ロマンスの神様

BGM  ”  ロマンスの神様  " Arrenged by Snowman !

 

去年、僕は友人の結婚式の2次会の幹事になりました。僕の友人が結婚するので、幹事を頼まれたのです。そこで、ちょっとした出逢いがありました。結構、いいなと思う女性が幹事にいたのです。

男の幹事の中では、僕だけが彼女がいない。そして、女性の幹事の中で、僕がいいなと思う女性も彼氏がいなかったのです。もう、これは、天から降ってきた話、いっきにやる気全開モードです!

さらにさらに、なんと驚くことに、スキーが大好きだと言うではないか!!彼女は「先シーズンはセットを揃え、ウエアもばっちりの状態だったのに、一緒にスキーをしている友人がなかなか行けなくて、スキーに行こうという誘いもなく、結局一度だけしか行けなかった」というのです。

なんとツいていることに、積雪が11月の早くからたくさんあるという、ラッキーな当たり年!!さっそく、知り合い達と行くスキーに行こうと彼女を誘うと、早速OK!ちょっと信じられない〜♪さらに、「ほかの人とは初対面なので、一緒に滑っていてくださいね」との言葉。もちろんOK!もう気分は、絶好調♪最高潮♪♪(笑)

そしてスキー!もう、スキーというだけでハイテンションになるのに、一人じゃなくみんなでのスキー。さらに女性を引き連れての参加。そして、いちばんラッキーだったのが、スキーバカの僕にとっては何よりも嬉しい、スキー友達で知り合った指導員クラスの人たちも来るというのである。中には今が旬のテクニカル合格者もいるのである。もう、カモがネギをしょってきて自分からすすんで料理をすると言うくらい、至れり尽くせりの豪華な食事のようなスキーであった。

現地では早速、上級者が僕たち下手くそを手分けして、一緒に楽しく滑りながらチェックをいれてくれるということになった。僕が連れてきた女性と僕とはクラスが別になり、離ればなれになってしまった。でも僕は、かねてからの希望通りのテクニカルの人に滑りを教えてもらえるという、めちゃめちゃラッキーな事態になった。もう、しあわせ爆発である!!苦手な小回りを入念にチェックいれてもらい、ようやく自分のおかしなところがわかりかけてきたところで、その日の練習は終わったのである。

でも、終わったのは3時半頃だった。それからは教えてもらったことをひたすら滑りまくって、マスターするという事をはじめるのである。ひたすら滑る滑る。リフト終了の5時少し前まで、身体に動きを覚えさせるために、僕はひたすら滑り続けていたのである。

宿に帰るとすぐ温泉につかり、極楽天国気分。そして風呂から出るやいなや、くつろぐ間もなく食事だった。時間に縛られるという団体行動は、なかなか大変である。食事では、僕が連れてきた彼女は、ほかの女の子と親しそうに話し、とけ込んでいる様子だった。僕はそれを見て安心した。そして、食事はひたすら食べる事にした。あいかわらず、スキーの時は大食いである。みんなと同じ食事時間内でみんなの2倍以上の食事をするので、食べるのも忙しいのである。食べるために費やすカロリーもバカにならないかもしれない。なぜバカ食いするか?それは体力のためである。体力を食事でカバーするためである。それほど食べる必要があるのかと思われるかもしれないけれど、あるのです。なぜならナイターを滑るため。。。

食事が終わると、みんなはくつろぎはじめる。その頃合いを見計らって、すました顔で「ナイター滑ってくる」といって、一人板をかついで出かけるのである。誰一人として一緒に行くような人はいない。なぜなら、車で徹夜でスキーに来たから。それだけでも疲れているのに、スキーをしてさらに疲れて、みな食事のあとは本当に疲れ果てているようだった。ナイターなんてとてもじゃないようだ。本当にお疲れさまです。でも、みんなは車の中で走っているときにグースカ寝ていたけれど、僕はたった一人で大阪から志賀高原まで運転してきたのである。運転手が僕以外にいなかったから、僕一人でぶっ通しで、ぶっ飛ばして運転していたのである。それでも僕はナイターに行く。みんなには「あいつ絶対体力が持たない」とささやかれながらも。。。

ナイターは9時まで。もちろん滑るのも9時まで。ひたすら滑りまくるのが僕の練習方法。いい滑りを探すために滑り続け、いい滑りを見つけたら反復練習をするために滑り続け、さらに上を目指すために練習し続けるのである。ましてや、テクニカルの人に教えてもらったことを何とかマスターしたいから、滑り続けるのである。でも、なかなかうまくいかないところがスキーのむずかしいところ。さんざん悩んで、今ひとつ収穫のないまま、この日のスキーを終了した。

