再会・スノーボーダーの情熱2

 

 スキーシーズンも終わりかけの頃、平日のアフターファイブに、久しぶりにアイススケートに出かけた。スケートに出かけたのはもちろん、スキーのため。スキーで滑っていて、どうしても前後のバランスが悪く、後傾はもちろん、内倒まで出てくる始末。身体の動きがてんでバラバラで、滑っているだけで腹が立って腹が立って、いい加減自分で自分にうんざりきていたところだった。そのため、違うスポーツでもう一度スキーの動きを見つめ直してみようと思って、スケートに出かけたのである。

 で、スケート場に着いて、スケート靴を履こうとロッカーに歩いてゆくと、前から見覚えのある大きな巨体の人がこちらに向かって歩いてきた。スケート靴を履いているので、大きな体がさらに大きく見え迫力が倍増し、あたかも山のような人がこっちに向かってくるように思えた。さらに、いかつい顔をしているのでかなりの迫力があった。でも、僕を見てほほえみかけているのである。そう、前回エッセイで書いた、あのスノーボーダーだった!本当に久しぶりの再会だった!!スキーとスノボとジャンルは違っても、心のエネルギーのすごい人に再会できるのは、ほんとうに心からうれしい瞬間だった

「いやぁ〜!どこのプロレスラーかと思えば(笑)、おひさしぶりです!!また逢いましたね!!」
「あはは、元気してました?」
「あいかわらずですよ、スノボ行ってます?」
「もちろんですよ。そちらこそスキー行ってます?」
「今年はたくさん行ってますね。けど、また平日のスケート場で会えるなんて思っても見なかったですね」
「ほんとそうですねー。でも、ずっと気になっていたんですよ。ゆきおさん、スキーに行っているんだろうなーって。いつかどっかで逢えるんじゃないかと思ってましたよ。そうそう、野麦も前に行きましたよ」
「いやぁー実は、僕もどこかのスキー場で一度は会えるかもしれないと思っていたし、ずっと気にはなっていたんですよ。野麦はどうでした?」
「一度だけ行ったんですが、あそこはほんといいですね。練習するにはぴったしですね。ゲレンデもすいているし」
「やっぱり、めちゃめちゃ頑張っているみたいですねー。さすがですねぇ。あいかわらず行動力のすごさには参りますねー」
「どうですか、スケートが終わったら一緒に飲みに行きませんか?」
「いいですねー!行きましょう!!」

なぜかこのスノーボーダーの人とは、お互い何かひかれてしまうものがあるようだ。たったの数回しかあっていないのに、なぜか長い間の友人のような気になってしまうのである。不思議といえば本当に不思議である。家が自営業というのも共通しているし、同じ鉄関係というのも共通しているのである。出身高校も高校同士がメチャ近いのである。また、そうとうな勉強家であり読書家でもある人である。僕と同じく、出歩くときは必ず本を持って出かけるというのである。どでかい巨体で小さな文庫本を読む姿を想像すると、なんともおかしいような感じだ(笑)

 スケートも終わり、そのスノーボーダーの方を探しにロッカールームに行ってみると、なんとそこでその方は筋トレをしていたのである。驚いてみていると、僕にもスキーのために筋トレをするようにすすめてくれたのである。そこで僕は、数々のスキーのための筋トレ方法を教えてもらうことになったのである。知っている人は知っている、小山という人(下の名前を忘れた。どなたか教えてください)が鳥取にいるのですが、その人の運動理論である「初動負荷トレーニング」をしっかり勉強されているのである。(なんたって、トライアスリート・プロ野球選手・オリンピック選手などの、トップレベル・ハイレベルのアスリートたちがその人のトレーニングセンターに押しかけ続けているくらい、その運動理論は評価が高いのである。全国から故障をした人や、トレーニングについて具体的なアドバイスを求める人が押しかけ続けているのである。)だから僕が教えてもらったトレーニングは、とても運動方法が具体的で、さらに、効果的なトレーニング方法なのである。なぜかスノーボーダーの方にスキーの筋トレ方法まで教えてもらい、不思議な感じでしたが、その運動方法はとてもよかったです。

 そのあと飲みに行っていろいろな話をしました。僕が、「昔飲みに行ったとき、よく僕はピッチャーを頼んで、一人でそのピッチャーでビールを飲んでいたけれど、一度、兄貴の友人に、目の前でピッチャーをイッキされたときは本当にびっくりしたんですよ。井本さん(スノーボーダーの方の名前です)もできるんじゃないんですか?」と聞くと、「あはは昔、僕もよくやってましたよ。飲み会のウオーミングアップにピッチャーイッキ連続2回もう、常識のレベルを超えていますねー。そんな話が出てくると、いろいろとおもしろい話も出てきます。

