もう年の瀬。学校も短い冬休みだ。
首都カグヤの進学校に居れば、今頃は毎日あくせく予備校通いをしていたのかもしれない。
が、大海原に浮かぶちっぽけな島の上では就職組も多く、全国模試での順位の変動などに一喜一憂する雰囲気ではないのだ。
そういうわけで、灰色の受験生、シン・アスカ(十八歳)も、大晦日だというのに、のんびりと庭で落ち葉焚きをしていたりする。
「おにーちゃん、お芋焼けた?」
「もうすぐじゃねぇか?」
焚き火の中には、アルミホイルに包んだ鳴門金時を忍ばせている。
今頃、ほくほくになっていることだろう。
シンは枯れ枝で焚き火をがさがさつつくと、中にあった焼き芋をひとつ取り出してみる。
「熱いからな。気をつけろよ?」
「うん!」
四つ年下の妹、マユが真剣な顔でアルミホイルをはがしている。
さつま芋の皮を剥き、ほっこりと湯気の上がるそれを口に入れる。
「おいしい・・・!」
にっこりと微笑む妹に、シンは紅の瞳を細める。
喘息持ちで、小さい頃から病院通いを続けていたマユも、この島へ来てからとても健康になった。
元はといえば、コズミック・イラ七十一年に、突然、大西洋連邦がシンたちの母国、オーブ連合首長国へ侵攻したことではじまった戦乱を逃れて疎開してきた小さな島だったが、いつの間にか、シンにとってもマユにとってもこの島こそが『ふるさと』と呼べる存在になりつつあった。
棲む人も少ない小さな島には鉄道がなく、定期バスも一日六便通るだけ。役場も学校もひとつしかない。はっきり言ってド田舎だ。
けれど・・・アスカ一家はこの小さな小さな島に定住してしまった。
それは、売れないSF小説家だった父、トシオ・アスカが出版社にすすめられるがままに、この島での生活を『スローライフのススメ』と称して著作に記したところ・・・それがベストセラーになってしまったことだけが理由ではない。
島では、時間がとてもゆったりと流れている。都会であくせく時間に追われた生活をしていたシンは、まずこの流れるスピードの違いに驚いた。
それだけではない。この島に棲む人は、恐ろしく人がいい。
島民全員が『いい人』なのではないかと思うほどだ。(実際、犯罪率はゼロらしい)
誰もが他人のことを自分のことのように思いやり、譲り合う。
顔を見たら知らない人でも挨拶をするだとか、玄関に知らないうちにご近所の方がダンボールいっぱいにとれたての野菜を入れておいてくれたり。街の生活ではありえないそういうことが、この島では日常茶飯事なのだ。
不便なところもあるが、のんびりとして温かいこの島での生活がシンもマユも気に入ったのだ。
(まあ・・・理由はもうひとつあるけど)
見事なまでにぷりぷりの鳴門金時(ちなみに、これもお隣さんからのいただきものだ)を枯れ枝でつつきながらシンはひとりの少女を思い浮かべる。
(そういえば・・・焼き芋好きだったっけ)
シンと同じ年の頃のその少女は、もっぱら色気より食い気。おいしいものが大好きなのだ。
彼女の好みは大体把握できている。おそらく、この甘くてほくほくの焼き芋も、彼女のお気に召すことだろう。
「ええと・・・焼き芋、何個つくったっけな・・・親父の分と、おふくろの分と・・・」
「マユ、もう一個食べたい〜!」
「・・・はいはい。ええと、あっちは・・・センセーの分と・・・あいつらの分・・・四つあれば足りるかな」
ぶつぶつ言いながら、シンはまだくすぶっている落ち葉の中からごそごそと焼き芋を取り出す。
「お兄ちゃん、それ、どうするの?」
「ん?・・・ちょっとな」
言葉を濁していたら・・・勘のいい妹はあることに気づいたらしい。
「あー!また自分だけクロネコ先生のところに行くつもりだー!」