ナイターが終わり宿に帰ると、宴会が待っている。素早く温泉に入り筋肉をほぐし、マッサージをしてあげ身体をいたわり、風呂から上がっては板のワックスがけを手早く済ませ、宴会に突入するのである。宴会ではたくさんビールを飲みまくる。気のおけない仲間と飲む酒は格別!もうひたすらわけのわからないスキーネタのバカ話で盛り上がるのである(笑)こうしてスキーの夜は更けてゆき、いつしかみな眠りにつきはじめる奴が出る頃、みなちらほら部屋に帰ってゆく。そして12時頃就寝。

次の朝はきちんと6時半には起床し、温泉に入り朝から大盛りの朝食を済ませ、8時半のリフトに乗れるようにするのである。いつも思うんだけれど、スキーは本当に健康的な生活リズムになる。。。その次の日も、みんなで班分けして滑りながら教えてくれる講習。でも2日目は昼まで。昼からはまたひたすら自分で練習する、滑りまくりのパターンである。もう、このころになるとゲレンデにいる人の顔なんて見ることもない。ゲレンデに人がたくさんいようと、狭くなるコースに人がいようと、まったく関係がない。滑るのみである。

でも、時たまリフトであう友人から、「おまえの連れてきた女の子、どうなっているのか?」と聞かれたけれど、そういえばどっかで滑っているんだろうなぁと答えるのみで、ひたすら自分の滑りを磨く事に必死になっていた。僕はもっぱら急な斜面が大好きで、主に上級者コースで滑るので、中級者初級者向けのコースで滑る彼女とはまったく会わないのである。そんなこんなで、この日もリフトが止まるまで滑り、さらに初日と同じくナイターまでまた滑ったのである。もちろん、宴会もばっちり参加。こうして、二日目も楽しいスキーの夜は更けてゆきます

3日目も朝からスキー。この日はみんな、てんでバラバラで滑るのである。この日僕は、中級者向けのコースにできたコブを大回りで滑ることが楽しくて仕方がなかった。時折友人が来て、別の斜面に行こうと誘いをかけてくるけれど、モーグラーの合間を縫って大回りでコブを飛んでいくのが楽しくてやめられなかった。また、テクの人があきれた顔をして僕の所に来て、ちゃんとしたコブの滑り方を教えてもらったりして、ほんとに楽しかった。

三日目の夜もナイター。三日間連続、朝から晩(ナイター)までスキーをしたのである。滑りだめ状態。スキーには十分な休息が大事だと言っていた友人は、僕の滑りが日に日に変わるのを見て、最後は何も言わなくなった。彼に僕は「筋力は、筋肉痛が来てそれでも滑り続けることで初めて新しい限界が見えてくる」と言っていたのを半分バカにされていたけれど、目の前で実証してやったのである。また、絶対体力が持たないと言っていた友人は、感心してくれるよりもあきれかえって半分僕をバカにしていた。でも、バカにされても仕方がない。スキーでバカにされるのは、スキーバカにとって勲章みたいなものだから(笑)

そして、三日目のナイターのあとの宴会。なんだかんだとスキーのバカ話をしていたのですが、ふっと、僕の友人が僕の連れてきた女性に「なんで一人で滑っていたの?」と聞いているのを耳にした。「えっ?」っと驚いて僕がその二人を見ると、僕の連れてきた女の子は「ゆきおさんが一緒に滑ってくれるって言っていたのに、いつもいないんですよ。だから仕方が無く一人で滑っていたんです」

そう、僕は彼女のことはすっかり忘れていました。おそらく彼女はほかのに人に教えてもらっているんだろうと、勝手に都合のいい解釈をしていたのです。また、さらに僕がスキーに誘うとき「一緒に滑る」と約束した、そのことをすっかり忘れていたのです。あぁ・・・僕はなんてバカなんでしょう。。。スキーになるともうすっかり忘れてしまうんです、何でもかんでも。。。そこに雪があるというだけで舞い上がってしまい、何もかも忘れていたのです。その時僕は、弁解の言葉が一つも見つからずに、あいた口がふさがらなくなってしまいました。。。

そのあと、彼女とどうなったかはご想像におまかせします。いまもあいかわらず、ぼかぁ売れ残り製品です。また、あとで聞いたのですが、その時一緒にスキーに行ったほかの女の子からは、僕に関してあまりにもひどいと非難轟々だったようです。。。(しゃーないやん!文句は雪に言ってくれ!!)

 

 

でもね、言い訳かもしれませんが、みんなバラバラになって滑っているときでも、その彼女は指導員クラスの人から、たくさん教えられていたという話を聞きました。だから彼女も、教えてもらえてとてもよろこんでいたそうです。そりゃ、僕なんかよりもめちゃくちゃうまい人に教えてもらえる方が、よっぽどいいでしょう。また、人気もあったようで、一人で滑っていても、よく一緒に行ったメンバーたちから、一緒に滑ろうと声をかけられていたそうです。僕がときどきリフト上から見ると、うまい人たちと一緒に滑っているのを見かけていましたから。だから、ずっと一人で滑っていたのではなく、時たま、一人になって滑っていたようです。でも、たった一人、声をかけていない男がいました。が、それは僕なんです。だから困った話なのです。

1999年6月アップ !