軽油の凍結  by Yoshi-daさん

 

 Snowman-Yukioさん、お世話になっております、Yoshi-da@長崎です。

 Yukioさんのページは隅々まで読んでいたつもりでしたが、ふと気付くと"零下20℃の世界"は初対面でした。ここの後半にある黒崎さんが体験した"軽油の凍結"ですが、南国長崎人の私は過去2回凍結させた経験があります。その時の体験から、参考になりそうなことをお送りいたします。

 1回目の凍結は今から8年ほど前、信州の乗鞍高原温泉スキー場へ出掛けたときでした。長崎から信州というと、普通は飛行機かJRを利用するのでしょうが、当時はまだ若くて体力もあり、パジェロに乗っていたこともあって、長崎から友人と二人、高速を走っていきました。

 水曜日の朝7時過ぎに長崎を発ち、1時間毎に10分の休憩、2時間走って運転交代、これを延々繰り返し夜10時過ぎに駒ヶ根あたりで仮眠、翌木曜日朝6時過ぎに起きてまた走り始め、9時過ぎにスキー場に到着しました。

 もちろん信州に行くのは初めてだったため、どのあたりにガソリンスタンドがあるのか不案内で、高速を降りる直前に軽油を満タンにしました。

 それから駐車場に車を停めたまま土曜日の午前中までスキーを楽しみ、いざ長崎へ向けて帰ろうとしたとき、悲惨なことになっていることに気付きました。そうです。エンジンがかからないのです。丸2日駐車場に停めている間に雪が20cmほど積もっており、金曜日の早朝はマイナス20℃近くまで冷え込んでいたのです。

 しかし、思い出してみると、ここへ来るときにはちゃんと軽油を満タンにして来たはず、しかも現地のガソリンスタンドで。なのに軽油はみごとに凍り付いてしまい、エンジンがかからなかったのです。

 初めはバッテリーが弱ったのかとも考えましたが、セルは元気よくまわってくれていたので、すぐに凍結だと判断できました。宿に戻って事情を説明し、ぬるま湯をわけてもらってポンプ周辺にかけたところ、どうにかエンジンがかかってくれました。幸い部品の破損もなく、楽しかったスキーの思い出を土産に下山することとなりました。

 と、ここまでで「たいしたことがなくてよかったよかった」となるはずだったのですが、零下20℃はあなどれない。1時間ほどで高速に乗り、さぁ長崎を目指してというときになって、時速60km以上で走れないことがわかったのです。いくらアクセルを踏んでも60kmを超えるとガス欠のような症状で力がなくなってしまうのです。軽油凍結以外に何かの損傷があったのかもしれないと、次のインターで降りて修理ができそうなところを探したのですが、あいにく土曜日の午後になっており、どこも閉鎖状態でした。

 ガソリンスタンドで給油をしたついでに症状を説明しても、わからないとのつれない返事が返ってくるだけでした。
あげくには「高速道路の最低速度は50kmだから、それより速く走れれば、どうにか長崎まで帰れるだろう」ということになり、また高速を走ることにしました。再び高速を走り出すとすぐに長い上り坂にさしかかりました。

 相変わらず加速ができず、アクセルベタ踏みで50kmくらいという悲惨な状態で路肩寄りを走っていたところ、何の前ぶれもなくいきなりロケットのように加速を始めたのです。

 勘のよい方はすでにお気づきとは思いますが、ポンプのところに軽油の凍った塊が詰まっていただけのようでした。加速しようとアクセルを踏むと、この塊が栓をする形になって、軽油が流れなくなっていたようです。それからは何のトラブルもなく、翌日曜日の夕方には長崎に到着することができました。

 この軽油凍結事件でわかったことが一つ。

 私は高速を降りる直前に軽油を満タンにしました。これが間違いだったのです。寒冷地に到着したら "現地のガソリンスタンド" で 軽油を満タンにする というお約束を守ったつもりで、実は守っていなかったのです。

 高速道路上のガソリンスタンドで売っている軽油は、長崎であろうと長野であろうと2号(夏用)軽油だということです。そのことを知ったのは帰りのトラブルの最中でした。実際SAのスタンドで確認したら、3号(寒冷地用)軽油は売っていないということでした。(あくまで8年前のことですから、今は売っているかもしれません(未確認)。)

 

 


 2回目の凍結は1回目の翌年に広島県芸北町で経験しました。

 広島県ということもあり油断して3号軽油で満タンにしていなかったため、朝の最低気温マイナス15℃であっけなく凍ってしまいました。またぬるま湯をかけてエンジンを始動し、どうにかスキー場まで行きました。日中気温が上がったおかげで、その後にトラブルはなく無事帰還いたしました。

 この2回の経験からの教訓は「横着せずに現地に着いてから給油する。給油するときは3号(寒冷地用)軽油であることを必ず確認する。」です。

 現在はガソリン車に乗り換えているので、このようなことはないのですが、周りのディーゼル車ユーザには体験談として教えています。

 以上、何かのお役に立てばと思い、メールいたしました。
 ではまた。

 

 

Yoshi-daさん、軽油が凍り付いた体験談、大変ありがとうございました。けれど、長崎の方から、まさか2回軽油が凍り付いた体験談が寄せられるとは、夢にも思わなかったです。また、長崎から信州の乗鞍高原スキー場まで、片道で1000km以上あります。その体験もすごすぎますね^^;

けれど、高速道路上の軽油が寒冷地用の軽油ではないという恐れは、今まで考えたことなかったですね。けれども、以前そういった話を別の人からも聞いたことがあるので、アップさせていただきました。現在は変わっているのかどうかわかりませんが、もし強烈に冷え込むスキー場に行かれる方は、給油時には寒冷地用の軽油かどうかは要確認ですね。

また、凍った場合は、燃料ポンプ周辺にぬるま湯をかけて凍結を解除する方法も覚えておいた方がよいと思います。熱湯は、かえってポンプ周辺の樹脂などが破裂してしまう危険がありますので、絶対に避けてください。

高速走行でも異常が起きていたというのは、凍結がとれたあとで走り出すことはできても、走行中の冷風を受け続けて、中の氷はなかなか溶けなかったのかもしれないですね。

ぜひとも、軽油の給油をされるときは、寒冷地の軽油かどうかの確認は忘れずにいたいものですね。

Yoshi-daさん、長崎から零下20℃の世界の出来事体験談をたいへんありがとうございました(笑)

 

2002/3/26