZ-2をAZ-1の後継機として位置付ける意味があるのだろうか?光学系以外は、根本的に別物じゃね?という気さえしてくる。
さらに言えば、AZ-2はUI周りの仕様変更に伴いボディサイズが大きくなっている。おまけに、液晶が右手側に寄ったために、グリップホールドができなくなった(液晶の変更に伴い裏面パーツと光学系が干渉するようになったのか?)。確かにいくつもの点で改良はされているが、これって、果たして本当に改良版なのだろうか? 失敗作の在庫パーツを掃くために、(ひょっとすると別の開発チームが)類似モデルを作ったってことじゃないのだろうか? そうだとしたら、恐らく高価ゆえに必要分しか購入しなかったであろうASV液晶を採用するワケがない。辻褄は合う。が、下卑た邪推はこのくらいにしておく。
その意味では、ミノルタのDiMAGE X20は素晴らしい機種だったんだが、惜しいかな彩度とコントラストが高すぎて、ブツ取りには全然向いていない。調整もできない。Xgもしかり。操作性もイマイチで、特にXgは使いにくい。SANYOのJ1も性能的に不十分な上に、軽快感にも乏しく、おまけに子供騙しのギミックにムカついた。じゃあ、屈曲光学系機をオリンパスが作るとどうよ?…というのが、このAZ-2を入手した直接の動機であった。
また、私が屈曲光学系機に望む最大のポイントである《ガジェット感覚》も、残念ながら乏しいと言わざるを得ない。メタル外装と相まって、意外に重量感を感じてしまう。撮影時重量は恐らくDiMAGE X20と大差ないと思われるのだが、ずっと重く感じる。グリップホールドできないのも軽快なイメージを奪っている。ひょいと構えて、パシャと撮るのではなく、液晶に指紋を付けないように気を付けて、シャッターボタンの位置を探りながら上下挟みで構えないといけない。
と、まあ、かなり苦しい。屈曲光学系機自体の限界も感じるのだが、それ以上に作り慣れていないというか、変なギコチなさを感じてしまう。こうなると、DiMAGE X20の画像にPCで補正を掛けて使用するのが最善かも知れない。
むしろ、LI-20Bってバッテリはどうよ、という気がする。オリンパスではこのAZシリーズでしか採用していない。フジやペンッタクスでは同一規格品(NP-60)が複数機種で採用されていたようなので、供給不安はそれほどないが、それにつけても電池の互換性をなくしてユーザーを支配するやり方は実に厭らしい。