誰もいない!

 

社会人のほとんどの方が、週末スキーではないでしょうか。
私もその内の一人なのですが、週末スキーとなれば、道は渋滞、駐車場は満車、ゲレンデは混み混み、そして、リフト待ちの長蛇の列が当たり前となっております。
そんなんですから、
空いたスキー場でおもいっきり滑ってみたいと誰もが夢みるのではないでしょうか。
でも、それが度を越えると・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そんなお話です。

時は91年4月1日。本州では桜前線の北上が話題となっている頃、まだまだスキーシーズンだ!と思っている私は、北海道はルスツに行きました。
私の地元であります岐阜県は、もうすっかり春めいていましたので、ゲレンデの状態を心配しましたが、
さすがは北海道!この時期では、最高のコンディションで迎えてくれました。

お天気は期待通りのピーカン!羊蹄山がばっちり見えます。
ゲレンデはガラガラで、もちろんリフト待ちなんてありません。
これは気持ちいいとばかりに滑りまくりました。
WEST・ EASTの両山を滑って、いざ、お目当てのMt.イゾラへと向かいました。
イゾラのコンドラ乗り場へ向かう途中、ふっと気付くと誰もいないんです。私と彼女の二人きりです。
(今の彼女じゃないから、この話は内緒にね!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
確かWESTやEASTのコースには数人いたのに?
その時は
、「これはマジで空いてるな」と思った程度でしたが、Mt.イゾラの山頂に立ってビックリ!
もう、お昼近くなのに、そこには綺麗にグルーミングされたまんまのイゾラグランコースがありました。

イゾラグランコースは全長3.5kmのMt.イゾラのメインコースですが、上から下まで滑っても、やっぱり誰にも会いません。と言うより2・3本滑ってもシュプールが増えていないのです。

こうなると空いてて気持ちいい!というより恐怖感が募ります。
昔、映画かテレビで見た、一人だけ表の世界とまったく同じである、裏の世界に連れ去られる物語のような気持ちになってしまいました。
そうなると、どんどん不安感が大きくなります。

お客が居ないと勘違いしてリフトを止められたらどうしよう。遭難したらどうしよう。
と考えなくてもいいような事が頭をめぐります。

ここは本当にスキー場か?と感じながら、リフト乗り場の係員さんを見てホッとする始末です。

なんとか気を取り直して、いろんなコースを滑って、数時間してからまたMt.イゾラの頂上に来てみたら、コンドラ降り場にカップルが立っています。ゴンドラの中から「スキーもしないでこんな所に居るなんて、不思議なカップル?」と思いながら見ていると、目が合った途端、大喜びしています。ますます変なカップルだ、と思っていたら、コンドラから降りてきた私に、いきなり話し掛けてきました。
「来てくれてうれしいです! ここからの景色を二人で撮って欲しくて、20分以上待ってました。」って?

え!リフト待ち0分、写真待ち20分・・・・・・・・・(^^);

空き過ぎにも困ったもんです。

余談
ルスツと言えばルスツリゾートホテルですが、そこのホテルはレストランが数件あります。夕食に行ったら、どこも結構混んでます。思わず「あんたら昼間は何処におったの?」と言いたくなったのを覚えています。