スキー上達への道 2  情熱コテコテ編


はじめはなんでも誰でもそうですが、めちゃめちゃへたっぴからはじまるんですね(笑)

 

 ここからはけっこう体育会系の話になってきます。こころの準備はいいですか?(笑)

 スキー上達を目指すにあたって、一番大切なのは、モチベーションですね。いわゆる「やる気」ですね、「燃える熱い心」「パワフル魂」(笑) これがないと話になりません。ライバルがいるということは、上達にとってとても大切です。僕も、ライバルを見つけたら、それを抜いてやろうという気持ちがいっぱいでした。僕は、以前滑り倒す僕をバカにしていた人を、たくさん抜いてしまいました。けっこう負けず嫌いな性格と、O型特有の結果を出さないと満足しない性格なので、ようやく結果を出せたようです。そして、去年まで僕を馬鹿にして笑っていた人が、今年はもう笑わなくなっていました。

 子供みたいですが、でもこういうことは、自分が自分であるために、ほんとうに大切なことですね、やっぱり。バカにする相手には、ずっと負けていてはダメなんですね。けど、ただ、バカにする相手を越えることに意義があって、それはなんの自慢にも、プラスにもならないことをも、忘れないでいたいものです。そんな人を相手にしているより、もっともっと上のレベルの滑りを手に入れなければいけないのですね。

 またその反面、それまで相手にもしてくれなかった人が、僕の滑りが変わったのを見て、急に認めてくれるということもありました。そういうのは、ほんとうにうれしいことですね。僕らのようなレベルで滑りを見てバカにしたりするというのは、あまりにも狭い世界の中の話にしかすぎないと思います。やっぱり、お互い認めあってライバルとして頑張ってゆけるということのほうが、ほんとうにすばらしいことだと思います。勝手知ったる少ない仲間のなかでバカにしたりする人というのは、やっぱ自分の世界の狭さをあまりにも知らないからなのでしょう。こういったことは、価値観や社会観、世界観にもつながってくることだと思います。

 スキーは動きのスポーツです。基礎スキーは特に、表現するスポーツなので、語弊はあるものの、表現できればいいのです。はじめは誰でもなかなか身体が動かないものです。けれども、練習をすることによって、できるようになってくるものですね。

 もしライバルがいれば、そのライバルの練習量の倍をするくらいの気持ちで練習するのです。はっきりいって、それほど努力をせずにいる人が多い世の中です。ほんとうに努力するということを知らずに、適当な練習量で「今日は頑張った!」と満足する人が多いものです。どこまでを目標にしているかが一番大きなところですが、ほんとうに真剣に練習するということをせずに、何もかも中途半端にしてしまうという、そんな人がほんとうに多いと思います。たとえば、「明日は筋肉痛になると滑れないから、このくらいにしておこう」って。

 でも、筋肉痛になったとしても全然関係ないのです。筋肉が絶叫するくらいに練習して、はじめて新しい筋肉がついてきます。例えば3日3晩(一日+ナイター)滑ると、初日で筋肉が限界になります。わかっていても、ナイターに行くのです。二日目は、繊細な動きがむずかしいくらいに筋肉がはって大変だと思います。その日の夕方は、もう身体がいうことをきいてくれなくなっているでしょう。そんなときでも迷わずナイターに行ってください。それも、ニコニコと笑顔で行きましょう(o^^o) 筋肉を、さらにまた酷使するのです。そうすれば、三日目は筋肉痛がなくなってくるのがわかると思います。身体もすっきりして、身が軽く動くことがわかると思います。

 そして、新しい自分の身体が手に入ったような気持ちになってきます。自分の体力に自信がつき、自分の精神力にもかなりの影響が出てきます。でもこれには条件がありまして、オフトレをきっちりしていることが条件ですね。そうでないと、故障にもつながってきます。だから、マラソンなどで体力をつけておくのもいいと思います。特にスキー用の筋肉を鍛えるためには、基本的にはインライン、もしくはアイススケートをおすすめしておきます。

 それでもライバルが、もしおなじ量の練習量をしているなら。。。そんなライバルがいたら、ぜひ、尊敬しましょう。けれども、負けてはいけません。ありとあらゆる手段でライバルを越える努力をしましょう。マテリアルもそうです。その人をさらに上回るためのことを考えなければいけません。

 僕が知り合えたSIAのデモだったBさんは、月明かりの中、みなお酒を飲んだり女の子と楽しく騒いでいるのをしり目に、一人板を担いで雪山を何度も何度も登っては滑っていたそうです。そのおかげで、雪なし県で生まれて(中国地方)全日本で7位になったそうです。

 また、僕のアイススケートで知り合いになったスノーボーダーの方は、すごい努力をし続けているようで、タイムを道具で買うとまで言い切るくらいの、トレーニングでもマテリアルへの投資へでも、ものすごいお金と時間と努力を投じています。そして、たったの3年で全日本のプロ並みのレベルになったくらいですから、道具はもとより努力は人の倍だけじゃ絶対におわらないものです。トレーニングも、筋肉を鍛え上げるだけの単純なトレーニングでは終わることがなく、科学的な方法や初動負荷運動で有名な「小山理論」に基づいたトレーニング方法を徹底的に取り入れて、毎日毎日鍛え上げています。

