雪道の運転のコツ by まるさん

 

 はじめまして。まる@青森スキーヤーです。

 今日は、行きと帰りに一台づつ「それでも雪国の人間か!!」っていう車に遭遇したので、ふと今までの経験から、雪道の運転のコツというものを自分なりにまとめてみよう、と思ってしまったわけなんですが。

 ごく初歩的で、誰でも知っているようなことも含まれていますが、何かの参考になれば幸いです。

○何はともあれ、スタッドレス

路面に雪(それがたとえみぞれ状であっても)が残っている状態であれば、迷わずスタッドレスタイヤに履き替えましょう。意外かもしれませんが、ノーマルタイヤ+チェーン1セットよりはスタッドレスタイヤ4本の方が走破性は上です。

○ブレーキするならハンドルきるな

雪面でハンドルをきっている状態で、強いブレーキングは自殺行為です。直線のうちにしっかり減速しておきましょう。どうしてもオーバースピードだと思ったら、最低限のブレーキですませましょう。イメージとしては、5速マニュアル車で、3速で40km/h走行している時にアクセルを離したときと同じくらいの減速を目安に。

○アクセルもブレーキも6分目

ま、お約束です。開けたばかりの缶ジュースがこぼれるような加速・減速をしているようでは失格です。

○吹雪いたときはロービーム

吹雪くと見通しが悪くなり、ついついハイビームにしたくなりますが、逆効果です。それよりも十分に減速して、5メートル先の路面(特に路肩)を頼りに目をこらして下さい。フォグランプがついてる車は点けておきましょう。これは視界確保よりも、対向車に視認してもらうためです。

○FF車の人は

FF車の特徴は、直進安定性がすぐれていることです。そのため、発信時にあまりふらつかないので、直線でついついスピードを出してしまいがちです。ところがFF車のもうひとつの特徴として、アンダーステア(ハンドルきってもまがらない)があります。オーバースピードでカーブに入ったらハンドルきっても曲がらず、あせってブレーキ踏んでも止まらないで、対向車線の路肩に突っ込む羽目になります。突っ込み重視ではなく、立ち上がり重視の運転を日頃から心がけましょう。

ちなみに、高等テクニックとして、タックイン気味に走るというのがあります。予めシフトダウンしておき、カーブで少し強めにハンドルをきり、アンダーステアが出たらアクセルを戻すとテールが流れ始めます。そうしたらハンドルをカウンター気味にカーブの出口方向にきり、アクセルを踏むとテールの流れが収まります。カウンターステアをきりすぎたり、戻すのが送れると今度は反対側に車が回りはじめるので、初心者には勧められませんが。

「タックイン」というのはFF車にて、カーブを曲がっている挙動中に、ブレーキやエンジンブレーキなどによって減速をすることにより、車の前の方に荷重をかけて、相対的にリヤタイヤの荷重をへらし、リヤタイヤを意識的にカーブの外側に流すようなことを言います(多分)。

「アンダーステア」「オーバーステア」とは、本来はステアリング(ハンドル)の切れ角をあらわす言葉で、アンダーだと切れ角が不足していて曲がりきれない状態で、オーバーだと切れ角が大きすぎてカーブの内側につっこんでしまう状態です。しかし、ハンドル操作が直接の原因でなくても、車の状態を指すときにも使われます。

例えばFF車で、スピードが出過ぎてハンドルを切ってるのに、カーブで曲がれずにまっすぐつっこんでしまうようなときは、「アンダーステア」FR車で、カーブを曲がりながらアクセルを強く踏むと、ハンドルはそのままなのに後輪が滑り出して曲がりすぎ(車の向きがカーブの内側を向くような)の状態のときは、「オーバーステア」となります。

とにかく、FF車は「進むけど、曲がれない」車であることを認識して下さい。とくに、下りでは要注意です。先日の往路で出会った「未熟車」は、私が登りの右カーブ10メートルほど手前にいるときに曲がりきれずに、わたしから見て左側の路肩につっこんでしまった対向車がFF車でした。

 

○FR車の人は

FR車はFF車と逆で、アクセルを踏めば踏むほど車はくるくるまわります。とにかく、ハンドルをきっているときは、アクセルは踏まず離さずキープです。ブレーキなんかもってのほか。登りのときの強いアクセルや急なシフトダウンも、後輪が空転する原因です。上り坂の前に必要最低限の加速をすませて、シフトもひとつ落としておきましょう。ドリドリが好きな人も、20km/h以上のときは自殺行為です。

○4WDの人は

発進時はスタック時の脱出性能は高いのですが、コーナリング時は最悪です。一度すべると直すのが困難です。カーブ進入時はFF、曲がっている最中はFR、終わりの方ではFFと、くせがころころかわります。とにかく、4WDが強いのは直線だけだということを覚えておいて下さい。
ちなみに、先日の復路の「無謀者」は4WDセダンでした。この車は、行程の5分の1は対向車線にはみだしていました。車の左側フロントは、しっかりぶつけた跡があったし。

