パトロール by nori さんとじーさん
野麦峠スキー場で「一度だけ」出会った方から、「3年ぶり」にメールを頂きました。
いつも不思議な出会いのある野麦峠なのですが、その方は、スキーの怪我でリハビリと治療を受けていた病院で、なんとまた、「野麦」でインストラクターをされている方と偶然出会って、僕のことを思いだしてメールを送って頂いたそうです。ほんとうに野麦峠は、不思議な出会いのあるところです。その方はnoriさんというのですが、その後一級を取り、冬山にこもってスキーのイントラをされていて、今シーズンもとあるスキー場でイントラをされていました。
その方の彼が事故を目撃し、そして一般客としてその事故への対応をした経験から、noriさんと知り合いの方より、事故の現場でどのように対応すればよいかという、大変参考になる内容をお聞きすることができました。そのメールの内容の掲載のお願いを快諾して頂きましたので、ここで ご紹介させていただきます。
これまでは、雪の危険な体験談として、事故を未然に防ぐことを主眼にしていましたが、今回は、事故の被害を最小限にすることをテーマにして取り上げてみたいと思っています。
先日、引っ越してから初めてスキーに行ってきました。その初日に、事故に遭遇しました。今回はそのお話を・・・とおもいましてメールします。
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岐阜の○○○○○○○○へ、彼と彼の妹(学生アルペンレーサー)と私の三人で、シーズン初め!とスキーへ行ってきました。30分強のゴンドラ待ちの後、滑り始めた1〜2本目。
人が多いというのもあり、彼、私、彼の妹の順でゆっくりペースで滑っていたところ、先に待っていた彼がゲレンデの斜め上の中央辺りを見ていたので、つられて私たちも見ていました。
現場を見ていた彼が言うには、『子供の上をボーダーが滑った』とのこと。
子供の近くには大人の保護者らしき人もいる様子。『保護者がいるから大丈夫じゃない?』といいつつ、視線がはずせず見ていると、ゲレンデのど真ん中で座り込んだまま動こうとしません。『ちょっと見てくる!』と私が近寄っていったところ、保護者らしき女性が、子供の上腕部を押さえていて、その子供を轢いた人が、呆然とその二人を見ています。
状況をみて、『とりあえず、中央は上からまた人が降ってくるから脇へ移動しましょう。怪我はどんな具合ですか?』とゲレンデ脇へ誘導し、座っているところの上に、板を×にして立ててました。そして、念のため、その板の下に彼が立っていました。
立っている順番としては、板(×の字) → 彼(一番体が頑丈) → 距離をとって → 保護者らしき人 → 子供 → 私
子供の傷を見ると、10〜15cm程ぱっくり開いています。
『傷口云々というよりも、感染症のが恐い』のと『早く子供をおろさなければ!』と思い、その日に限ってバンダナと滅菌ガーゼを気になりつつ置いてきたことを後悔しながら、ティッシュで傷口付近を押さえ、ボーダーがしていたマフラーを止血帯代わりにいい加減な手当てをしました。
その間に彼の妹はパトを呼びに行ってもらいつつ・・・。
バンダナ
バンダナはスキー教師の必需品。バンダナは春先にはネックウォーマーのように使い、日焼け防止。 (首の日焼けは取れにくいですし、女性の身だしなみ) 大判のものなら、三角巾にも使えます。その他にも用途はありますよ。止血帯代わりにも。目立つ色のほうがいいかもしれません。(noriさんのメールから抜粋)
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パトの到着を随分と待ちました。
その間に、子供の名前、保護者だと思っていた方が、その子の友人のお母さんだったと言うこと。その子はスイミングクラブへ通っているということ。その子もボードをしていたのですが、ボードをして2,3回だということ。等々雑談を中心に。
その間、私が知る限り、子供を轢いた人は一言も言わず。
呆然としているとは思うのですが、なんなのだと思いつつ一切、彼には話は振らず、なるべく子供の怪我以外の事を聞き出すようにしていたところ、15分〜20分ほど経過した後やっとパトが来ましたので、事故の状況、傷の手当ての経過を告げます。
