スキーショップに行こう 7
Written by HIDEさん

 

 

 はじめまして。神戸に住む、HIDEと申します。

 先日、SNOWMANさんのホームページを拝見させて頂いて、無性に新しいスキーブーツ&スキー板がほしくなって(ここ数年は、スノーボードに行くことが多くて、所有のスキーセットは8年前に購入したものでした。今年の2月に会社を退職し、公務員試験の勉強をしていたのですが、採用が内定し、3月末まで時間があるので真剣にスキーをしたいと思ったので。お店に行った日は、まだ内定通知はきてなかったけど、気持ちだけがさきばしってしまって・・・)、11月中旬にヤマトスポーツに行ったので、その時の報告をしたいと思います。

 私の友人は、結構東大阪に住んでおり、実際にヤマトスポーツの前は何回も通っているはずなのに、こんな所にスキーショップがあるのは、はじめて知りました。確かに、目立つ店ではないので、全然話をきいたことがない店だったら、もし店の存在を知っていても入りにくそうなので入ることはなかったと思います。

 当然、買物の目的はブーツ。私は、学生時代に量販店で2シーズンほどアルバイトをしていたことがあり、普通の人と比べると色んなブーツを履く機会があったので(といっても、プライベートブランドの商品が中心で、取り扱いメーカーは少なかったですが)、自分の足の形がほとんどのブーツには合わないことはわかっていたので、どんなブーツを選んでくれるのか、非常に興味がありました。

 お店に入ると、その日は暇だったらしく、初老の経営者の方が対応してくださいました。私は、まずHPを見てこの店を知ったこと、前はコフラックのブーツを履いていて、古くなって買い換えたいけど合うブーツがないので、自分にあったブーツを選んで欲しいということをつたえると、 「それじゃ、足を見せて。」と言われたので、靴を脱ぎました。

 「えらい足やなあ。この足やったらそのまま合うブーツはないから、このブーツをあなたの足に合うように調整せなあかんわ。」

 と、一足のブーツ(レグザム)を差し出してくれました。私は、自分が思っていた以上に幅広で、その上内側の踝の横が妙に出ているみたいで、そのままでは結構というか、一日滑ったら我慢が出来なくなりそうな位の痛みがありました。そして、痛い部分を告げると、

 「あなたの足にあわすことは出来ます。値段はこんな感じです。」

 とのこと。ちょっと予定していた予算よりも上だったけど、他で自分に合わないブーツを安く買って後悔するよりも、絶対にここで足に合ったブーツを手に入れるべきだと思ったので、レベルに合った板の金額をきいて(スキー板は予算よりも安かった)、財布と相談しながら、

 「ちょっと今は手持ちは足りないですけど、次に来る時に払うので、これをあわしてください。」と告げました。

 すると、量販店にはない器具で足を測定してくれていろいろと調整してくれました。インナーは結構すぐに調整は終わったのですが、シェルは何回も調整を繰り返して頂いてようやくあたるところがないようになりました(なんやかんやで2時間近くかかったと思います) その最中にいろんなことを教えて下さいました。

 「ブーツの中ではラングが王様やけど、あなたの足だったらどんなに調整してもラングは無理。レグザムのブーツは本当にスキー好きな人が作っているブーツで、比較的いろんな人に合いやすい。」

 「量販店は金具の取り付けをアルバイトにさせるけど、うちでは絶対にそんなことはしない。誰が取り付けしたってうちの商品には変わりないから、お客さんのことを考えるとそんなことはできない。」

 それ以外にも、滑り方についてボードを使って丁寧に教えて下さいました(自分がするべきことがおぼろげながら見えてきたような気がしました。) いろいろと話を聞くうちに、『自分が思っていた以上に、量販店ってよくないかも…』と思うようになってきました。

 量販店では、社員さんからは自社ブランドを薦めるように言われますし、全く知識のないアルバイトが接客をします。私がいた店は、ブーツ売り場の女の子が「ラングって何ですか?」と聞きにくるし、社内での売上ランクが低い店だったかもしれないですが、社員もスキーに詳しい人はいないので、店の中には1人もスキーの専門家がいない状態でした。社員も勉強不足で、板を試乗しないどころか、店に入ってきたブーツを自分で履くことさえもしないので、足幅の広い人に履けるはずのないブーツを薦めたりしていました。

 当然ながら、ブーツのシェルの調整もできず、合わない人にはリアエントリーや大きいサイズを薦めたりで、1人の接客に1時間以上かけることはほとんどなかったように思います。私は取り付けもやっていたのですが、1本だけ手本をみせてもらって、後はお客さんが購入した板で練習するという感じでした。これ以外にもエピソードは一杯あります。

 ついつい長居をしてしまい、4時に来たにも関わらず、出た時はもう8時をまわっていました。予算は少しオーバーしてしまいましたが、いろいろと教えてもらえたし、いい買物ができたと思っています。今まで、高いというイメージが先行していて入ることがなかった専門店ですが、『なぜ専門店があるのか』ということが初めてわかりました。お客様を大切にするという意識の差が、量販店とは歴然としているように感じました。

 だらだらと長い文を書いてしまいましたが、いい店を教えてくださり本当にありがとうございました。
今は、一刻も早くスキーに行きたい気持ちで一杯です(今シーズン中に2級はとりたいと思います)。

 話は変わるのですが、スキーについてのHP(主にゲレンデ情報)を作成中で、その中で少し道具選びについて触れたいと思いますので、SNOWMANさんのHPをリンクしたいと思っていますので、今後ともよろしくお願いします

 

HIDEさんのHP  スキー大好き!  へのリンクはこの文章をクリック!