叫ばれた言葉に、シンは内心あちゃーと呟く。
「あたしも行く!あたしもー!」
マユはシンの腕にぶら下がる。右手に持った焼き芋を落とさないように注意を払いつつ、シンは妹を宥めにかかる。
「・・・なんでオレがあそこに行くって思うんだよ・・・」
「だって、焼き芋四つだもん!センセーのと、アレックス先生のと、キラさんのと、ステラちゃんのでしょー!」
「・・・オレん家の家族も四人だろうが・・・」
左手にマユをぶら下げながら、シンは勝手口から台所へと上がる。
「あら。シン。焼き芋?」
「この前、サトーさん家からもらった鳴門金時。親父と食べて」
でん、と机の上に焼き芋を置くと、エプロンで手を拭いた母は瞳を細める。
「まあまあ。おいしそうね。マユちゃんは?」
「もう食べたー!」
だから、これはパパとママの分、とマユはにっこりと微笑む。
「あら。なら、お兄ちゃんが持ってるのは何?」
目ざとくシンが抱えていたものに目を留めた母は、おっとりと問う。その言葉に、ぎくりと体を強張らせたシンはそそくさと部屋を出ようとした。
「あ、オレ、ちょっと出かけてく・・・」
「お兄ちゃん、ズルい!アレックス先生のところに行くんでしょ!マユも行くー!」
後ろからがっちりと抱きつかれ、シンは困った。
「マユー。離してくれー」
「あら。クロサキ先生のところに行くの?なら、これ、届けてちょうだい」
じゃれあう兄妹を見ていた母は、くすりと笑って風呂敷に包まれたものをシンの前に置く。
「・・・何だ?これ」
「お重よ。クロサキ先生のところに行くんでしょ?お届けしてきてちょうだい。あちらは、男所帯でしょ?きっと、お正月の準備も出来ていないんじゃないかと思うのよ」
どうやら、紫の風呂敷の中身はお正月のおせち料理らしい。
そういえば、昨日から母親が黒豆やらお煮しめやら栗きんとんやらの数々を丹精して作っていたことを、シンはぼんやりと思い出していた。
「先生には、マユちゃんがお世話になってるから」
島でたったひとつの診療所の老先生、クロサキ先生はマユのかかりつけだ。
今ではすっかり喘息もましになったマユだが、島へ来た当初は体調を崩してよく医師の世話になっていたのだ。
「クロネコ先生じゃないのー、マユの担当はアレックス先生!」
にっこりと微笑みながらマユは宣言する。
この島では珍しい洋風の旧い建物であるその診療所には、ふたりの医師が居る。通称『おじいちゃん先生』と呼ばれるクロサキと、『若先生』と呼ばれるアレックスだ。クロサキはアレックスの恩師にあたる。一時期、体調を崩して本当の病院へ入院していたクロサキの代わりに、この島へやってきたのだ。
夜のような少し癖のある闇色の髪にエメラルドの瞳。まるでモデルのような丹精なマスクに、すらりとした肢体。医学書数冊分の知識をつめこまれた頭脳。
ただでさえ若い青年の居ないこの島において、彼は貴重な人材だった。彼を目当てに診療所を訪れる人は、老若男女後を絶たず・・・シンの妹、マユも彼のファンのひとりなのだった。
「・・・ここは、妹の趣味のよさを褒めてやるべきか、それとも、早いうちに人生の挫折を教えてやるべきか・・・」
うーん、とシンは悩む。
「待ちなさい。シン」
その時、階段から降りてきた人物とシンは正面から向き合う形となる。
「げげっ!親父・・・!」
仁王立ちで立っていたのは、アスカ家当主トシオ・アスカだった。
「おまえに話があるんだが」
「・・・オレはないんですけど・・・」
小声で呟いてはみるが、哀しいかな、養われている子供の身とあっては我侭も言いづらい。そのまま、首根っこを捕まえられ、父の書斎へと引きずり込まれた。