 また、金子裕之デモの弟さんの貴夫さん(技術選にも出場経験があり、一時期雑誌にもたびたび出ていた方です。兄よりも、スキーセンスはあると言われながらも、今ではとある会社のバリバリビジネスマンの重役さんです)と知り合いになれたのですが、貴夫さんは日大スキー部時代、「身体はもうボロボロになっているのがわかっていても、トレーニングを続けていた。そしてしまいには疲労で血尿が出てくるようになり、それでも医者に通いながらも、必死に毎日トレーニングや練習を続けていた」そうです。「なぜなら、自分の上を行くライバルがやっている以上のことをしなければ、ぜったい勝てないから」と話していましたが、それにしても血尿が出るくらい練習するだなんて、ほんとうにすごいですねー。。。

 これらはかなりのレベルの話なので、僕ら一般スキーヤーには関係ないかもしれませんし、どこにでも、どこの世界にでも、上には上の人がかならずいます。中途半端で終わらせるならばそれはそれでもいいと思いますが、けれども、将来に自分の悔いを残さないように、自分の全力でできるところまで頑張りたいものですね。(スキーだけに限らず、たとえ日常的な毎日の生活であってもそうありたいですね)

 でも、僕が思う一番大切なことはやっぱり、体力かもしれないです。体力がなければ、スキーを滑るだけでなく、帰宅する体力を残さないといけないので、全力でスキーに打ち込むことができなくなります。特に、スキー場から遠い地方の人間にとって、これは大切なことです。僕は土曜日の夜、8時間かけて金欠のため高速を使わず、大阪からずっと下道で長野県の野麦峠スキー場に行き、ほんの2時間ほどだけ寝て、8時から16時までほんのわずかな休憩のみで滑りまくり、温泉に入って19時過ぎから8時間以上かけて大阪に戻ってきて、翌日仕事です。土日の睡眠時間は、約二日で6時間ほど。体を休める暇がないので、仕事の日が、リカバリーの日です。こういうことがしょっちゅうなので、ほんとうにたいへんです。

 体力と気力、ついでに付け加えるなら、財力。でも財力だけは、鍛えたくても鍛えようがないのがつらいところですね(苦笑) 気力は、スキーだからもちろん滑る気満々ですね(笑) でそうなると、もっとも大切なのは体力ではないかと思います。やっぱり、僕が滑り倒すというと「滑り倒しても、やっぱり量より質だ」という人も多いですが、量を滑ることによって、経験も増えてきます。おなじところばかりを滑るならば無意味かもしれないですが、いろいろな状況に対応できるように、やっぱりたくさんの経験も必要だと思いますし、滑ることが体力づくりのトレーニングにもつながってくると思います。

 ちなみに、2000年のシドニーオリンピックで金メダルをとった高橋尚子選手は、ほかのトップランナーたちが毎日3時間練習するのに対し、彼女は毎日5時間ほど練習するそうです。またほかの選手は、練習前のアップや練習後のダウンに30分や1時間かけるのに対して、彼女はいきなりはじめから全力で、そして最後まで全力で練習するそうです。それだけ走っていても、練習後にも、さらにこっそり一人で走りに行くこともあったそうです。小出監督によると、彼女は「練習の虫」ということだそうです。目を離すといくらでも練習をするので、練習しすぎないようにさせるのが大変だったといいます。でも、それだけ練習や努力をしていたことを考えると、オリンピックで金メダルというのも、素直にうなずける話ですねー。

 

スキー上達への道2  まとめ編


 結局、上達のコツっていう題だったけれども、結局最後は体育会系の話になってしまい、「どこがコツやね〜ん!!」というお叱りの声が聞こえてきそうです。結局は、スキー上達への道は、練習をするという地道な努力の結果なのですね。みな、上達している人は、それなりに努力をしてきています。学問に王道はないのと同じように、スキーにも王道はなく、体力づくりと練習とオフトレがとっても大切なんですね。

 でも、前にも別のエッセイで書きましたが、こんな僕でも、昔は運動音痴で、スポーツがだいっきらいな少年だったのです。中学や高校時代は「なんで勉強する学校に体育なんてあるんだろうか」と疑問に思っていたほど、運動嫌いでした。でもでも、スキーにはまってからは、運動がスキーのためだったら、何をしてもイヤにならない自分が不思議です。

 昔マラソン選手を見て「走るのなんて、しんどいのにバカじゃないか」と思っていた少年時代。気がつけばスキーの体力をつけるため、30kmのマラソン大会や21kmのハーフのマラソン大会にも何度も出場していた僕がいました。そして、アイススケート、インラインスケートとトレーニングを重ね、ようやく少しはまともに滑ることができるようになりました。といっても、トレーニングという感覚はなく、たのしいスキーのためになんでも楽しくやっているという感じです。

 今では、バッティングセンターに行って、「スキーではこうすると安定したから、同じように腰をこうすれば打てるのではないか」と、バッティングセンターをスキーのオフトレにしている自分がいます(笑) 昔、バッティングセンターはものすごく苦手だったのに、今ではスキーを基本にして考えたら、ほんとうにけっこう打てるようになってきたのです

 

 

 たくさんの人との出逢いをあたえてくれたスキーというスポーツですが、スキーがあたえてくれた一番大きなものは、身体を動かすということがほんとうに楽しいことである、ということがわかったことかもしれません。ほんとに、スキーに感謝、自然に感謝、そして生きていることに感謝ですね。ライバルの倍以上練習するとか書きましたが、ほんとうに好きになれば、気がつけば倍以上練習したって平気なんですね。僕もどれくらいがんばれるかはわからないですが、できる状況にある限りは、全力で頑張ってゆきたいものです。

 

PS 内容が濃いので、壁紙やイラストはかわいいものにしてみました
でも、キティちゃん、ちょっと後傾気味かな(笑)

2000年10月21日アップ

27日一部加筆&インライン編と情熱コテコテ編へと分割エッセイ化