子供の腕の感覚を確かめながらパトが応急処置をしていると、やはり子供が泣き出します。
そりゃそうですよね、ウェアを切っての処置ですから。処置の間、パトに『大丈夫ですよね〜?ね?』と、『大丈夫でしょう』の言葉を強制したり、子供の手を握って『痛かったら強く握っていいからね?』といったり、『水泳できるのいいなぁ〜。お姉ちゃんは泳げないらしいのよ〜。頑張って泳いでいると「・・・溺れてる?」って聞かれるんだ、失礼よね?』など、話している間も、轢いた人は一切、板を履いたまま・・・。
『まぁ、後はパト室で話すだろう』と思い、彼と二人で子供の板を近くのリフト小屋まで下ろしました。
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リフト小屋の手前で、彼の妹と合流し、リフト小屋の対応の悪さ、(場所を、リフトの線と支柱を使って説明したにも関わらず、どこですか?と聞く、ここだ!と地図を指しているにも関わらず、別のバーンを示すなど)連絡が行ってからは、パトが来る時間は早かった・・・など。
彼女には、子供の怪我の具合を説明し、神経までは届いてないと思う事。子供だから、治りは早いであろう事を話し、その後は三人で久しぶりのスキーを楽しみました。
なんにせよ、やはり、バンダナと滅菌ガーゼは必需品??と思った一日でした。
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以下は、noriさんのスキー仲間である「準指」と「看護士」の資格を持つ方による、
今回の行動の具体的な検証です。事故現場に遭遇したとき、以下の看護士さんとのやりとりは、大変参考になるものだと思います。ぜひ一読しておいてください
子供の近くには大人の保護者らしき人もいる様子。『保護者がいるから大丈夫じゃない?』といいつつ、視線がはずせず 見ていると、ゲレンデのど真ん中で座り込んだまま動こうとしません。
『ちょっと見てくる!』と私が近寄っていったところ 保護者らしき女性が、子供の上腕部を押さえていて
その子供を轢いた人が、呆然とその二人を見ています。
状況をみて『とりあえず、中央は上からまた人が降ってくるから 脇へ移動しましょう。怪我はどんな具合ですか?』とゲレンデ脇へ誘導し、 子供の傷を見ると、10〜15cm程ぱっくり開いています。『傷口云々というよりも、感染症のが恐い』のと『早く子供をおろさなければ!』 と思い、その日に限ってバンダナと滅菌ガーゼを気になりつつ 置いてきたことを後悔しながら、ティッシュで傷口付近を押さえ、 ボーダーがしていたマフラーを止血帯代わりにいい加減な手当てをしました。
マフラーは適切かもね。 あまり細い紐で緊迫すると、痛いので良くない!
緊縛時間は、1時間を目安で。
また、緊縛した時間は記憶・記録しておくように!
なぜなら寒冷地では、血液循環が悪いのに緊縛すると凍傷、悪くすると壊死を起こす恐れがあるから。
保温も必要!!
またパトが来るまで、二次災害(事故)を防止するのと、パトに場所が分かるよう、スキーの板をクロスにして立てておく等の処置も必要。
それだけでも、巡回中のパトが気づいてくれると思う。
呆然としているとは思うのですが、なんなのだと思いつつ 一切、彼には話は振らず、なるべく子供の怪我以外の事を 聞き出すようにしていたところ、15分〜20分ほど経過した後 やっとパトが来ましたので、事故の状況、傷の手当ての経過を告げます。
子供の腕の感覚を確かめながらパトが応急処置をしていると、 やはり子供が泣き出します。
そりゃそうですよね、ウェアを切っての処置ですから。処置の間、パトに『大丈夫ですよね〜?ね?』と、『大丈夫でしょう』の 言葉を強制したり、子供の手を握って 『痛かったら強く握っていいからね?』といったり、 『水泳できるのいいなぁ〜。お姉ちゃんは泳げないらしいのよ〜。 頑張って泳いでいると「・・・溺れてる?」って聞かれるんだ、失礼よね?』 など、話している間も、轢いた人は一切、板を履いたまま・・・。