(中 略)


「こんちわー」
さすがに、大晦日とあっていつも人でいっぱいの診療所にも、『本日休診』の札がかけられている。
コンコン、と扉を何度かノックしたが返事はない。
「おやすみじゃないの?」
シンの後ろから、ついてきたマユがぴょこりと頭を出す。
「・・・奥かな」
診療所の奥がクロサキ医師とその家族の居住スペースとなっている。そんなプライベート・ゾーンにもいつもフリーパスのシンは、裏庭の方へとまわると、勝手口の扉をがらがらと開けた。
「こんにちはー」
「あ、シンくん。こんにちは」
「キラさん、こんにちは!」
アレックスの次に大好きなキラの姿を認めたマユは、よそゆきの笑顔でにっこりと微笑む。
「あれ?今日はマユちゃんも一緒?いらっしゃい」
いつものように、微笑んでふたりを出迎えてくれたのは診療所の受付を担当しているキラだった。


―――約半年前。
妹のマユが熱を出し、島で唯一の診療所(病院ではない)へ薬を取りに行ったシンは、そこでおじいちゃん先生の代わりに鳶色の髪の青年に出迎えられた。
彼の名はキラ。その天使の笑顔は、患者たちの心を癒すと有名だ。
そして、急に本土の病院へ入院することになったクロサキの代理でこの島にやってきたのは・・・アレックスだった。
「あ。シーン!」
声が聞こえたのだろう。奥の間からぴょこりと顔を覗かせたステラが、シンの姿を見つけて駆け寄る。その足元には黒い猫がまとわりついている。
いつもステラと一緒のこの診療所の看板猫、黒猫のタンゴだ。
ちりりん、と紅い首輪につけた小さな鈴の音が鳴る。
「ステラ!」
「シーン!」
ひさしぶり、と少女はまるで自分が猫のようにシンの首に飛びついた。無邪気な行動とはいえ、同じ年頃の少女に思い切り飛びつかれると辛い。思わずシンはよろめいた。
彼ら兄弟は、妹、ステラと共にこの診療所に棲んでいた。
いつも天真爛漫なステラは、シンの通う高校には居なかった。
彼女は先天的な遺伝子異常で知能が少し遅れていたのだ。
けれど、アレックスとキラは、親代わりとなってステラに惜しみない愛情を注いでいた。
美形の若い医師と、優しい笑顔で患者に接する受付の青年。そしてその妹ステラと診療所のマスコット、黒猫のタンゴ。
彼らはあっという間にこの島に溶け込んだ。
そして、シンはいつの間にかステラにひかれるようになっていた。


