O' Sole Mio 〜しあわせ家族計画〜
先の大戦終結後。
ある人は自分の信じる新たな場所へと向かい、ある人は元いた場所へと戻っていった。
ラクスとアスラン、ディアッカはエターナルで故国プラントへ。
国の再建のため、カガリはクサナギと共にオーブへ戻った。
既に地球連合軍とは決別していたアーク・エンジェルのクルーたちは、亡命を認めてくれたオーブへと向かう。
そして・・・故郷のヘリオポリスを先の大戦で失ったキラもまた、両親の待つオーブへと向かった。
プラントへ戻ったラクスは暫定評議会の議長として、世界を平和に導いている。
そして、アスランもまたザフトに復隊し、最高司令官に就く。
父の過ちを償い、大戦で失われた命に報いるため、この平和をただひと時のものとしないように・・・。
ラクスもアスランも、表舞台から身を引くつもりだった。
しかし、ザフト、地球連合軍のどちらにも属さず、自らの力で愚かな戦いに終止符を打った『新しい世代』への人々の期待は高く・・・請われるままの就任だった。
一方、オーブへ向かったキラの平和な生活は長くは続かなかった。
ただの一市民として過ごしていたキラの元に・・・ある日1通の手紙が届く。
真紅の蝋のシーリングを施されたクラシックな封筒をあける。
ザフトのエンブレムが透かしに入った便箋に、よく知った丹精な文字がブルーのインクの万年筆で綴られていた。
「・・・毎日メールしてくるくせに」
彼の、意外にこういう古風なところが好きなのだ、とキラは淡く微笑む。
ベッドに寝転がってキラは文字をもう一度追う。
彼が諮詢していることは、文面からよく分かった。
彼自身、あまり乗り気ではなく、おそらくキラ自身もあまりのり気でないことをも知りつつ、それでもあの手紙を書いたことも。
「・・・どうしようかな」
そういいながらも、自分の心がもう決まっていることはキラ自身、分かりきっていることだった。
準備時間はない。
明日から少し忙しくなるな、と呟く。
オーブへ戻ってからの,、平和で穏やかだった生活が終わりを告げることを感じていた。
「・・・というか」
ごろり、とベッドの上でキラは寝返りをうつ。
仰向けになっていた躯が、うつ伏せになる。
脚をぶらぶらさせながら、彼はそっと呟いた。
「・・・これって、見方を変えたら恋文だよ。書いた本人・・・分かってるのかなぁ?」
くすくすと笑いながら、便箋に頬を寄せる。
久しぶりに逢うことになる、濃紺の髪の恋人を想いながら。
(中 略)
ちなみに、三日間、ラボへ泊まり込みだったため、自宅へ戻るのも三日ぶりだったりする。
たまにもアスランのためにちゃんとした夕食を作ろう、とスーパーで食材を山のように買い込んで帰宅したキラは、料理本を片手にまずは野菜と悪戦苦闘をする。アスランはキラが作る料理は何でも美味しいと言ってくれるが、中でも、和食が好きだ。
「・・・和風ハンバーグと、煮びたし。・・・あとは肉じゃがでもつくるかな」
本当はもっと凝ったものを作りたかったのだが、いかんせんキラも疲れ果てていたため、容赦してもらうことにした。
そして、料理の本に悪戦苦闘をしていると・・・インターホンが鳴る。
『・・・キラ?扉、開けてくれる?』
両手に荷物でも持っているのだろうか。
そうインターホン越しに告げる声に、キラは了解の意を告げる。
普段ならば、自分でロックを解除して入ってくる筈なのに。
請われるままに、旦那サマを出迎えるためにぱたぱたとスリッパの音を響かせて玄関へと向かう。
「アスラン!お帰りなさい!!」
がちゃり、と扉を開いて抱きつこうとしたら・・・無遠慮にキラを見つめる二対の瞳があった。
「・・・・・・え?」
ただでさえ大きなアメジストが、三割増しで見開かれる。
「あ・・・キラ・・・驚かないで欲しいんだが・・・」
ザフトの真紅の軍服を纏った最高司令官殿は、困り果てたように苦笑した。
その両手には、荷物ならぬ・・・ふたりの子供が抱かれていた。
*ちょっと一言*
はい。というわけではじまりました。新婚アスキラ子育てシリーズです。
世帯主アスランパパと、その愛妻キラママ。
そして、ママ大好きでパパには容赦のない次男シンと、手のかからない『いい子』だけどマイペースでつかみどころのない長男レイのお話となっております。
これは、既刊の本とは全く違う色合いで、かなりギャグ度の高いシリーズです。
SSSをシリーズにしたと思っていただければ本望です。
このお話に関しては、整合性とか深い話は求めないでくださいね。(涙)
もうすぐコピー本が底を尽きそうなので(涙)はじめての方にもお気軽に手を取っていただけるように価格もサイズも控えめ(笑)な本を創りたかったのです。
あとはあたしの原稿時間短縮したかった・・・というのもありましたが、編集と製本が大変だからあまり意味はなかった・・・。(笑)
・・・でもね。
書いていて異常に楽しい!!んですよ。(笑)
というわけで綺阿はお気に入りのシリーズとなりました。
全年齢向きですので、どなたさまでもどうぞ。(^^)
数冊くらい?続きそうです。
イベント毎に発行予定で、通販枠も設けますので、イベントにいけない方はどうぞご利用くださいませ〜。
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