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父親は小さい頃,「コロ」という名の柴犬の雑種を飼っていました.小学校一年生の頃だだと思います.近所の犬が子供を生んだというので,家族の許可を得て,兄と一緒に貰いに行きました.三匹いた子犬の中から白い毛をした,目のかわいいオス犬を貰ってきました.もう一匹は茶色のオス,残りの一匹は白色のメスだったと記憶しています.
名前のいわれは極めて単純です.体が「コロコロ」と太っていたからです.家の外で飼っていました.「お座り」さえも躾けられていない犬でした.でも,たくさんの思い出があります.狂犬病予防の注射に初めて連れていったときのこと.近くの犬と喧嘩して,耳がちぎれて帰ってきたときのこと.山を一緒に走り回ったこと.池で泳いだこと.等々.
この話には悲しい結末があります.飼い始めて四・五年経った冬のある寒い日のことです.父親(もちろん当時は小学生)が学校から帰ってくると,いつもは「ワンワン」と吠えるコロが静かにしているのです.どうしたのかなと犬小屋をのぞき込むと,そこにコロが横たわっていました.「どうした」と触って見ると,なんと冷たいのです.彼ははじめて愛するものの死を目の当たりにしたのです.鍵っ子だった彼は,誰にも相談できず,どうして良いのか分からず,泣きながらただ「安らかに」とお祈りするだけでした.
死因は,凍死だと思います.本当に寒い日でした.
彼は,多くのことを学びました.可愛がること.愛すること.癒されること.別れがくること.立ち直ること.
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