司馬遼太郎たちの美術館

〜 芸術の秋シリーズ 〜

 

 司馬遼太郎は、もうお亡くなりになってしまいましたが、結構有名な歴史小説家ですね。代表的な作品は「竜馬が行く」や「関ヶ原」「菜の花の沖」など多数あります。僕も「竜馬がゆく」は本当に何度も読んだものです。その司馬遼太郎は、実は、僕の家から3kmほど離れた、同じ東大阪市に住んでいました。

 また、その司馬遼太郎の自宅は、僕がHPで紹介しているスキーショップのある近鉄布施駅から3駅目の、近鉄奈良線・八戸ノ里(やえのさと)駅という駅から、歩いて10分程度のところにあります。僕は、司馬遼太郎の自宅の前をよく通ることがあったけれど、一度も拝顔することが出来なかったです。けれど僕の親父は、何度か近所を歩いている司馬遼太郎を見かけたことがあるそうです。「髪の毛が真っ白だった。なんだか真っ白に染めているみたいな感じだった」そうです。ちなみに、僕はよく、司馬遼太郎の横の朝日新聞支所の隣の駐車場に、司馬遼太郎の身辺警護のためか、警察がよくパトカーから見張っていたのだけはよく見ていました。

 その司馬遼太郎が、生前、近所で美術館の設立に動いていたのは、ほとんど世間的には知られていないことだと思います。その司馬遼太郎が設立に動いた美術館は、司馬遼太郎の自宅から500m離れたところにあります。美術館といっても、府道か市道(中通り?)に面した、あまり(ほとんど)目立たないところにあるから、さらに世間からは知られにくいみたいです。また、その美術館は、実は喫茶店なんです。一風変わった趣向の美術館(喫茶店)であり、その名も「喫茶・美術館」です。

 


これはピカソのピアノという絵です

 

司馬遼太郎が美術館の設立に動いたことですが、ざっと説明を書いておきます。

実際はこの美術館は、司馬遼太郎の知り合い(?)の大島ヨウという人の

「絵と音楽とコーヒーだけで、市民の憩いの場を作りたい。そこで須田剋太(抽象画家1990年7月14日逝去)の絵をかけたい」

という希望を叶えるために、司馬遼太郎が動いたそうです。

また須田剋太は、司馬遼太郎「街道をゆく」の挿絵担当画家として19年間活動していた方です。

そしてできあがったのが、大島ヨウと司馬遼太郎と須田剋太たちの夢の、市民の憩いの場の「喫茶・美術館」です。

 


これは須田画伯のものではないです(;^_^A

 

 喫茶・美術館というのは、コーヒーと紅茶とケーキしかおいていない喫茶店で、コーラとかはおいていないし、ジュースさえもおいていない喫茶店ですが、れっきとした喫茶店の「美術館」で、芸術品をおいている美術館なのです。 そんなに数多くの作品を展示していると言うほどではありませんが、結構充実した感じです。コーヒーなどを飲まない場合でも、美術品を鑑賞することが出来、この場合入館料として300円を支払います。

 けれど、おいしいコーヒーや紅茶の飲める喫茶店だから、コーヒーを飲みながら、合間に美術品を見るのがいいと思います。コーヒー一杯500円なので、コーヒーを飲む方が得(?)だと思います。そういった趣向の喫茶・美術館です。ちなみに、お店の看板は、司馬遼太郎の文字で書かれた看板であり、司馬遼太郎のファンならたまらないかもしれないですね。

 喫茶・美術館はいいところです。こころがほんとうに落ち着きを取り戻せるところだと思います。この喫茶店では、大声で話をしてはいけないお店で、ほんとうに静かな気持ちになれる喫茶店(美術館)です。もちろん、館内(店内)にはたくさんの美術品が飾られていて、トイレの中にまで飾られているのにも驚きます。

 僕は、ほとんど芸術の感性がないので、どの作品がいったいどういいのか?ということはさっぱりわからないです。けれど、そのほとんどが抽象画なので、見る人の感性を強要しないので、かえっていいかもしれないと思います。だから僕は好き勝手に、芸術品を眺めては、ぼんやりしています(笑) でも、芸術ってそれでいいのかもしれないと思っています。

 また、館内は静かに音楽が流されていて、癒し系の音楽なので、これもまたほんとうに心が落ち着きます。それも、でっかいスピーカーから、小さな音で音楽が流れているのです。これもまたすばらしく凝ったかなりいいオーディオ設備で、ノイズもほとんどなく、小さな音だけれど重低音から高音まできっちり音が再現されていて、とても静かな環境でそのすばらしい音を楽しめるのです。だから、オーディオファンなど、音そのものを楽しむ人にとっては、ほんとうに耳が喜ぶと思います。