 ぜひ、書いておきたいのはキャンピングカーの話。このスノボの方は、何度もスノボに出かけるので宿泊費がかさみ、その費用がバカにならないことに気がつきました。弟さんがいるのですが、弟さんが車を買い換えようと思い、キャンピングカーを買えば宿泊も無料になるから、兄弟でお金を出し合って、いっそのこと、キャンピングカーを買おうと考えたそうです。で、キャンピングカーをいろいろと探しまくったそうですが(僕もキャンピングカーに興味があったので調べ倒した経験があり、そこでも話が盛り上がったのですが)500万くらいまでのものはどう考えても、ほんとうに車中泊をするにはあまりにも狭い。かといって大きなものを買うにはお金もかかるし、第一、冬にいちばんよく使うだけなのでもったいないし、置き場所も考えなくてはいけないということで、相当悩んだそうです。で、普通じゃ考えられない方法を使って、キャンピングカーをゲットしたそうです!これは、日本でもこういうことを考える人はまずまれでしょう。僕は、はじめてみたとき、こんなキャンピングカーを見たのは生まれて初めて、と思わずつぶやいたほどです。

 


比較対照用のマイバイクとキャンピングカー(笑)

 このトラックは、仕事用だそうです。めったに使わないけれど、仕事で必ず必要になるので購入してあったそうです。これは、4tロングのトラックでUNIC(ユニック:吊り下げる装置)付です。そのトラックに、なんと!土建屋の友人から38万円で譲り受けた「スーパーハウス」を載せキャンピングカーに仕上げ、これでスキーに行くそうです(笑)キャンピングカーのための費用は38万円。なんとも素晴らしいキャンピングカーの出来上がりです。キャンピングカー?(スーパーハウス)内は広く、6畳以上はあります自作ベッドが取り付けられていて、さらにエキストラベッドもあります。さらに家にあった発電器を溶接し、車体に取り付け、100V電源を確保。スノボのあとの夕食は、スーパーハウス内で鍋をつつく、なんて事もするそうです。ユニックのための車体を固定する装置もあるので、それを使えば、車中泊では結構不快に感じる揺れることもなく、たとえ駐車場が斜面であっても、いつも車内は水平なままにできて、とても便利だそうです。
 
 いちばんおもしろかったのは、この車でどこかのスノボの大会に出かけるときは、いつも
関係者と間違われるそうです(笑)そりゃ、スーパーハウスを積んだ4tトラックが来たら、まさか一般客とは思わないでしょう(笑) よくスキー場の駐車場のオッちゃんにお金を払おうとすると「どうぞー」と言われるそうです。また、ふだんスキー場に行った時でも、駐車場は「普通車」「マイクロバス」という駐車料金体系ですが、普通車にしては大きすぎるし、マイクロバスではないので、よく係員が困るそうです。でもそのスノーボーダーの方は「バスじゃないから普通車です」と言い張って、普通車料金で済ませるそうです。でも、マイクロバスよりでかいんですね、これが(笑) また、スノボに行くためにトラック用のスタッドレスも買ったそうです。20万円近くしたといっていました(笑)


スノーボーダー井本さんとキャンピングカー(?)

 でも、ほんと素晴らしいキャンピングカーです(笑)このスノーボーダーの弟さんは、この車でスキー場でずっと寝泊まりしていたそうです。普通のキャンピングカーというのは、座席をベッドにするというものだし、車内のスペースもかなり狭く、かなり高価なものばかりです。でも、このスーパーハウスキャンピングカーなら、仕事でも使えるし、おろせば事務所がわりにもなる。なんともすばらしい発想のキャンピングカーですねー(笑)日本中を探しても、こんなキャンピングカーはまず見つからないでしょう。つけ加えるなら、ベッド付のトラック(運転席の後ろに寝ることのできるスペースがある)なので、多人数での宿泊も可能だそうです。また、ちゃんと脚立があって、出入りも快適でした(笑)スノボの板も兄弟二人の板、6枚ほど積んでありました。


すべてBurtonの板 色は年によって変わるそうだ →黄、今年のニューモデルはだそうだ

 これ以外にもおもしろい話があるのですが、とりあえず、ここはこの話で終わっておこうと思います。このごろ長いエッセイばかりなので、分けて書いてゆきたいと思っています。次回をお楽しみに(笑)

’99/5/17