全体をふりかえって
音楽の制作には欲が尽きない。まだまだ出来に満足してはいない。 楽譜の品質にも、まだ問題はあったろう。つまらない印刷ミスも残っていた。 (伴奏譜の方ですし、正誤表を添付しますので、実用上の問題はまったくありません)
だが、本書『リコーダーソロイスト』は、「アマチュアがリコーダーを演奏して楽しむ」というフィールドに対して、斬新な一石たり得たことは間違いないと信じている。 この曲集のコンセプトそのものが、従来になかったものだからである。
その新機軸は−−−−−
●初心者から使用できる曲集でありながら、本格的リコーダー独奏曲集たるべく、ほぼ全曲を「リコーダーのために作曲された伴奏つき独奏曲」だけで構成し、アレンジものを廃した。 (例外はバロックの名曲「G線上のアリア」1曲のみ)
●全体の8割以上にあたる16曲が「この曲集のために新たに作曲された曲」である。
●リコーダーと最も相性がいい(そして作曲家が指定した伴奏楽器である)チェンバロの伴奏を、収録した全曲につきCDで添付した。
●必要に応じて、部分練習・ゆっくりな練習などのための伴奏を収録し、練習の便宜をはかった。
という点にある。少なくともこの4点については、過去に例がないだろう。 そして、
●全曲にプロ演奏家による演奏例(模範演奏)を収録した。
という点、過去に伴奏なしの教本などでの例があるとは言え、きっとお役に立とう。
以上のような新機軸が一丸となり、一つの形を取ることによって、この曲集は、従来にはまったく考えられなかった「音楽演奏の楽しみ」をご提供できるものとなった。 それは、「誰でも、家で一人で気が向いたときに、 手軽に本格的な生楽器の演奏が楽しめる」ということの実現である。
これは実は、著者が制作を進めながら、さんざん満喫したことなのだ。 仕事の手をふと休め、リコーダーを取り出し、CDの伴奏を鳴らして演奏する。 歌の「カラオケ」のような大音量とは縁がないから、夜(深夜はともかく)だろうが、狭いマンションだろうが、平気である。 この手軽さ、便利さ、楽しさをぜひ多くのかたに味わっていただきたい。
しかも、曲目は「この楽器のために書かれた曲」ばかりである。 これが重要なことなのだ。 この楽器の本来の美しさを最大限に生かすべく作曲家たちは努力を傾けた。 それだけに、どの曲にも本物だけが持つ真正の音楽的魅力が…。
と書きかけたが、このへんまで来ると、どうやら自賛するにもほどがあるので自粛する。 これ以上語るとすれば、話は、これら新作曲が音楽的にどの程度楽しいものであるか、さらに、伴奏が、どの程度に美しく演奏されているか・・・など、どうしても「品質」的な問題になってくるからである。 これらの点について、いささかの自信がないわけではないが、使ってみていただいた皆さんからのご批判にゆだねたい。
ただ一つだけ言っておくなら、「アマチュアが演奏して(自他ともに)楽しむことを主たる狙いとするチェンバロ伴奏の独奏曲」というジャンルにおいては、この曲集に収録したいくつかの委嘱作品は、注目すべき成果を上げている…と、委嘱者である著者は考えている。 協力してくれた作曲家たちは、けっして使用音や音符の細かさについての厳しい制約を、窮屈で不自由な制約とだけ感じて、うとましがるのでなく、逆にその制約を楽しみながら、実に伸びのびと、その音楽性・創造性を発揮してくれたのである。
最後になったが、この曲集『リコーダーソロイスト』は、そのさまざまな内容構成部分おいて明白な限界を残しているにもかかわらず、
●アルト・リコーダーにすでにある程度親しんでこられたアマチュア奏者のみなさん
●アルト・リコーダーをこれからじっくり楽しんでみようと考えのかたがた
にはもちろんのこと、
●アルト・リコーダーを気軽にちょっとやってみようかな、とお考えいただいたかた
にも、さらには、
●今まで、楽器は何もできなかったが、何か今からでも始められる、やさしくて楽しい楽器があれば、やってみたい、とお考えのかたがた
にとっても、きっと、お役に立てるに違いないと、著者は信じる。
最後に、この曲集の制作にあたり、日本古楽音楽普及協会の皆さんをはじめ多数の古楽器奏者・リコーダー奏者の皆さん、作曲家諸氏、音楽制作者のかたがたから、絶大なるご支援、ご助力をいただけたことに、心より感謝申し上げたい。
平成13年初夏
『リコーダーソロイスト』著者 石田 誠司
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