じんべえ論



 フジテレビで月曜夜九時から放送していた「じんべえ」も、とうとう終わってしまった。 このドラマは、言うまでもなくあだち充が原作である。 そこで、ドラマなどほとんど興味なかった私でも、いちおうほぼ毎週ビデオに録っていた。 放送が終わったので、私なりの感想と結論をつけてみた。 ま、ご批判等もあると思うが、それは読み終わってからメールなりで頂きたい。ということで、とりあえず以下を読んで下され。
 一読されれば、やたら辛口の評論に思われることでしょう。 しかし、単に「称賛よりも批判の方が楽で、責任も軽いから」などという考えではなく、評価すべきところは評価しています。 あらかじめ。
 先に断っておくと、私はほとんどテレビ番組を見ないので、メインキャラの役をやっている人物たちすら、よく知らなかった。 田村正和からして、顔も知らなければ古畑なんたらのことも知らなかったし、「松たか子、なにそれ?」状態だった。 本当です。 寺西役のくさなぎなんたらにいたっては、いまだにいまいちよくわからない。 よって、彼らに対して、先入観とか固定観念といったものなしで見ることができる。 ‥‥と思う。



反響に感謝!! じんべえに関することなら、どんなことでもいいので、 メールをお待ちしております。



 まず、私見を並べよう。
1、ダメではない。
2、しかし、容認できない。
3、「名前だけ使うな!!!(怒)」
4、田村正和は、ようわからん。
5、みんなして、演技ダメだねぇ。
6、「間」がねえ‥‥。
7、「間」PART2 〜第7話より (12 / 11 追加)
8、結論1・人物(1/ 28 追加)
9、結論2・総論(1/ 28 追加)

以下、解説



1、ダメではない。

 とりあえず、そこそこの出来であるとはいっておこう。 ドラマって、あーいうもんなのか。 その場限りにおいては、けっこう楽しいぞ。
 ただし、私は3ヶ月くらいでくるくる変わるようなドラマには、いい評価はまず与えない。 当たり前である。 アホか?  「じんべえ」みたいな、単行本一冊(やや大きいが)に収まるような話でも、半年くらいはかけてもらわないと作品としての厚みはでない。 私でも、最近の3ヶ月ドラマの題名はいくつか覚えているが、年に2〜3本は「大ヒット」と呼ばれるものがある。 しかし、それらはしょせん歴史としての記憶にはほとんど残らない。 3ヶ月おきに十数本も似たような安っぽいドラマが粗製乱造され、マスコミの関心も視聴者の関心もそちらに向けられ、過去の作品は消え去ってしまう。 「じんべえ」も、おそらくそのようにして忘れられていくのだろう。 あだち作品がそのような扱いをされるのは、先入観のない視聴者として我慢ならない。

2、しかし、容認できない。

 許容範囲にない。 その理由は、後の項目に詳しく書いてあるので、そちらを見てもらいたい。

3、「名前だけ使うな!!!(怒)」

 あれだけムチャクチャやると、もはや著作権とか何とかに引っかかるのではないか? よくわからないが。 あんなのを「アレンジ」といって作り、許容するやつらには腹が立つ。 たしかに田村正和には大人としての存在感はあるかもしれないが、「じんべえ」という存在感は皆無に等しい。 ただの大学教授だし、ドラマ中で「じんべえ」と呼ばれるときは、すごく違和感がある。 なんでそんな奴をじんべえと呼ぶんだ?
 松たか子の美久については、まあいいかな。 かわいいし。とりあえず、主役級のキャラの中では、原作に一番近いかな(あの程度でも)と。 ただ、大学生ねぇ‥‥。 原作では、美久がまだ高校生である、ということが1つの鍵になっていると思うんだけどなぁ。 何かこう、ね、物をわかりすぎてるようだな、って感じる。
 くさなぎの寺西、何あれ。 端役は端役でいいのであって、まったく‥‥。 演技は気にいらんし。 辻真里子にしろ、ただ三角関係、四角関係を濫造すればいいというものではない! そもそも、じんべえと美久との関係だけで、3ヶ月は優に使えると思うのだが。 それに視聴者が満足しないとすれば、それはあだち作品をわかっていない視聴者の責任だと思う。   …以上、ほとんどドラマ視聴経験のなかった一あだちファンの私見でした。

4、田村正和は、ようわからん。

 スポット、田村正和。 上にも少し書いたが、あれがじんべえ? うむむ…。 ま、「じんべえ」ドラマ化の話を聞いたときから、じんべえ役だけは生身の人間には難しそうだな、とは思っていたが。 なんか、適性というよりも、俳優の人気で選んだ感じがする。 そのくらい知名度高いんでしょ、田村正和って。 確かに、人間的には嫌いではない。ただ、そんなんじゃ、粗製乱造3ヶ月ドラマとレベル変わらんね。 ま、お怒りのメールが怖いので(笑)、このくらいでやめておこう。