「アレックス先生、こんにちは!」
目的の人をみつけたマユは、兄を放り出して大好きなアレックスに駆け寄る。
「マユちゃん、久しぶりだね。もう咳は出ない?」
淡い笑みを浮かべると、青年医師はマユの頭を撫でる。
「うん!大丈夫。アレックス先生がくれたお薬が効いたから!」
「きっと、マユちゃんがいい子にしてたからだよ」
王子様スマイルでそう言えば、その笑顔に悩殺されたマユは頬を赤らめた。
「そういえば、何の用だ?シン。おまえ、受験生のくせに勉強しなくていいのか?」
『若先生』は患者には甘いがシンにはけっこう容赦がない。ズバりと痛いところをついてくる。
「・・・こんな時にまで受験生扱いして。うちの親父みたいなことを言わないでくれます?」
シンは唇を尖らせる。
そんなふたりのやりとりを見ていたキラは、ひとりくすくすと笑っている。
「・・・キラさん、笑ってないでさ」
「そうだ。シンくん、何かもってきてくれたんでしょ?」
苦笑しながら、キラはシンが机の上に置いた紫ちりめんの風呂敷を指差す。
「うん」
「なぁに?これ。プレゼント?」
興味深々といった様子で、ステラは中身が何なのかを伺っている。
早速、結び目を解くと、中から出てきたのは黒い塗りの重箱と、新聞紙に包まれた物体だった。
「キラぁ。これ、なぁに?」
わくわくと、期待を抑えきれない瞳でステラはキラに問う。
「じゃあ、まずは新聞紙からかな?」
「うん!」
がさがさという音をさせ、新聞紙を開くと・・・中から出てきたのは、ほくほくの焼き芋だった。
「お芋!」
ステラの顔がぱあっと明るくなる。
「うん。ステラの大好きなお芋さん。よかったねぇ」
その中の一番大きなものを手渡してやると、ステラは赤紫色の瞳を嬉しそうに細めた。
「シン!」
「な・・・なんだ?」
名前を呼ばれ、シンは慌てて少女を見詰める。
「ありがとう!」
純粋に向けられる好意が眩しい。シンは照れくさそうに笑った。
「いや、別に・・・。そうだ、ステラ、こっちも見てみろよ」
「うん!」
塗りの重箱の一番上の蓋をぱかりと開けると・・・中には、ぴかぴかの黒豆や柔らかく煮たこぶまき、真っ赤な海老の煮物など・・・素敵なお料理がたくさんつまっていた。
「わぁ!これ、おせち?手作りだよね。ありがとう!」
「ああ・・・ここ、男所帯だから、こんなもんは作ってないだろう、って・・・おふくろが」
「アスがちょこっとは作ってくれたけど、ここまで本格的に・・・はね。お母さんにありがとう、って伝えておいてね」
「ああ。分かった」
返事が若干ぶっきらぼうになってしまったのは赦して欲しい。(照れ隠しなのだ)
「あ、ひょっとして、マユちゃんも手伝ってくれた?」
ふと、キラは隣に居たマユに話しかける。
「うん!マユも手伝ったの!ええとね、卵の殻をむいて、にんじんの型を抜いて・・・それから・・・」
「そう。頑張ったね。ありがとう」
キラはふわりと微笑む。
相手が男だと分かっていても、シンでさえどきりと胸が弾んだ。
さすが、島内にもファンの多い『癒しの天使』だ。
「・・・それはそうと。年末大掃除ですか?珍しいですね。アスラ・・・いや、アレックスさんのそんな格好」
つい、いつもの調子でしゃべりかけるところだった。今日はマユが居るので、普段のようにはいかない。
「・・・どっちかにしろ。中途半端は気持悪い」
そんなシンの態度に、青年は眉を顰める。
「・・・あんたのせいでしょうが」
「ごめん、ごめん。確かに困るよねー。まあ、今日は内輪だし、『アスラン』でもいいよ」
むくれてみると、何故だか彼ではなくキラが答えてくれた。
濃紺の髪を後ろでひとつにまとめた『若先生』は、いつもの白衣の代わりに帆布のエプロンを身につけている。普段、診療所での格好しか見慣れていないため、何やらその様子が新鮮に映ったのだ。
そんな彼には、大きな秘密があった。
普段、『アレックス』と名乗っている彼だが、その名前は真実の名ではないのだ。
「分かったよ。じゃあ、いつもみたいに『アスラン』って呼ぶ」
シンはちらりと妹を見て、そう言った。
当のマユは、といえば、ステラと一緒になってタンゴと遊んでいるので、この会話は聞いていないだろう。
そう言えば、それを了承するかのように、アスランの翡翠の瞳がゆるりと細められる。
「アスは家事のプロだからねー。何やらせても凄いんだよ。掃除、洗濯、料理。ぜーんぶ、か・ん・ぺ・き。いつでもお婿に行けるよねー」
まるでキラは自分のことのように自慢気に微笑んだ。
「じゃあ、もらってくれるか?」