 

2000年12月29日アップ

 


 

 Snowman-Yukioです。

 もともと、量販店の店員さんをしていただけあって、かなり具体的に詳しい話が書いてあります。これを掲載したらちょっと問題になるかもしれないと思いましたが、量販店名を出しているわけでもないので、勇気を出してアップしました。このお話は、すべての量販店があてはまるということはなく、お店によってはということだと思います。実際、ものすごく詳しい店員さんがおられる量販店もあるようです。

 けれども、やっぱり高い買い物をするので、ショップ選びはきちんとしておきたいものです。信頼できるお店で、信頼できる店員さんがいるお店で買うことが、きちんと自分にあった道具をすすめてくれるので、やっぱり上達にもつながってくると思います。量販店では、そういったところがないとは言えませんが、やっぱりスキーを扱い続けて40年以上にもなるショップと、アルバイト中心のショップとでは、やはりその差は歴然としてくると思います。

 以前にも書きましたが、ショップのおじさんはブーツを設計していたこともある方です。だから、かなりの知識と技術と経験を豊富に持っているので、ブーツ選びにに関しては、ほんとうに信頼してもらえると思います。これまでにアップしてきた話もすべて、ブーツ関連の話ばかりです。でも、このショップはブーツだけではありません。板選びも安心です。おじさんの息子さんも結構すごいので、その話を少しだけ書きます。

 

実は、僕がショップに行ったときにショップのおじさんの息子さんに、SAJ全日本デモンストレーターである金子裕之さんの弟さんと知り合いになり、続いて金子デモと知り合いになったと言うと、息子さん(といっても金子デモと同じ年だそうです)は、

「金子デモは、僕が技術選に出たとき、僕の5人くらい前で滑っていました。だから、よく彼をおぼえています。彼は特に、急斜面不整地小回りでの滑りは、ほかのその時デモだった連中が驚くくらいの、すさまじい滑りをしていましたね。その時金子裕之さんはデモではなかったけれども、ほかのデモ連中がびっくりするくらいの滑りをしていた。ずっと見ていたけど基本的に、ほかの選手とは滑っているときの音がぜんぜん違っていましたね。あれだけの滑りをする人は、デモを含めてほかにはまったくいなかったです。」

と話してくれました。これは、はじめて金子裕之さんがデモに認定された年の話だそうです。

 

 話はずれましたが、ショップの息子さんは、金子裕之さんとおなじ技術選に出場していたくらい、スキーにのめり込んでいたようです。子供の頃から、毎週のように雪国に行っては、滑り込んでいたそうです。そして、技術選まででれるくらいのレベルまで滑り込んでいたそうです。ですので、やっぱり普通の店員さんではかたれないような深い話もしてくれます。

 技術選に出たというショップの息子さんや、同じく別の年の技術選に出たという金子デモの弟さんも同じ事を話しておられていましたが、ほんとうにハイレベルな人というのは、板の特性であるトーション(ねじれ剛性)などを使って、板を走らせたりズラしたりという操作するというくらい、ハイレベルな板の扱いをされます。一般スキーヤーではなかなかわからない、ほんとうの板の特性を足で感じて滑りを変えてゆくそうです。また、そういったことがわからなければ、技術選に出る技術もおぼつかないようです。

 そう考えると一級レベルの僕には、板の特性がなんとか頭でわかるとしても、それを活かした滑りが出来ないので、板の特性を十分理解できずに、板に偏見を持ってしまうことも多いようです。ほんとうに板を自由自在に扱えることの出来る人なら、そういった板の持ち味を知ることが出来るというものでしょうけれど、量販店などでは、それだけの滑りの技術を持って、スキーを選んでくれる人がいるというショップは、なかなかないでしょう。

 だから、このショップでは板選びに関しても、きちんと板の特性を理解し、その人その人にあう板を的確なアドバイスですすめてくれるのでしょう。また、現在持っている板のクセや特性などに疑問があれば、ぜひとも質問してみてください。きちんと答えてくれますので、きっと参考になりますよ。

 板というものは感性的な好みもあるとは思いますが、自分でどの板を選べばよいのかわからない場合は、このショップでは滑りの技術や筋力、体力、体格や体重など、総合的に判断して、一番良いと思われる板をすすめてくれるはずです。

 

 量販店とほんとうのスキーのプロショップでは、ブーツだけでなく板選びに関しても、知識や対応がやっぱり根本的に変わってくることが大変よくわかると思います。スキーの上達には、親切なよいショップを見つけて、末永くつきあってゆくことが大切で、それがやっぱり上達にもつながってくることではないかと思います。

 

 

HIDEさん、レポート本当にありがとうございました。
アップまで、かなりの時間がかかってしまいましたが、お許し下さい。
検定のほう、がんばってください!

 

Snowman-Yukio