5、みんなして、演技ダメだねぇ。

 いや、怒らないでください。 あくまでも、私にはそう見えるだけですから。   特にくさなぎなんたら。 なにあれ。 もともと私は、演劇などで、不自然に声を張り上げたり、わざとらしい抑揚をつけたりするのを不快に感じていた。 観客に届かせるため、という点を差し引いても、である。 それが、演劇ならまだしも、ドラマでは弁解の余地はない。 他の人物は、まだ普通だとしても‥‥。 もしも、ドラマ一般があーゆーものなのならば、私は一層こーゆードラマが嫌いになってしまいそうだ。(こんなもんだ、との御指摘あり)

6、「間」がねえ‥‥。

 無理だったね、やっぱり。 あだち作品の、かの絶妙なる「間」をドラマで表現するのは。 アニメくらいなら、まだがんばる余地もあったけどね。 とっても変だね。 原因はなんだろう。 やっぱ役者は生き物だからかね。 「間」のあいだは、やっぱ顔を映さざるをえないんだけどね、やっぱ彫像じゃないからね。 動いちゃうんだよね。 絵のごとく、固まってないとね。 ま、それはある意味しかたないのだが、せめて何もしなけりゃいいのに、わざわざ息をのんだり、表情を変えたり、余計なことしおって。 ぶちこわしじゃ。

7、「間」PART2 〜第7話より〜

 あらかじめ、解説。 私の記憶が確かならば、第7話は、11月23日の放送である。 その最後、かの歌がバックに流れ、美久とじんべえがひたすら沈黙している。 そのときのじんべえが問題である。 あれが「間」のつもりだとしたら、わかってないと言わざるを得ないだろう。 違うんだよ。 動かないで時間を取ってれば「間」になる訳じゃない。 それがどういうものか、ということは、「H2」での、比呂とひかりのテラスでの、ファーストキスについての会話の場面を見ればわかる。
 ところで、あれは、美久がじんべえの部屋に入り込んでいたのか? そうだとすれば、もっと話にならん。 少しは向き合え。 別々の部屋だとしても、動けじんべえ。 振り向け。
  ‥‥落着かなくっちゃ不可ない。 失礼。

結論1・人物

 「じんべえ」の出演者が、他の番組ではどのような人物なのか、ということを知りたかったので、年末年始に多少見た。
 まず、田村正和は、「眠狂四郎」と「古畑任三郎」で見た。 狂四郎は、あれではまり役っていうの? ってほど、違和感があった。 対して、古畑の方はおもしろかった。 いいんじゃないでしょうか。 しかし、「じんべえ」とは全然キャラが違ったね。 私としては、高梨陣平は、もっと古畑に近づけるべきだったと思う。 あのどもりに、あだち作品の「間」を反映させようとしていたというのなら、とんでもない勘違いだ。
 松たか子は、??? 見かけなかった。 ま、それほど熱心に探したわけじゃないが。 でも、あれはいいね。 かわいいし。 ただ、もうちょっと物知らなげだったらよかった。 いや、本当は知っててもいいんだけど、外見上は、視聴者にもそう見えるくらいにしてくれていれば、あだちキャラとしてもいい線いくかもね。 今後に期待。
 んでもって草なぎつよし(漢字出ない)。 SMAPの番組いくつか見たけど、結局彼ってあーゆー人間だったのか。 「じんべえ」の世界をひっくりかえしたのは、彼の演じる寺西だったけど、ま、彼には罪はない。 あるとすれば、あの下手な(私にはそう見えた)演技? ま、シナリオの一番悪いところに一番悪い配役、ってところか。
 んでもって、その他の人物。 まず、親父の宮下。 出てきた時はやな奴で、一時そうじゃないかも、と思わせといて、やっぱやな奴だった。 原作での、あの堂々とした態度はどこいった? やはり、あと1回あれば、彼のことをもっと深く描けただろう、と残念でならない。 辻真理子は、やっぱり場所取りすぎたね。 端役でよかった。 彼女を大きく扱わなければ、じんべえと美久が深まったに違いない。 あと、ヒロという人物。 結局よくわからないまま、消えてしまった。 ちょっとぐらい、出してやればいいのに。

結論2・総論

 さて、あの結末。 どんな感じかはおおかた予想がつく展開だったが、まさかあそこまでかるーくしてしまうとは…。 まいったね。 ちょっときて、ちょっと手紙みて、終りかい。 最終回は80分くらいだったが、せめて2時間くらいやってくれれば‥‥。 つくづく、3ヶ月ドラマの欠点ばかり目についた。 結論。 「じんべえ」を映像として見られたのは、理屈抜きにうれしいが、扱い方はサイテーだ。 もっと敬意を払ってくれ。 1年とは言わないまでも、半年は続けてくれ。 四半年であだち作品の味を出しきった「じんべえ」をやるなんて不可能なことだし、はじめからその気がなかったというのなら、比類なき冒涜である。



 ‥‥とかなんとか、いろいろと書いてみました。 御意見・御批判大歓迎です。 お気軽にメール下さい。 また、私の一方的な意見ばかり公開するのは公正でない、とお考えの方は、一筆頂ければ、同じページに載せることも考慮します。 ま、何なりと。

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