ふっと微笑んだ美青年は、キラの細い腰に腕を回す。
「うん。もちろん!」
(・・・ってか、アスランさんが婿に行くってより、キラさんが嫁に行くの方が正しいんじゃ・・・?というか、もうすでに結婚してる雰囲気だろう。この万年新婚夫婦・・・!)
内心でシンは呟く。
世間的には兄弟という関係になっているアスランとキラだが、その実は、血の繋がりのない赤の他人である。
いや・・・確かに血は繋がっていないが、彼らは深い想いでつながった恋人同士なのだ。
同性だから、という偏見は最初からなかった。
それはおそらく、彼らが互いのことを何よりも大切に思っていることがシンにも伝わったからだろう。
「・・・顔がよくて、頭もよくて、家事も完璧?・・・やめてくださいよ!マユの教育上、非常によろしくない!」
「・・・マユちゃんに・・・?なんで?」
小首をかしげたキラに、シンはきっぱりと言った。
「あいつ、すっごいアスランさんファンなんですよ。世の中の男が、みーんなアスランさんみたいな人ばっかりだと思ったら、あいつ、嫁にいけません!」
その言葉に、アスランとキラは顔を見合わせる。
「まぁ・・・確かにそうかもね」
くすくすと笑うキラを、アスランは背中から抱きしめる。
「・・・マユちゃんにも、いつか素敵な恋人ができるさ。俺みたいに・・・ね」
そう言って、アスランは大切な恋人の頬に軽いキスを送る。
(うわーっ!)
こっちの教育上もよろしくない!と、シンはタンゴに夢中になっているステラとマユの瞳を手で覆う。
「・・・シン?」
「おにーちゃん?」
ふたりの少女は不思議そうに問う。
「なんでもない。おまえらは見ちゃダメだ」
そんな三人の様子を、当の張本人たちはのんびりと顔を見合わせて笑っていた。
「・・・大体、アスランさんみたいな完璧な男、イヤミ以外の何者でもありません」
シンは大きなため息をつく。
彼の本当の名は、アスラン・ザラ。先の戦争を影で終結させた『英雄』だ。真紅のモビルスーツ[ジャスティス]のパイロットだった彼の経歴を知る者は少ない。
優秀なコーディネイターの中でも、ほんの一握りのエリートにしか与えられないというザフトの紅の軍服。それを纏った彼の姿は写真で一瞬しか見たことがないが、男の自分が見惚れるほど自然に着こなしていたように思う。
しかし、その名も、地位も誉れも名声も・・・彼はたったひとりのためにすべて捨ててきたのだ。
彼が自分よりも大切にしている幼馴染であり、アスランと共に先の戦争を終結させた英雄のひとり、キラ・ヤマトのために。
「・・・完璧?そうでもないぞ」
「そうですか?」
半眼で軽く睨むと、くつりと笑って元英雄はのんびりと言った。
「ただの家事と機械いじりしか能のない、町医者だ」
その回答に、彼の隣に居たキラはくすくすと笑う。
『ただの』ではないことは、長い時を共に過ごしている幼馴染兼恋人のキラが一番よくわかっていた。
「キーラ。これ食べる?」
足元からキラを覗き込むのはステラ。
シンが持参してくれたおみやげその二。鳴門金時の焼き芋を、何時の間にかステラはおいしそうにほおばっている。
「そうだね。お茶にしようか。マユちゃんとシンくんも、おやつ食べる?この前、おいしいクッキーもらってね・・・」
自室の掃除をしているクロサキ先生にも持っていってあげよう。
立ち上がったキラは、不意に視界がぐるりと回ったように感じた。
「・・・っ・・・!」
「キラ?どうした」
思わず、傍らに居たアスランのシャツを掴んで耐える。
「だい・・・・じょうぶ」
ずきん、と痛んだ頭に手を添えてやりすごすが・・・痛みはなかなかおさまってくれない。
「・・・おまえ・・・!」
ぐったりと、もたれかかった恋人の額に手を当てたアスランの眉が釣り上がる。
キラの体は酷い熱に侵されていた。




**Comment**

『こちら黒猫診療所。』の続編です。
というか、同じ設定で書いているというだけなので、前作を御存知ない方でも大丈夫です。
途中の随所に説明が(笑)入っておりますので、お分かりいただけるかと思います。
デスティニーパラレルで、シンはフツーの民間人(笑)です。
アスランとキラが兄弟、ステラがその妹というすばらしい設定です・・・。

で・・・す・・・みません・・・。後編に続いてしまいました。
元々、1冊で終わるつもりだったので、できるだけ早く終らせたいので2月のデスラバで後編を発行いたします。
今度こそ!!


2008.Jun
綺 阿。

©Kia - Gravity Free - 2007