ガレオン

ガレオン   8戦2勝
ガレオンの戦績

ガレオン
 ガレオン。
その名前を聞く度に、競馬の悲哀を感じます。
「良血」そんな言葉を持って彼を迎えた人達と、その競争生活の中で歯車の狂って行
く様。期待とその裏にある様々なものに彼の脚は耐えきれなかったのかもしれません。
能力を発揮し、100%の力で望み、結果を出せたレースが、彼にはどれ程あるので
しょう?

私が最も好きな馬、それがガレオンです。

 新馬を期待に応えて快勝。
 続く芙蓉Sでは、3着と善戦。次のアイビーSでは、他の有力馬を完封し、優勝。
が、次の府中3歳Sでは、レース中に心房細動を発症し、最下位に終わる。
 陣営は建て直しを図り、春の初戦に若葉Sを選択。結果は、後方より直線のみで
追い上げ、4着。叩きとして、まずまずの結果だった。
 そして本番、皐月賞。
 中団に位置し、直線へ。前が空かず、横に出した所、ステージチャンプの進路を
妨害してしまう。皮肉にも、その一瞬後に元居た場所の前は開けていた。
 そのまま追い込んで、前のビワハヤヒデを競り落とすか、という瞬間にゴール。
 3位入線も、前述の理由により8着降着。
 レースをうまく運べていたなら、勝利を手にしていたのはガレオンだったろう。

 が、ここで日本優駿の出走権を取れなかった事が仇となる。無理なローテーショ
ンを組まざるを得なくなる。中2週でNHK杯に出走。騎乗停止中の主戦杉浦騎手
に換わって岡部騎手が手綱を取る。
 出走権を取るという目的と、疲労を最小限に押さえるという大きな問題を抱えた
レースだった。マイシンザンの後塵を拝したものの、2着に入り、出走権を見事手
中にする。脚と疲労を気にしなければ、勝てたレースだったろう。レースの目的は
完璧に達成された、かに見えた。

 が、この時すでにガレオンの脚は軽いながらも屈腱炎に蝕まれていたという。
 その脚でのダービー出走。
 好位でのレース運び。理想的な位置取り。直線。東京の長い直線を利して、自慢
の末脚を披露する。が、これから、という場所で、勢いがピタリと止まる。
 隣のマイシンザンこそ抜かせなかったものの、4着にとどまった。実は、ガレオ
ンはレース中に屈腱炎を悪化させていたのである(一説には骨折とも)。どこでそ
うなったのか、容易に想像がつく。直線。伸びかけて止まったあたりであろう。

ガレオン
 無事であれば、前の争いに確実に加わっていたろう。
幻のダービー馬と、言われる原因がここにある。
 得てして「幻の」と言われる場合、そのレースに出走
する事が出来なかった馬に与えられるものである。が、
あえて、ガレオンをそう呼ぶ人がいるのは、彼の能力を
信じる人が多いからであろう。
 無事であれば、菊花賞を狙えたであろう。

 岡部騎手をして「5歳になったら、この世代で一番強
くなるかもしれない。大事に使って欲しい」と言わしめ
た能力。ビワハヤヒデの主戦となったばかりだった岡部
騎手は、ガレオンの背中で何を見たのだろうか。


 それはきっと無限の可能性だったに違いない。
 もしかしたら、その夢を息子の背で見てみたいのかも
しれない。


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