凍結路とノーマルタイヤ by 難波の赤い稲妻さん

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2001年12月末。深夜に友人4人と大阪を出発し、明け方7時頃、和歌山県の山間部を走っていた。
車はR32スカイライン4ドア(FR)で、5速マニュアルシフト、ノーマルタイヤで峠越えをしていた。

山奥に行っても、うっすらと雪がアスファルトに落ちている程度で、雪は全くと言っていいくらい無かった。
もちろん凍結もなかった
そのため、持って来ているラバーチェーン(非金属チェーン)は用無しと思い、そのままノーマルタイヤで峠越えをしていた。念のため、雪や凍結がどこにあるかわかならかったので、慎重に走ることにした。

  

 
急勾配も多く標高も高くなってきた頃、勾配の非常にきつい登りのカーブで突然車がすべりはじめた。
やばいと思った頃には、車はすでに進まなくった。

やむ終えず、道路のど真ん中、サイドブレーキをかけ、ニュートラルにして車を止めた。
その後、ブレーキペダルから足を離しても車は停止していたので、とりあえず安全だと判断し、友人達と坂道でチェーンを巻く事にした。

携帯していたチェーンを巻きに、友人2人と私と3人で外に出て数秒後、突然車が滑り出した。

しまった! 三人分の重さが軽くなったせいで、タイヤの接地面積が減ると同時に、摩擦も減り、車が滑りはじめてしまった! このときブレーキはサイドブレーキのみ!

慌てて友人に車に乗ってもらい、私もすぐにブレーキを踏みに運転席へ戻るが、椅子に座る間がなく手でブレーキペダルを思い切り押した!
なんとか車が止まった。少し安心した。
みんな顔面蒼白だった。


  

その後、免許を持っている友人が後部座席にいたので、その友人に運転席でブレーキを踏んでもらうことにした。
車から降りて移動されると車が動き出す危険があったので、無理に狭い室内を移動してもらうことになった。

私が車から降りた状態でも車は、止まっていたので、とりあえずは一安心。
その後、気をとりなおして、みんなに今の現状を説明する。
けれども、理由がよく分からない人が多かった。
重し役としてタイヤの接地面を減らさない為にも、車から絶対に降りないでと伝えた。

 
その後、車から降り、チェーンを巻く前に安全を確保する為に、後輪部分だけでもアスファルトの氷を溶かそうと思いついた。
それで、いつもトランクに積んである水(2L)を使って、後輪部分の氷を溶かそうとした。
水はトランクの中に入れていたので、ある程度の温度を持っていたし、本当に薄い氷だったため、氷は簡単に解けると考えたのである。
そして、右側後輪あたりに水を大量にかけ、氷を溶かした。

その後、数秒もしないうちに車が滑り出したではないか。
なんと、氷がもっと出来てしまい、余計すべる原因を作ってしまったようだ。
車の中では大パニックに!それも当然!2〜3m後ろはすぐ崖だった。

すぐに私は水をかけるのをやめて、車を後ろから押した。もう必死。
しかし、足元が斜面でかつ凍結しているので、まともに踏ん張る事も出来ず、車は下がる一方。それでも諦めないで押し続けた。でも車はどんどん下がる

すぐに車輪を止めなければと思い、もうなんでもいいからトランクの中に入れていた小物等をつかみ出し、慌ててタイヤと路面の間に色々な物をはさませると、車はなんとか無事に止まり、事なきを得る事が出来た。
本当に死ぬかと思った。

トランクを閉めてから、水をまいたりしていたらと思うとほんとに怖かった。
車を止める物がすぐに取り出せなかっただろうから。

  


今回はタイヤの間に物をはさむ事が出来たから助かったが、
もし車輪を止める事ができなかったら、私は車内の重し役の3人の友人もろとも崖に落ちていたのだろうか。

今思えばぞっとする出来事だった。

色々な条件が重なり今はこうして無事に生きている今があります。
ほんとに早めのチェーンの必要を感じました。
また、焦っても冷静に物事を考え、皆で協力する事が大事であることを
この恐怖体験で思い知りました。

 

 

難波の赤い稲妻さん、体験談ありがとうございました。
凍結路をノーマルタイヤで行くことは、事故と紙一重。今回もまさしくそんなお話です。

今回、4人乗っていて、凍結路の坂道で止まり、3人車から降りたら、車は滑りはじめたという文章があります。

このことは、車が軽くなると、グリップ力を失ってしまい、滑りやすくなること、そして凍結路では、ノーマルタイヤのグリップが、いかに簡単に失うことになるか、ということがわかると思います。

ノーマルタイヤでの凍結路は、まさしく事故と紙一重です。

スリップしてしまえば、悲惨な事故につながる可能性があります。
どうか、ノーマルタイヤでの冬の凍結路には、充分気をつけて欲しいと思います。

 

また、今回、水をかけて凍結路の氷を溶かそうとしている場面があります。

「この行動は無謀だ」というのはたやすいですが、それよりもこの文章から、凍結路の怖さを知って欲しいと思っています。

僕の経験ですが、スキースノボに行く途中、早朝、ノーマルタイヤのままで太陽の下、ずっと乾燥路を走っていました。そして、すこし濡れたところがあり、その部分を走りすぎようとした瞬間、車が急に何の制御も効かなくなったという経験をしています。

ほんのわずかに濡れているくらいなのに、滑って、車が斜めになって走りはじめたのです。

太陽がある乾燥路でも、ずっと路面だけは完全に氷点下以下だったのでしょう。そこに雪解け水が少し流れていた部分だけ、水を張ったアイススケート場のようになっていたのです。

そして全く制動が効かない状態に陥り、恐怖のどん底のまま車はすべってゆきました。事故にはならなかったのですが、この時の恐怖感はいまだにこころに残っています。

 

冬季、スキー場への道中、天気の良い日の乾燥路でも、路面はずっと氷点下以下のことがあります。

できるかぎりスタッドレスを使用して、安全を最優先していただければと思っています。

そして、たとえスタッドレスであっても、冬の道路は過信や油断は禁物です。

冬の道路では、いつも油断なく慎重に運転をしてください。

白い世界での楽しい想い出をたくさんつくるためにも、ご安全にいられることを願っています。

 


2004/12/24up