まず、子供に声を掛けるなら、「大丈夫だよぉ〜」等々の事を言う。 また出来れば、出血してる部位を見せない。
つまらない雑談はしないで、事故の状況を被害者の証言を聞く。
なぜなら、大人は嘘つきだから・・・
事故の加害者は、多分動揺してるから、誰でもそんな感じだよ。交通事故でもね。
『まぁ、後はパト室で話すだろう』と思い、彼と二人で子供の板を 近くのリフト小屋まで下ろしました。
リフト小屋の手前で、彼の妹と合流し、リフト小屋の対応の悪さ、 (場所を、リフトの線と支柱を使って説明したにも関わらず、どこですか? と聞く、ここだ!と地図を指しているにも関わらず、別のバーンを示すなど) 連絡が行ってからは、パトが来る時間は早かった・・・など。
事故発生の時間、通報した時間は、正確に記憶、記録することが望ましい。 だから、目撃者は一番落ち着かないといけない。
たとえ心臓停止等があっても・・・
パトロールには事故の責任は無いし、医療従事者とは限らないから。
日赤で講習を受けた程度の知識。
彼女には、子供の怪我の具合を説明し、神経までは届いてないと思う事。子供だから、治りは早いであろう事を話し、その後は三人で久しぶりのスキーを楽しみました。
なんにせよ、やはり、バンダナと滅菌ガーゼは必需品??と思った一日でした。
まず慌てない事が必要。 自分がいろんな物を持って滑る方が危険かも?
というか、自信ある知識・道具に勝る道具は無いよ!
また、持って行くならバンダナ程度でいいのでは?
これはオレの意見で、すべてじゃないと思うから注意してね!
まずは自分が怪我をしないという事も重要だね。
安全で楽しいスキーライフを送りましょう!
今回は、事故の時の対応に参考になるお話です。スクールのイントラの経験があり、パトロールの行動を見ていた方と、準指と看護士の資格を持つじ〜さんによる今回のレポートの行動の検証です。
これまでは、事故を事前に防ぐことを主眼において、このHPで取り上げてきましたが、今回は、事故のあと、被害を最小限にするために、参考になるお話だと思います。
じ〜さんの言葉は大変参考になると思います。スキー場だけでなく、ふだんのいざというときのための知識としても大切なお話だと思います。もう一度、文章を抜粋しておきます。
マフラーは適切かもね。
あまり細い紐で緊迫すると、痛いので良くない!
緊縛時間は、1時間を目安で。
また、緊縛した時間は記憶・記録しておくように!
なぜなら寒冷地では、血液循環が悪いのに緊縛すると凍傷、
悪くすると壊死を起こす恐れがあるから。
保温も必要!!
またパトが来るまで、二次災害(事故)を防止するのと、 パトに場所が分かるよう、
スキーの板をクロスにして立てておく等の処置も必要。それだけでも、巡回中のパトが気づいてくれると思う。
まず、子供に声を掛けるなら、「大丈夫だよぉ〜」等々の事を言う。
また出来れば、出血してる部位を見せない。
事故の状況を被害者の証言を聞く。
なぜなら、大人は嘘つきだから・・・
交通事故でもね。
事故発生の時間、通報した時間は、正確に記憶、記録することが望ましい。
だから、目撃者は一番落ち着かないといけない。
たとえ心臓停止等があっても・・・
パトロールには事故の責任は無いし、医療従事者とは限らないから。
日赤で講習を受けた程度の知識。
慌てない事が必要。
まずは自分が怪我をしないという事も重要だね。
自信ある知識・道具に勝る道具は無いよ!!
最後の、「自信ある知識・道具に勝る道具は無いよ!」という言葉は、ほんとうにその通りだと思います。そしてこの言葉は、ゲレンデだけでなく、雪道でもあてはまることだと思います。雪道でもゲレンデでも、前もって危険を知り、いざというときにはその対応の仕方を知っておくということは、事故を防ぎ、そして被害を最小限にするために大切なことですね。そしてそれは、雪の世界でよい想い出をつくるための基本的なことなのかもしれないですね。
雪の世界で楽しむ人たちが、事故なく、楽しい想い出をたくさんつくってもらえることを願っています。
ご協力いただきましたnoriさん、じーさん、貴重なお話をほんとうにありがとうございました。
2003/5/5アップ