向日葵の軽さへ落ちてゆく気配花火消えて軽さばかりの星また星釣堀に軽さを抱いている横顔かるがると立ち上がり風金魚売り避暑地から軽い家族の成り立ちあり軽く言うねと雑然とところてん白玉のかるささびしき異邦人ふいに蜜豆かるくなりゆく色情式つつがなく未だ西日はかるく繭かるく青年のひたい輝く
海月ゆくどこか明るい私服来てかるがると私服あしかさねて夕焼夕立や私服しっかりくっきり立つ水無月や私服よごして屋根直す私服ふわ胸のあたりを堕ちる瀧冷素麺私服をはしりすぎてゆく噴水感性もてあましてや私服の手穴あるよ夏空ばかりみて私服太陽をさえぎって立つ私服かなひとりずつ私服を消して踊るなり
極暑あつまれば盗賊なまえがあるパイナップル感じれば軽い盗賊腰に手をあて盗賊はあさがおの色盗賊の道のぼやけて向日葵咲く天道虫とぶ盗賊の腕時計盗賊の白い自転車はなばたけ盗賊の即答みちみち花たちばな夏のはな盗賊洗髪たちまち咲くまなざしの盗賊ふかいふかい泉滝のうえから盗賊の旅はじまる
昼寝してあり便利な手便利な足風浪のかなたくずれている昼寝昼寝くるしみの小さな窓ひらくあざやかな風のっかっている昼寝音がくる昼寝こえてはならぬ線箱降ろす明るいみなと風の昼寝あめふりの昼寝の出口あさぎいろ誰が誰の昼寝のじかん見つめている昼寝して体のかたきところ浮く訳文の昼寝どこより知り始め
比喩の鰻しずかな男子たちがいるうなぎの美どこまでも明るき健康朝礼やいたるところに鰻の目突然の鰻ことばになりたがる鰻非礼ゆっくりと幸せになれ憲法のなかを鰻の横たわり鰻にぎる一瞬水を蒔くかたち家の根に鰻ちいさくない不安メモ帳の鰻しずんでいるごとし透明の鰻とわたしたちの声
紫陽花を切れば駅ばらばらになる紫陽花のうしろ回転する遊具携帯電話ひらけば窓になる紫陽花紫陽花をほしがっている言葉の壷工具ちらばる低い地球から紫陽花誰にでもある紫陽花のようなおわりだってしあわせ紫陽花もその母も紫陽花の興奮あおく常に宙近眼の犬のきている濃紫陽花遠方の紫陽花を絵に増やしけり
向日葵がつぎに繋がる空気の手声が紙ふぶき向日葵の通りみちモデルハウスに活きている向日葵が向日葵がどきどき草になる嬉しい向日葵や彼は眼鏡をかけて去る向日葵は神経よ水のくさわけ鍵をのどかに向日葵のある日差し向日葵のひだりひみつの飛行場向日葵がにこにこ目的地が真っ赤ドアが在る向日葵が出てゆきたがる
白鷺がなにか理論の山充実常識の砂のトラックから白鷺公園に森くっついて白鷺待つ白鷺や人に光速の口のくらさ手と心たおやかに鈴の白鷺にんげんに手首あります陽の白鷺絶対がしらさぎ炊き立ての白さ拳つくれば斜面があって白鷺翔つ雨の降る予報白鷺に砂のじかん柴犬がきて白鷺を飛ばしけり
河鹿啼く家路が旅路うきあがる透明な疲れ河鹿のうずまく闇水のロシア河鹿ゆっくりうつり棲むコードレステレフォンの底から河鹿繋がっていない気のする河鹿かな咲くよりも河鹿ちいさな小部屋かなこもれびのように河鹿や遠くの樹年上のひとの偶然なる河鹿河鹿鳴く誰にも見えぬ小学校音楽室に音楽のある河鹿かな
息をしている飛魚の小さな眼鼻すじの照る親戚一同とびうお飛魚の夢にちいさな太陽あり飛魚のながい実家や風とおる櫛風沐雨あかるいあかるい飛魚たれ実録の飛魚ひとつずつ翳る飛魚や言語社会は路地重いよ飛魚の深いところが咲いている大陸や深夜FM波乗る繭西瓜通信衛星のこどもたち