 また、ウォーターグラスは厚みのある琉球ガラスで作られてあり、ガラスの重みが、これもまた味のある雰囲気を出しています。コーヒーカップもまた味のある陶芸品で、静かに見ていると、なぜか芸術のわからない僕にも、なんとなく芸術がわかったような(笑)気になってきます (あとで調べてみたら、陶芸家の人間国宝・島岡達三という方の作品のようです。あまり詳しくないので、どなたかご存じの方は情報を!) また、椅子も人間の生活をきちんと考えて作られたかのような、しっくりした味のある木の椅子であり、そのほかのテーブルや柱や床なども、ほんとうに気がつかないけれど、こだわりをもった作りをしています。

 


ゴッホの「晩秋」

 

 たまにはこういったところで心を落ち着けてみるのもいいと思います。いつもいつも何かに追いたくられる毎日を過ごし、取り囲む窮屈な社会で生きていて、空を見上げてもちっぽけな空間しか感じることのない世界で生活を送っていると、たまにはこういった静かな空間の中でコーヒーを飲み、ほっと心を落ち着けてみれば、ほんとうに何とも言えない安らぎを感じます。

 また、僕はなぜか芸術品を見ていると、自然の中にいるような気持ちにすらなります。これはたぶん、芸術というものは、作品の中にこめられた想いが、自然が存在するのと同じように、心の広がりの中に時間や空間を越えてあるものなんだろうなぁと感じてしまうからです。芸術というものは、伝えられない想いを言葉でなく作品で伝えるという、感性を通じた手段かもしれないですね。

 そして、作品の一筆一筆に、たくさんの想いと芸術性をこめて書き上げられていることを思うと、描かれた一つ一つの点にこめられた想いがどんなものかを、なんとなく想像してしまいます。芸術の良さって僕にはわからないけれど、芸術とは様々な価値観と、無限に広がる想像力のなかで生まれてくるものなので、自分の価値観や想像力、そして感性にもプラスになるのでは、と思ったりもします。

 さらに、喫茶「美術館」の隣には、その喫茶店の別館とお好み焼き屋さん「伊古奈」があり、同系列店として須田画伯の作品がたくさん展示されています。喫茶店はどちらも落ち着いて読書をするにはぴったしで、僕もたまにコーヒーを飲みながらのんびりと過ごしています。たまに待合わせの時など、一流クラスのホテルの喫茶店でコーヒーを飲んだりしていたのですが、くつろげるようで、意外と一流ホテルの喫茶店は豪華さにこだわったものが多く、あわただしく人が出入りし、あまりコーヒーを飲んでもリラックスできたことはなかったような気がします。

 けれども、ここの喫茶店は、どちらもほんとうにくつろぎの時間と場所を確保でき、コーヒー一杯でこころが本当に落ち着く所だと思います。そのくつろぎは、ほんものだと思います。(お好み焼き屋さんは、やっぱり夕方になるとにぎやかになります。けれども、店の雰囲気がシックで、落ち着いた食事ができると思います。けっこう、お好み焼きもおいしいです。結構有名みたいです^^)

 もし、東大阪に来られるときは、一度この喫茶・美術館を訪れて見ることをおすすめしたいです。落ち着きますよ^^

 

おまけ

● 電話番号などの載っている 喫茶「美術館」 の地図 ●

 

 

司馬遼太郎に興味のある方は、下記リンク先を要チェックです

● 司馬遼太郎記念館 ●

● 司馬遼太郎記念館 駅からの地図 (喫茶「美術館」もわかります) ●

司馬遼太郎も歩いた道です。ぜひ駅からは徒歩できてください(^^)

 

もし興味のある人は、下のリンクをチェックしてみてください。

大島ヨウ氏のインタビュー (これを読んだら、設立へのいきさつがよくわかります)
http://www.kiryu.co.jp/ohkawamuseum/kikakuten/39-sudakokuta9807/intaview.htm

大島ヨウと司馬遼太郎と須田剋太のつながり
http://www.kiryu.co.jp/ohkawamuseum/kikakuten/39-sudakokuta9807/sakka_collector.html

須田剋太の作品数点
http://www.kiryu.co.jp/ohkawamuseum/kikakuten/39-sudakokuta9807/

須田剋太の経歴はこちら
http://www.kiryu.co.jp/ohkawamuseum/kikakuten/39-sudakokuta9807/history.html


2001/10/12 up