スキーショップに行こう 番外編  Written by 玄さん

 

 

 このHPに遊びに来るようになってから、行ってみたかったヤマトスポーツ。

 今年、ブーツの買い替えを考えたときに「そうだ、大阪へ行こう」とJRのCMのようなことを考え、スキーブーツを買うためだけに大阪へ行くことにした。

  ちょうど台風のおかげでかなりダイヤが乱れてしまい、我慢大会のような電車の旅と、大阪での一泊を経て翌日の午後、ヤマトスポーツに到着。

 入る前に店を眺めてみる。いろんなレポートに「入りにくい雰囲気」と書かれている店だが、特に入りにくいという感じは受けない。

 外から見るヤマトスポーツは地味目でさっぱりとしており、看板とウィンドウの絵でスキーショップと解るが、遠目に見たら町の電気屋さんみたいな雰囲気。

「スキーショップへ行こう!」という目的意識が無いと、気付かなくて通り過ぎてしまいそうだった。

 
 店内に店員さんらしい方が一人でいたので、早速ブーツを見繕ってもらう。

ヤ 「今までどのサイズの靴履いてました」
玄 「26です」
ヤ 「級とかは持ってます?」
玄 「3級です。2年連続で2級試験を落ちました」
ヤ 「それじゃ足を見せてもらえますか」

 靴を脱いで、足のサイズを測ったりしてから、

ヤ 「予算はどれくらいで?」
玄 「え〜と、○万円くらいで考えてます」
ヤ 「なるほど、それじゃ…」

 と、棚からブーツを一足出してくる。深い青色のシェルに、つや消しの金色のバックル、曲線的なデザインがなかなか可愛い、今まで見たことが無いタイプの靴だ。右足を入れてみると、これが驚くほどピッタリと足に合う。どこのブーツだろうと思いよく見てみると、何とラングだった。

 ラングなんて縁が無いと思ってノーチェックだったが、こんなに履き心地もデザインも良い靴が出てたのかと感心していると、

ヤ 「ブーツは新しい方が良いですか?」
玄 「まぁ、来期モデルを買おうとは考えてますけど」
ヤ 「一応こっちも履いてみてもらえますか」

 とご主人が言って出してきたのはサロモンのコースジャパンブルー2002年モデル。あいている左足で履いてみる。こちらもピッタリと合ったが、ラングに比べて少し硬いというか、ちょっと不自然な感じがする。

ヤ 「もう少し履いて歩いたりしてみて下さい。履いてからしばらくすると、どちらも足に馴染んできますから」

 それから店の中で10分くらい歩き回ってみる。

玄 「やっぱりラングの方が良い感じですね」
ヤ 「そうですね。他のメーカーも悪くないんですけど、ラングが履けるのなら、それが一番良いんですよ。両足履いてみますか」

 左足も右と同じ靴を履いてみる。右足よりも少しキツイ気がしたが、サロモンよりは柔らかくてしっくりくる。

玄 「私ってラング履けたんだなぁ」

 今まで、クラブでラングを履いてる人を何人か見てきたが、無加工で履いてる人はまずいなかった。
「そんなにまでして履きたいものなのか?」と常々疑問に思っていたが、自分で履いてみて納得。この靴は凄い、多少の無理をしてでも履きたくなる気持ちがわかった。

ヤ 「お客さんは結構素直で良い形の足をしてましたからね、『わざわざ千葉から来る』って聞いたときは、どんな凄い足の人が来るのかと思ってたけど、安心しました」

 やはり、誰でも履けるというわけでは無さそうだが、自分がラングを履けるということがわかったのは、嬉しい発見だ。

玄 「ラングって言うと『日本人には無理』とか『上級者の靴』ってイメージがあって、試しに履こうとも考えなかったんですけど、履いてみると良い靴なんですねぇ」
ヤ 「そうでしょう。他のメーカーの目標になる世界一の靴屋ですからね。それに…」

 と、メモ用紙に図まで書いてくれて、懇切丁寧に技術的な解説をしてくれた。


 しばらくすると、左足も履き始めに比べて馴染んできたが、小指のあたりがきつくてちょっと痛い。

玄 「左の小指が当たってるみたいなんですけど」
ヤ 「とりあえず、インナーの熱成型をしてから様子をみましょう」

 という訳でブーツを脱いで、ウォーマーで暖めて、再び履いて10分間の屈伸運動。

玄 「…結構しんどいですね」
ヤ 「ブーツは履いて動くものですからね、成型するときも動いてないと駄目なんです」

 成る程、そういうものなのか。いろいろと話をしながらひざを動かし続けて10分経過。
 さっきよりもピッタリと合うようになったが、

玄 「やっぱり左の小指が当たりますね。左足の方が少しだけ大きいからかな?」
ヤ 「あはは、左右ピッタリ同じ形の足をした人間なんていませんからね。気になるなら少し(シェルを)出しますか」

 一瞬「いくらかかるかな?」と考えたが、ここまで来てケチってもしょうがないので、お願いすることにした。
 店長がブーツに印を付け、インナーを抜き取ってから、ドライヤーみたいな器具で加熱して店の奥へ持っていく。


 インナーや妙な形の中敷き(ゼッパと言うらしい)を眺めつつ待つことしばし。成型が終わったらしく、店長がシェルを持って奥から出てきた。手馴れた様子で中敷きとインナーをブーツに入れてくれたので、再び履いてみる。

玄 「さっきよりずっと良いですね。小指もちゃんと動きますし、痛くないです。かえって右足の方が窮屈に感じるくらいです」
ヤ 「少し窮屈なときみたいに『面で押されるような感じ』だったらインナーが変形して慣れてくるから大丈夫ですよ。一部分だけが当たって痛いときのような『角が押し付けられるような感じ』の場合は、シェルを出さないといけないんです」
玄 「じゃあ、調節はこれくらいで良いみたいです」
 


 そして、いよいよ支払い。
 「棚には○○円て書いてあるなぁ、シェル出しもしてもらったしなぁ」
とドキドキしていると、

ヤ 「それじゃ、これでお願いします」
玄 「え?こんなに安くて良いんですか?シェル出しまでしてもらったのに」

 以前から安い安いと聞いてはいたが、ここまで安いとは驚きである。
 まだ今シーズンの板が出揃ってなくて助かった。板も同じくらい安くなるとしたら、ものによっては買ってしまったかもしれない。


 余談だが、支払いが済んでから品質保証書を書くときに、

ヤ 「あ。この前ラングを買っていったお客さんも、米子からわざわざ来てくれてたみたいですね」
玄 「へぇ、私以外でも遠くから来る人って居るんですね」

 これだけ親切で、しかも安く良いものを売ってくれるのなら、遠くから来る人がいても全然不思議ではない。
 ブーツを買った後も、いろいろとスキーの話をして、結局3時間も居座ってしまった。
 スキー用具を売っているだけではなく、ご自身もスキーヤーのためか、面白い話や役に立つ話をたくさん聞けて楽しかった。

 面白い話を交えつつ、いいブーツを選んで安く売ってくださったヤマトさん、有難う御座いました。
 このブーツで頑張って2級、1級を取りたいと思います。

 

 


別にスキーショップ13にしてもよかったんですが、知り合いの方のレポートなので、なんだかインサイダー取引のようで(笑)、番外編という形での承諾を得て、HPにアップさせていただきました。

文章的に会話文が中心で、結構リアルな感じですね。感想をもれなく書いているのは、興味深かったです。

でも、はじめのショップの外観の感想は、ほめているのかどうなのか不思議な表現でした(笑)

玄さん、感謝です!^^

 

2002年10月5日アップ