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■「殺人者!」の罵りはいつ始まったのか? 先進諸国には狂信的な中絶反対論者がいるものです。時に中絶の可否をめぐる論争は政治上の争点となったり、中絶女性に対するあからさまな嫌がらせをうんでいます。■むらの時代−−人口調整機関としてのむら 江戸時代の人口は、3千万人から3千5百万人で推移します。260年間で人口はわずかの増加しか示していません。これを農村の人口についてみれば、ほとんど変化していないのです。なぜ人口が増加しなかったのか?その理由は、ある意味で簡単です。穀物の生産量は、人口を規定します。農業生産性の向上による穀物の増産余力は、綿などの商品作物栽培に振り向けられました。つまり、穀物の生産量はほぼ一定していたわけです。このことから人口が一定に保たれました。■こけし人形の話 東北地方の各地でこけし人形が売られています。現在では目のパッチリした可愛いこけし人形もあるようです。でも普通、こけし人形は目鼻立ちが極端に細く、おどろくほど個性に乏しいものです。今では多くの家の飾り棚にもあるこけし人形。その表情はどことなく寂しそうに見えませんか。■家族の時代−−子宝の思想 堕胎間引き禁令は、江戸時代の早い時期から出されています。それには人口増加を善政の証と考える思想が関係しています。しかし、それは女性に対して出されたものではありません。当然のことでした。なぜなら、堕胎間引きを決定していたのは、女性ではなかったからです。それを決定していたのは、つきつめていえば共同体の共同意志でした。■「悲しみ」から堕胎罪へ 近代国家の成立にともない、一部の人々の価値観であった子宝思想は国民全体のものになっていきます。堕胎に対する見方もがらりと変化していきます。といっても、家の中の女性が非難されることになったわけではありません。家族の事情で堕胎が行われることはありました。その場合も、女性が意志決定したわけではありません。女性は依然として意志決定を受け入れる存在であり、悲しみがあっただけでした。■個室文化 欧米は個人主義の国だといわれます。たしかに、そう見えることもあります。しかし、欧米は個人主義の国である、という見方に疑問を抱くようになりました。そこに住む人々は、日本よりもずっと強い心の絆で結ばれているように思えてきたのです。欧米だけではありません。アジアの国でも、同じ事を感じます。心の絆が失われた社会、それが日本ではないかという思いにとりつかれるようになりました。■個人の時代−−愛の思想 個室文化は、女性の生き方を大きく変えました。恋愛があこがれでなく、現実となります。戦前から1970年ころまで続く日本の近代社会では、結婚は「家」の出来事でした。個人的な事柄ではなかったのです。■孤立する女性 私たちの生きている時代は、家族の歴史の大きな変化のただ中にあります。長い歴史の中で、女性が自分の意志で生きていくことができた時代はありませんでした。私たちは、今その時代を生きようとしています。■胸を張って生きていこうよ! 近代社会を開いた市民革命は、自由と平等の理念を掲げていました。自由で独立した個人が作る社会が近代社会のはずでした。しかし、その社会を構成する単位はほんとうに個人であったのでしょうか?いえ、違います。そのように考えるのは幻想に過ぎません。事実は個人の連合というよりも、家の連合という方が当たっています。家を代表する男性には選挙権が与えられました。女性に選挙権が与えられたわけではありません。女性の選挙権は20世紀の出来事です。■中絶天国と揶揄される日本 鰯は数万個の卵を産みます。しかし、産まれる卵の数に関係なく、その中で成魚に育つのは2匹だけです。魚だけではありません。全ての生物は数多くの子どもを産みますが、いずれも基本的には2匹だけが生殖年齢に達します。このようにして、自然界のバランスが保たれています。■人工妊娠中絶数の推移 ■中絶がなぜ多いのか?人工妊娠中絶絶対数統計中絶者の年齢別統計 テクニカルな問題■望まない妊娠と女性の人生 出来ちゃった結婚■自分の人生を自分の意志で決めること 少子化は女性の責任?■■未成年者の望まない妊娠と中絶の問題(2000.09.15加筆) 未成年者の中絶増加は、世界的な問題です。日本でも、未成年者の中絶は増加傾向にあります。■社会的対応の必要性 未成年者の中絶増加に対して、先進各国では対策がとられてきました。ヨーロッパ諸国では、各地に避妊について気軽に相談できる施設が作られ、避妊についての啓発事業を行うとともに、未成年者に対して避妊具を無償または格安で提供したりしています。■日本における望まない妊娠を防ぐ方策の現状 ■女性の健康を優先する対応になっているか(2000.09.14加筆修正) ■コンドームは若年者に適した避妊法か ■補論 法律の観点から(2001.8.28追記) 未成年者の人工妊娠中絶に際して、法律で親権者の同意を絶対的な要件とすることは、憲法第13条に違反します(平成2年度司法試験問題)。もちろん、そのような法律はありません。 |