零下20℃の世界

 

 

 スキー場で車中泊をよくするんですが、この頃はエンジンをかけっぱなしで寝ないようにしています。自然のためにも、エンジンのためにも、そして排ガスで命を落とさないためにも(降雪により、排ガスが車内に流入して、車中泊の方たちが亡くなる事故がよくあります)寝るときは、エンジンを切ってから眠りに入ります。そのための、手順があります。

はじめはヒーターがかけてあるので、車内はとても温い。だから、

  1. 眠る30分前にはヒーターを切ります。
  2. 20分もすると、外気の猛烈な寒さが車内に充満してきます。ここで、ジャージを上下着ます。
  3. そして、もっと寒くなると、スキーウエアを着ます。寒くなる前に着ると暑くて仕方がないのです。
  4. んで、スキーウエアのチャックを首の上まで締めて、耳当て(ヘアーバンド)をして、フードをかぶります。
  5. そして、シュラフの中に入って、チャックを締めます。

完全防寒対策です。これで、ようやく眠りにはいることができます。明日のスキーを夢見て、おやすみなさい。。。

 が、しかぁーし、冬の雪山はこんなもんではしのげない!!
車の運転疲れで、眠りにつくのはとてもはやい。けれども、眠りに落ちてから、2時間もせずに目がさめる。
「さっ、さむい。おおおおおおおおおさむい。うおぉぉぉぉぉーーーさむいじゃないかぁ!なんちゅうさむさだ!」

 窓を見ると、水蒸気が窓にへ張りついて曇っているけれど、凍っている。そういえば、スキー場の天気予報には、最低気温がマイナス23℃と書いてあった。まさか、おそらくなんかの間違いだろうと思っていたけど、この寒さはなんだ。どうやら、この寒さからすると、ほんとうだったんじゃないだろうか!指一本動かすのがいやなくらいに、体が冷えきっている。鼻が冷たくてもげそうだ。ひょっとして、バナナで釘が打てるんじゃないか?そんなバナナ!

 寒くて嫌がる体を、無理矢理動かして、ようやく車のエンジンを入れる。ディーゼル独特のクランク音がやけに重い。あまりの寒さに、エンジンオイルが凝固しかけているのだろうか。。。 が、なんとか動いた!よかった、これで動かなければ、ほんとうに凍死するところだった!エンジンオイルの手入れや、寒冷地用の軽油、それに、バッテリーのチェックは忘れると、ほんとうに車が動かなくなって命取りになりかねない。あぁ、車に愛情をかけていてよかったなぁと思う瞬間。

 でも、なかなか氷点下20℃の世界ではヒーターが効かない。20分くらいしてようやく、車内が暖かくなる。暖かくなるまでの時間の長いこと。やっぱり自然のすごさを痛感してしまいました。表現できないくらい、キンキンにさむかった・・・

 

 

スキー場に車でゆくときは、ほんとうに気をつけましょう。エンジンオイルとバッテリーと燃料は、油断すると場所によっては命の危険につながります。

とくに、ディーゼル車は、軽油が凍ってしまうことがあります。軽油は、必ず現地付近で給油して、寒冷地用の軽油にしてから目的地へ出るようにしなければいけないんです。都心部では、温暖地方の軽油なので、極寒の地では凍ってしまうのですね。

また、バッテリーも要チェックです。エンジンオイルも、重要ですよ。

付け加えるなら,ラジエター液も見ておいたほうがいいっすよ。凍り付くと、冷却水が循環せず、エンジンがオーバーヒートし、最悪故障します。この故障は、自走できないために、レッカーになります。

でもやっぱり、一番怖いのがバッテリーが上がることです。人がいないところで、車が動かなくなったら、ほんとうに命にかかわりますから。

スキーにゆくときは、車の日常点検を忘れずにしておくことをおすすめします。

このエッセイは、もともと僕個人のエッセイ集にあったものですが、危険な体験談のところにもリンクを貼りました
ですので、背景やイラストが違っていますが、どうかお許し下さい

1998年6月 HPスタートと同時にアップ

 

2001年2月22日追加更新

HP制作時にアップした内容と関連のある話をいただきましたので、追加という形で紹介させていただきます。ディーゼル車の燃料が凍結した実際のお話がありますので、ディーゼル車に乗っておられる方は、ぜひ参考にしてください。

 

 ●雪道のディーゼル車 by 黒崎さん

  
燃費の良さやや燃料代、トルク感などでディーゼル車に乗られている方も多いと思います。(最近非常に嫌われ者ですが・・・)

 ただし軽油というのは「凍結」します。(実際の凍結温度は不明ですが) 私の友人が以前、蔵王方面にスキーに出かけた際に、あまりの寒さのために凍り、燃料ポンプを破損して車を置いて帰ってきた、ということがあったそうです。

 このような事故を防ぐには、現地のガソリンスタンドで燃料を入れることです。雪の降る地方の軽油は、冬季の間、「冬軽油」と呼ばれるものになっていて、凍結しないように成分調整をしてあるので安心です。少なくとも、満タンにした状態で半分は現地の燃料にしておいたほうが良いようです。私の場合は現地のスタンドに着くまでに、燃料の残りが10〜20Lくらいになるように燃費計算をして、そこで満タンにする、といった方法をとっています。

 関東近辺であればそんなに起こり得るトラブルではないでしょうが、備えはしておいたほうが良いでしょう。もしやってしまったら、車引き上げ代やら修理代などで、その年の雪山はお預けになってしまいますからね。

 

実際に軽油が凍結した話は、なかなか聞く機会がないですが、実際に軽油が凍結してしまったという実話です。軽油が凍結した場合、エンジンがかからないだけではなく、燃料ポンプを破損して車をおいて帰らなくてはいけないようになってしまうこともあります。ディーゼル車に乗っておられる方は、十分ご注意してくださいね!

黒崎さん、たいへんありがとうございました!

2001年2月22日追加更新