ヤマトのおっちゃんU  Written by めげぞうさん

 

 

「ヤマトのおっちゃんがなくなって、もう一年だなぁ、さみしいなぁ」と思っていたら、今回のメールが来ました。

今回のアップは、メールをくださっためげぞうさんにアップのお願いをさせていただくと、「別にokですが、追悼文的で。。。」というメールをいただきましたが、おっちゃんは僕のスキーの恩人(?)だし、おっちゃんに関して僕が個人的にアップしたい気持ちが強かったので、こちらからめげぞうさんにお願いをして、紹介させていただきました。一度しか会っていない方でも、同じような気持ちになるのかなぁと思うと、なんとなくうれしかったからでしょうか。。。

スキー好きがこうじてスキーショップを作ってしまったくらいのおっちゃんだから、やっぱり天国に行ってもスキーしているのかなと思いながら、このページを作りました。

めげぞうさん、アップのお願いにご了解いただいて、ほんとうにありがとうございました

ちなみに、めげぞうさんは神奈川県の方で、HPを読んで、なんと翌日!、有休を取って!、ヤマトに行ってしまった方です。
このHPを見た翌日に店に行ってしまった方としては、これは最遠距離記録です。。。

Snowman-Yukio


 

 初めてメール差し上げます。神奈川県在住の会社員です。

 こちらのページを約1年ぶりに覗きに参り、「ヤマトのおっちゃん」がお亡くなりになっておられたことを知りました。
機会があれば今シーズン中にも伺おうかと思っていただけに、本当に残念です。

 


 実は私、ヤマトスポーツには一度しか行ったことがありません。
それまで数度しかやったことのなかったスキーですが、昨シーズンからちょっと本格的に取り組もうと思い、サイトでマテリアルの情報を漁っていたところ、偶然このページを見つけたのです。

 すぐさま翌日の有休を取り、朝一で家を出て新横浜発ひかりに飛び乗りました。この喰い付きの早さを、人に言うと呆れられるますが、これには理由があります。それは、紹介されているエピソードなどから嗅ぐ事のできる匂いみたいなものが、私が学生時代ロードレースをやっていてお世話になっていた自転車屋と、とてもよく似ていると思ったからなのです。だからこのページを読んだだけで、「この店は絶対に当たりだ!」と確信してました。


 私が訪れたのは12月初頭でしたが、平日ということもあって他にお客さんも無く、昼過ぎから夕方まで、おっちゃんにフルに付き合っていただけました。今から思うととても運が良かったのだなあと思います。

 最初はブーツだけのつもりだったのが、気付いたらワンセットになっていたのは皆さんと同じですね。出して頂いたブーツを矯正+試履しながら、「自転車をやっていて、足腰はたぶん相当に強い。だからけっこーな斜面でも『とりあえず滑れる』のだけれど、やはり『ちゃんと滑れる』ようになりたい」と言うと、まず一発で今の滑り方を「こういうふうに滑るでしょ」と指摘されました。仰る通り、筋力にものを言わせて、スキー板を振り回すような滑りだったのです。こんなにスパっと見抜かれると、もう嬉しくなってしまいますね

 そこで、どういうことに意識しながら滑れば上達するのか質問攻めし、脚の動きや上体・腕の使い方、果ては板を履かないでのトレーニング方法まで、丁寧に教えて頂きました(それらはノートにメモし、今もゲレンデに行く前に目を通しています)。そして板は、まずは体重荷重で曲がるという基本を身に付けなさい、それにはこういうのが良い、と出して頂いたのは身長+20cm近いOGASAKAの190cm。通常より軟らかめで、しっかり踏むという感覚が得やすいとのこと。そして

「2年間しっかりこの板で滑りなさい。そしたらこの板は卒業して下さい」

 言われた通りこの板でしっかり練習して、約束の3年となる来シーズンに「この板は無事卒業できましたんで次の板を買いに来ました。」と言って、次の板をおっちゃんに見繕ってもらうのが私の目標でした。


 一度しかお会いしてない人にそこまで感化されるのか、と思われるかもしれませんが、私のなかではおっちゃんは、4年間世話になった自転車屋のオヤジとすっかりかぶってしまうんです。

 話は逸れますが、自転車ロードレースも、道具を使いこなすスポーツであること、マテリアルや1回あたりの経費(レース参加料)が高く、一般人には無用の高額ブランド製品が存在する点など、スキーと共通しているポイントが多く、技術やノウハウも無い利益優先型ショップが自転車の一般的な普及を妨げている点などもそっくりです。

 そんな中で、貧乏学生に自転車の楽しさを教えてくれたのは「シ○コーのおやじ」でした。購入時も大幅安で無用なブランド品は売りつけず、メンテナンスはいつでも無料で、週末返上でツーリングやトレーニングに付き合ってくれ、地方にレースに行く時は運転手を努め、かつレースにおいては監督としてアドバイスをくれる、そんな人でした。店には固定客はたくさんいましたが、商売気が全く無かったので「税務署に同情された」そうです。

このおやじの話をすると、おっちゃんは「どこの世界にもそういう人がおってんやな」、と嬉しそうでした。

 そして、愚かしくも「こんな安くてやっていけるんですか?」と尋ねた私に、「量販店というのは、今その目の前にいる客に売らねば利益にならない。けどうちはそのお客さんにスキーを本当に好きになってもらって、そして十年二十年付き合って、その中で利益になればいい。だからいい加減な商売はしない」

おっちゃんはもういないけれど、来シーズン、目標を達成しに再度ヤマトスポーツを訪れたいと思っています。

 


 

 

 

2002/3/3 アップ