カービングスキー by みわさん

 

 今年は、本格的にカービングスキーが普及し始めて三シーズン目になります。今年からカービングスキーに切り替える方もきっと多いと思います。そこで、今年からカービングスキーをはく方に是非知っておいていただきたいことがあります。

 カービングスキーは、あなたの技術を飛躍的に向上させると思います。(少なくとも、そのような錯覚は与えてくれます。~o~) しかし、カービングスキーのもたらしてくれる物があまりに大きいために、カービングスキーを万能のスキーと思い込んでしまったら、それはとても危険なことだと思うのです。

 

第一に疲労の問題があります。
カービングスキーはズレが少なく、今までにないスピード感をあなたにもたらしてくれます。しかし、スピードが上がっても、あなたの体は以前のままなのです。ズレが少ないために、今までよりはるかに大きい雪面抵抗に、あなたの筋力及び骨格は耐えねばなりません。当然、今まで以上に疲れることになりますし、ケガもしやすくなります。

 第二にスピードとGに酔いやすいという問題があります。
カービングスキーは快感度が高いです。乗り方を少し覚えれば、今まで出来なかったようなハイスピードターンが可能ですし、遠心力もすごいです。しかし、それゆえに、スピードとGに酔ってしまい、コントロールの限界を越えてしまうことが、しばしばあります。しかも、快感のあまり、減速したくなくなってしまいます。前方に多少、人がいても、そしてそれが初心者でも、ハイスピードのまま、脇を擦り抜けたくなってしまうのです。これは、カービングスキー歴三年目のワタシの実体験です。~o~' もちろん、ワタシは、もともと暴走スキーヤーの気があるので、万人にあてはまることではないと思いますが・・・・。

第三に雪だまりに弱いという問題があります。
実は、これが一番危険かもしれません。夜の間に雪が積もり、朝になっても降り止まなくて、視界が良くない。このような日は、気をつけて下さい。コース整備されたゲレンデの脇に雪だまりが残っていたりします。今までの板であれば、多少の雪だまりは危険ではなかったと思います。しかし、カービングスキーはスピードが出やすいのに加えて、トップが広く、雪だまりの抵抗をモロに受けとめます。すると、スキーヤーの予想をはるかに越えた大きな制動が急激にかかります。(特にトップの形状の丸いものは、それが大きくなるのでは、と思います)しかも、スキーのサイズがカービングになると短くなっているはずです。前後の踏ん張りが効かないわけです。スキーヤーはいきなり前方に放り出されます。ワタシは、昨シーズン、これでニ三度吹っ飛ばされました。某東北のスキー場でレーシングキャンプに参加していて、ポールトレーニングのゴールゾーン脇で、吹っ飛んだ時には、本当に恐かった。今シーズンはこれで終わった、と思いました。幸いケガはしませんでしたが、ギリギリだったと思います。

 カービングスキーはとても魅力的な道具です。ワタシも今では、カービングスキー無しではいられません。しかし、どんなに魅力的な板でもその性質を十分認識せずに扱ったら、危険な凶器になりかねないと思うのです。

 特に、今年からカービングスキーに切り替える方、どうぞ、雪だまりにお気をつけになって下さいね。

 それでは。良いシーズンをお過ごし下さい。

 

僕は今シーズン('99-00)からカービングの板を履き始めましたが、まったく、みわさんの書いてあるとおりだと思います。
手軽にまがるという技術を手に入れることのできる道具だけれど、その反面の危険性を十分認識する必要があると思います
カービングのいいところばかりでなく、その反面の危険性をも、できれば雑誌などでも取り上げて欲しいものです
このエッセイに関しては、僕がみわさんにお願いして、この原稿を書いていただきました。
みわさん、大変ありがとうございました。(Snowman-Yukio)

1999/12/7アップ