○雪の回廊は怖い

めったにない道ですが、春スキーができるような山では、シーズン中は道の両側に1メートル以上の雪の壁ができて、まるで回廊のようになっているところがあります。こういう場所では、天気が晴れていても風が強いと「吹き溜まり」ができます。進行方向に対して垂直に風が吹いているときに、風が巻き込んで雪を落としていくのが、ちょうど道の真ん中あたりになります。わたしは、一度これに乗り上げて脱出に20分ほどかかったことがあります。

○スタッドレスは3年もの

たとえ溝がまだまだあっても、ゴムは劣化します。4シーズン目のスタッドレスはやめましょう。私は、性能的に不満足だったメーカーのタイヤは、シーズン中でも買い換えてましたし、十分な性能だと感じたメーカーのタイヤでも4シーズン目はゴムが硬くなってしまっていて、安全のために新品に変えてました。今シーズンのモデルでは、ゴムの劣化に対して大幅な改善を行ったメーカーがあり、5年は大丈夫なような銘柄ができましたが、現在みなさんが昨シーズン以前から使っているようなタイヤは、3シーズン目までが安全推奨限度と考えた方がいいと思います。

スタッドレスタイヤを買うときは、ショップの言いなりにならずに、雪道の走行経験が豊富な人の意見を参考にして銘柄を決めた方がいいと思います。実は、結構メーカーによって性能差があり、圧雪に強い、氷上性能が高い、対摩耗性が高い、等の特徴があったりします。平地の一般道でも雪があるような地方の人が使う場合と、スキー場付近しか雪道を走らずにすむほうな人が使う場合の違いもあるので、安易に決めたりしないことを勧めます。

○エンジンブレーキは万能ではない

回転数が3500以上あるときのエンジンブレーキは、急ブレーキと同じと思った方がいいかもしれません。わたしは、直線のミラーバーンで、2リッターFR車、50km/h、4速の状態からアクセルを離しただけで180度回転したことがあります。

○コーナーはアウト・イン・イン

カーブは早めに曲がりきって、早めにハンドルをまっすぐの状態にもっていくようにしましょう。S字カーブでも、このように走ればハンドルがまっすぐな直線走行状態ができるので、ブレーキポイントを広くとることができます。

○右カーブに気をつけろ

特に、ブラインドの右カーブは慎重に走りましょう。自分が普通に走っているのに、対向車が突っ込んでくることがあります。対向車が来ているのかどうかは、可能な限り把握しておきましょう。

○自信がないならバスを探せ

雪が深かったり、吹雪いて視界が悪くて運転するのに自信がないようなときは、大型車(できればトラックよりバスが安全)の後ろを走りましょう。吹雪いていても見失うことがないし、相手の方が制動距離が長い(つまり、前の車が止まれるなら自分も確実に止まれる)し、深雪の時は踏み固めてくれるし、といいことづくめです。ただし、信号の確認がしづらいですが。

○あると便利

カーショップにはいろんな雪道グッズが売っていますが、代用品としてこんな使い方があります。
バスタオル スタックからの脱出時にタイヤの下にしくと結構効き目があります。荷物の場所もとらないし。
板っきれ B5サイズで厚さが1センチくらいあれば上等。雪の上でのジャッキアップは不安定になるので、ジャッキの下に敷きましょう。
下敷き ノートにはさんで使う、プラスチックのあれです。スノーブラシを持っていなくても車のガラスが凍り付いたときには、これで十分はがせます。

○油断しない

結局、常に慎重に運転するということにかぎります。私は車で長距離通学していたもので、免許を取って4年間の内に雪道だけで2万kmを走ったし、今も車通勤だし、雪道の運転歴は10年以上になりますが、それでも年に何回かはヒヤッとすることがあります。特にカーブが連続する山道はちょっとしたよそ見が危険につながりますので、携帯電話は使わない、煙草は平坦な道にでるまで我慢する等、少しでもリスクを減らすことを心がけましょう。

 

スタッドレスタイヤは、メーカーによって性能が違うという記述がありますが、本当にその通りですね。実は、メーカー名をはじめ書いていただいていたのですが、HPに載せるにあたって、わざわざ伏せていただきました。でも、その評価は僕の知っている評価と全くおなじで、大変驚いたものです。やはり性能差はメーカーによって、かなりあるようです。(できれば、量販店で安く売っているノーブランド品量販店ブランドなどの安い普通のタイヤやスタッドレスタイヤは、できるかぎり避けて欲しい選択です。最悪、高速走行中にバーストします。)

この文章は、やはり雪国の方が実際のたくさんの経験に基づいて書くだけあって、豊富な経験と、その知識に裏打ちされた具体的な文章ですね。実は、こういう具体的な話が欲しかったというのも、僕の中でずっとありました。このコンテンツを立ち上げたねらいの一つだったのです。まるさん、書いてくださって、ほんとうにありがとうございました!

2000/2/8アップ