あわてて作った犬の家

 我が家は借家である.そんな家で犬を飼おうと言うのである.家を借りるときの条件は「室外犬OK」であった.チョコを家に連れ帰った日は寒い日だった.玄関で飼うことにした.寒さを防ぐために,玄関に毛布を敷いた.その上に段ボール箱を置き,中に新聞紙,ペットヒーターとバスタオルを入れた.しばらく元気に走り回していたが,環境の変化に伴うストレスからか,下痢をしてしまった.

 あわてて,親元のブリーダーさんに電話をすると「寒いからだ」とのこと.「暖かくしてあげてください」と言われた.父親はいきなり困ってしまった.大家さんとの約束は「室外犬OK」であった.これではいきなり契約違反になってしまう.父親は考えた,1)このまま玄関で飼う−>風邪をひく−>死んでしまう,2)大家さんに黙って室内で飼う−>もめる−>本末転倒,しかも娘(T嬢)の教育に悪い,3)正直に大家さんにお話しし,外に出せるようになるまで家の中で飼うことを許してもらう.悩むこと30分.何を夕食に食べたのかも思い出せない程である.

 父親は決断した「これはもう大家さんに相談するしかない.ダメならそのときに考えよう」.恐る恐る大家さんに電話をした.事情を説明した.結果は「OK」だった.父親の声の調子に,家族は電話の途中から大喜びしていた.大家さん曰く「そんなに堅苦しく考えないでください」,「犬は懐くと,人間以上といいますから」,「楽しく暮らしてください」.本当にいい大家さんに巡り会ったと思った.父親は「この大家さんのような話し方ができたら良いな」と真剣に思った.

 あわてて,ホームセンターに行った.「室内用ペットケージ」なるものを買った.それ以来,今日も元気にチョコは飛び跳ねている.